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V of BTS "풍경(Scenery)" 風景に捧げる尊敬と愛情 〜日本語選びにこだわる和訳歌詞 no.023

月明かりの欠片を
ひとつひとつ 集めて
灯りを作るので
昨日と同じ姿で
僕の前にいらしてください。

풍경 (Scenery)


花いっぱいの街で
今日もあなたを見かけますね。
僕の中に収まってくれるでしょうか?

夜明けの月が過ぎた公園で
今、僕の感情を込めます。
この歌はあなたに向かいます。

夜空の月に映し出された
フィルムの音を聴きます。


僕はまだ、美しい物語について
物語のクライマックスについて
思いを巡らせています。
僕はまだ、物語の続きを決めかねているのです。
あなたを、僕のものにしたいのです。


あの刹那の時間の、その姿を見失った
僕の心が口惜しいよ。
後悔してる。
あの瞬間にまた、出会えますように。


月明かりの欠片を
ひとつひとつ 集めて
灯りを作るので
昨日と同じ姿で
僕の前にいらしてください。


僕はまだ、美しい物語について
物語のクライマックスについて
思いを巡らせています。
僕はまだ、物語の続きを決めかねているのです。
あなたを、僕のものにしたいのです。

僕はまだ、美しい物語について
物語のクライマックスについて
思いを巡らせています。
僕はまだ、物語の続きを決めかねているのです。
あなたを、僕のものにしたいのです。


足跡を残して立ち去られるのならば、
僕が、その来し方をお守りします。
モノクロームの世界にお残しします。


韓国語歌詞はこちら↓ 
https://btsblog.ibighit.com/m/385

『풍경 (Scenery)』
作曲・作詞:V


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今回はSound Cloudにて2019年1月に発表されたVのソロ曲 "풍경(風景)" を意訳してみました。この記事を書いている12月30日はテテのお誕生日です。생일 축하해요 대대!

歌詞を追っていくと、独特な表現、というか、視点が独特だなぁと感じた部分がいくつもありました。

내 안에 담겨질까요
(Papago訳:僕の中に入れられるでしょうか)

・담기다(込められる ※담다(込める)の使役)+지다(-아/어について〜の状態になる)=담겨지다
・-ㄹ/을 까요(主語が2・3人称の時 〜でしょうか)

この一文の主語は「あなた」であり、담기다が使役動詞なので、

「(あなたは)僕の中に込められるでしょうか

となるのですが、このままだと少しぎこちなく、また、主人公である僕の気持ちが加味しきれていないかなと思ったので、

「(あなたは)僕の中に収まってくれるでしょうか」

と意訳しました。

「僕の中」に「入る、収まる」という表現から推測するに、歌詞全編に渡り「僕」は自分の視点をカメラのファインダーになぞらえているようです。(もしくは実際にカメラを構えているとも言えるかと)

そして、「あなた」は「僕」に見えている、心に、写真に残しておきたいと思わせてくれる「風景」を指しているのではないでしょうか。

一期一会の「風景」を懸命に写し撮ろうとする気持ちが次の箇所に表されています。

그 찰나의 시간의 그 모습을
(あの刹那の時間のその姿を)
놓친 내 마음이 아쉬워해
(見失った僕の心が惜しい)
후회가 돼 다시 그 찰나가 있기를
(後悔してる またあの刹那がありますように)

写真に残しておきたい瞬間とは本当に一瞬の事で、しかも二度と同じものは捉えることができない。あの時シャッターを切っておけば。そう何度も後悔しながら、またチャンスに巡り会えることを望んでいる。

上記箇所はパンマルで書かれていて、「僕」の本音が語られている部分と言えると思います。

一方で他の部分では頻繁に丁寧語が見受けられます。これは「僕」にとっての「風景」が特別な存在であるという事の表れかと思います。

어제와 같은 모습으로
(昨日と同じ姿で)
내 앞에 와주세요
(僕の前にお越しください)

自分のせいで失念してしまった風景が再び目の前に現れてくれるよう、最大限の敬意を払ってお祈りしているのかと思うと、なんだかとても微笑ましいです。テテの表現に対する真摯な姿勢を垣間見る事ができます。

他にもカメラや写真にまつわるワードがいくつかあります。

필름의 소리(フィルムの音(声))

これはフィルムカメラを使った事がある方ならお分かりいただけると思いますが、フィルムが巻かれるあの音・・・のことかと思われます。もしくは、これまで写し撮ってきた風景から聞こえてくる音楽のようなもの…かもしれません。

흑백 속(黒白の中(モノクローム))

こちらはモノクロフィルムの事ですね。美しい風景のその決定的瞬間を写し撮る事も醍醐味ではありますが、その痕跡ですら愛おしむ気持ちがこのモノクロームのくだりに表現されているのだとおもいます。

これぞと思った景色と瞬間に尊敬と愛情を注ぐ。
それこそが写真家・Vanteの信条なのかもしれません。

これからもたくさん素敵な風景を愛でていって欲しいですね。いつかVante名義で写真集出版、なんてニュースがあったらいいな〜。



最後までお読みくださりありがとうございました。


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