12月25日

きのうは夜になって女子がひとりワインを持ってやってきた。はじめ17時頃に来ると言っていたのが18時頃になりそう、と連絡があり、結局彼女が到着したのは19時を過ぎたころだった。うちには電子レンジがないので、18時過ぎに完成するように用意していた食事は低温に設定したオーブンの中に入れ、ぼんやりと仕事の続きをしようかと考えたけれど、数十分向かい合ったところであまり進む気もせず、ウイスキーの水割りを作り、読みかけの小説を開いた。ナッツをつまみに飲んでいたけれどいよいよお腹が空いて、全然来ないしもう先に食べようと席を立った瞬間にインターフォンが鳴った。

ロゼと、ピノノワールのハーフボトルが一本ずつ、白くマットな艶のある厚手の紙袋に入っていた。わたしはワインは好きだけれど、ロゼワインというものをほとんど飲んだことがなく、前回彼女が家に来たとき「何にでも合うように」と薄いピンクのワインを持ってきてくれ、あぁそうかロゼというのはそういう風に選ぶものなのか、と思ったのだった。

きのうはなにを作るかなかなか決まらず、イメージの固まらないままなんとなく料理をしたら、全体的にあまりうまくいかず、なんとない、ぼんやりした食卓になってしまった。そういうものだよな、と思う。気になっていた豆腐のキッシュを、初めてだからなるべくレシピに忠実に作ったけれどそれさえ思ったようにならず、いつか見たとある料理家のドキュメンタリーで、レシピみて作ったのに失敗したら最悪じゃない、もう二度と作るもんかと思うでしょう、と言ってだからレシピを出すときにはとても緊張すると話していたのを思い出す。レシピ通りにやってうまくいかなかったときには本当に不思議な気持ちにいつもなる。

友人はそれでも美味しい美味しいといって食べてくれ、良かった、と思ったけれど、今朝になって無理して褒めてくれていたのではないかという考えが頭をかすめた。彼女は22時半頃に一度終電の時間を確認していたけれど、結局日付が変わるまで家にいて、気にせず泊まっていきな、というわたしの申し出を固辞し、はじめ近くのホテルを取ると言っていたけれど、クリスマスイブにはただのビジネスホテルの狭い部屋でも2万とか3万とかという値段がついており、結局タクシーで帰っていった。

年内に仕事のデモを一曲あげなくてはいけないがどうにもこうにも行き止まっており、このままこの曲と対峙するのか、ゼロから作り直すか、早く決断しなくてはいけない。でも、年末までもうほとんど毎日店に行くことになっておりまとまった時間は取れそうもなく、だいぶ追い詰められている。その割に焦る気持ちが湧いてこず、遠くの方で大丈夫かなぁという気持ちが悠長に構えているわたしをみているようなあんばい。まあ、やれるだけやる、だけ。外に出るとところどころ地面が濡れていて、そういえば夜中ベッドの中で雨音を聴いた、ような気もするような気がした。

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