10月12日

眠れていないせいか一日が異常に長く感じる。きのうのことがまったくきのうのことだと思えない。きのうは少しだけ早く家を出られたのでぴゅっとケーキ屋さんに行って2種類のケーキを選び、早く帰って食べることだけを考えて1日を過ごした。店長が小さなブーケをくれて、とても可愛くて嬉しかった。深い紅のダリア。友人たちの何人かがおめでとうのメッセージをくれた。

いちじくのムースが層になっているカプリスというケーキと、栗とアールグレイのシブースト。最初にひと口ずつ食べて、特に後者がおいしかったので先に前者を食べてから後者をゆっくり食べた。赤ワインを飲みながら。どっちもワインに合うケーキだった。ひとりでも全然さみしくならないどころかとても満足した気持ちになり上機嫌だったから安心した。ゆっくり味わって食べた。

すっと眠れて安心したのに今朝早くに目が覚めてしまいそれからまた眠れなくて、今日は一日ずっとぼんやりしている。まったく頭が動かないし瞼がものすごい重さ。重力にぐーっと引っ張られている。昼にまた収録があったけれどなんか言葉が入ってこないままに終わってしまった。それは先方の話し方も大きかったように思うけれど。正直あまり面白いものではなかった。こちらがもう少し上手くやれたらよかったのかもとも思うけれど、時間や枠組みの制約を考えればそれも難しかったような気がする。わからない。

夕方打合せというか約束が一件あり、その前に少し眠れたらと思って横になったけれどやっぱりダメだった。もう眠ろうとするのを諦めた方が良いような気がしてきた。ずるずると体を引きずりながら三茶まで。小雨。制作の話を。言葉を探しながら間を厭うことなく話す、ということを久しぶりにしたような気がした。

わたしはようやく作品を作る。そのことにはっきりと希望と喜びを感じている。どうせ眠れないのだから昼も夜もいつでも曲に向かえばいい。他のあれこれも割と沢山積み重なっているが、ぎゅーっと集中して、向かいたい。神様かみさまかみさま、と思う、きっと大丈夫。大丈夫じゃなくても大丈夫。ただただ楽しみである。わたしはまた新しい向こう側をみたい。

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