簡単な事柄

大学時代、ある論文で賞を頂いて、賞金50万円と表彰状(どうしても賞金の方に目がいくが、表彰状が主で、50万円は副賞である)をもらったことがあったが、表彰式に必ず出ることとあったのに、勘違いして日にちを間違えてしまい、結果的に式をボイコットしてしまったことがある

それで、折角賞をあげたのに、①今どきの子はどうなっているのか②式を軽んじているのか③礼節を弁えていない・・・などと言われたのだが、大学生は基本的に曜日感覚が社会人ほどしっかりしておらず、講義もトルネコの大冒険Ⅱが面白くて休んだりする程度だったので、許してほしかった(前のエッセイでもふれたが、試験対策委員会通称シケタイというのがあって、試験前に勉強頑張ればなんとかなった) ちなみに、授賞式では、コナン・ドイルの小説に出てくるアイリーン・アドラのような人になりたいというつもりだった 雑談の準備までしていたので日にちを間違えたことは、どうか大目にみてほしい

本当に参ったのは授賞式から2週間程度たったころで、自分では想像すらしていなかったのだが、なんだか意図的に授賞式に出ない=謎の人物という噂が立ったらしく、わたしを突き止めようという動きが発生した いや、わたし自身はなにも秘匿して暮らしていないので、大学外の縁遠い人間、それこそ相当アホな”探偵”でも楽勝で突き止められる案件で、やれやれと思った やれやれと思うと同時に少しこわいな、とも感じた

「ある勘違いしたかわいそうな大学生がいて、ちょっと成功して、ちょっと失敗して、なんだか事態が思わぬ方向にいって、そんな劇を演じてるのは、そう他でもない、わたし!」みたいな感じで、痛い存在にはなりたくない!とも思った まぁすぐにみんな忘れるだろうし、大したことじゃないし、時に身を任せてればいいよとアドヴァイスしてくれる人も居た

それで、基本に立ち返ってみると、①論文を書いた②評価が良かった!(うれしい)③賞を受賞した!(うれしい)④授賞式の日にちを間違えた!(アホ)⑤その結果予想内と想定外の事態が起きた(かなしいしくやしいし大迷惑)といった具合で、うん、しかたないな、とも思った ①論文を書くのは楽しいし④授賞式を間違えたのは自分の責任、として②③⑤は自分の手の届かないところにある事象だしな、と考えようと努めた

まぁそんなこんなでなぜこのような文章を書いているかというと、23時くらいまで働いて、そのまま事務所で”配信”を聴いて、あとネットで麻雀していたら見事に帰れなくなってしまい、事務所で寝ることになったのだが、全然寝れないからである

それにしても、一時とはいえ謎の人物になりかけ、自分のすがたかたちがターゲットになった経験は、そんなに多くの人が体験してないないレアなものじゃないかな、と思う

文章をここから飛躍されるのなら、例えば、現代のインターネット・SNS等の匿名社会においては、謎の人物となることも多かろうとか、いろいろ考えつきはするものの、子どもらしい感性からすれば「謎の人物」というのは、ちょっと魅力があるな、と、今だから思えたりする

それで、鏡に立って自分を観察してみると、謎の人物も、なんだ全然大したことないじゃないか、となる 人間は脳が発達しすぎているから、不確定なことをいろいろ考えて、考えて、考えるようになっている生き物なのだ ことは案外簡単である

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