自己採点用解答転記、愚かなり。【6年生塾生保護者様向け転載】

私が希学園で過ごした子供の頃は(1999年度入試です)公開テスト・各種模試の返却は全て紙ベース。模範解答の配布も日曜受験→水曜以降返却。それまでは結果について悩んでも、無駄でした。


今の子供たちはweb解答速報から、猛烈な速さの結果発表になれています。勿論模試の直しは早期であるべきですが、「直しをするために自分の答えを問題用紙に転記する」時間は、個人的に「愚かで無駄」だと考えています。
 
本番でも同じ時間を用いるつもりなのか。記述答案の転記など何分使うのか。その時間は全て「徹底的な見直し」と「難問対応」に割くべきであって、自己採点は合格に全く役立ちません。
入試当日に各塾から発表される解答速報は塾ごとに食い違うこともあります。つまり「どちらかが間違えている」。あれは速報性重視で、「これが解ける講師がたくさんいます」のPR。我々も塾内のみ使用の解答を出していますが、それは入試を終えた子供たちの不安解消のため+次年度志望校別カリキュラム再考のためで、入試当日の「あの問題わからなかったんだよ…」という不安の吐露に対して「あれは難しい。解けたやつおらんやろ!わしも20分かかったわ。やらんで正解や!むしろ他は見直ししたか?」と即答するためです。
 
入試後の自己採点、配点もわからん、合格最低点もわからん、正直「全くの無駄」です。
 
仮に点数が悪かったとしましょうか。どう考えても午後入試や次の日の入試に悪影響。
(そういうときは大体全体平均点も悪いんです、そう思えないのは自信が無いから)。
点数が良かったとしましょうか。浮かれポンチで次の入試に向かってミス連発(そういうときは大体全体平均が高く、高得点勝負で不合格のことも)。
 
言葉を選ばずに発信させていただきますが、すぐに結果が知りたい、待てない、忍耐力が無い、結果がわからないことに対して「ぐっとこらえて、次のミッションでベストパフォーマンスをする」覚悟がない。これらはすべて「大人のコピー」なのです。「映し鏡」です。情けない現代人の象徴のようなものです。

例えば男子トップなんて、2/1、2の結果が全部2/3に出る。その3日間、結果を知らずに戦い続ける精神力。吹っ切る力。前だけ向いて爆走するメンタル。これは日頃鍛えるしかない。
 
本番の入試での自己採点、良くても悪くてもマイナス効果しかないので、絶対やめましょうね(ここまで申し上げてもまだなさる方、一定数いらっしゃいますが)。
 
私が子供の時に希で受けた訓練で面白かったのが、「灘の算数過去問を見て、合格最低点の高低を占え」というものです。要はめくった瞬間「難しい→合格最低点低い」、逆は「高い」。自分の選球眼を鍛え、たとえ難しくても「みんなできてへんやろ」と思うための修行だったわけですが、本番も当たりましたね(高い年だった)。
それが「自信」です。根拠のある自信です。「こんだけやってきた自分ができへんねんから、誰ができるねん」、これこそ子供たちが試験場で至るべき境地なのです。
 
大人のデジタル脳・堪え性の無さという現代の悪癖に、子供たちを染め上げるの、やめましょう。
 
素晴らしいサッカー選手は「前半@@分の自分のプレー、ボディーシェイプをせずに安易なパスを出した先で敵にインターセプトされて、そこから失点につながった」と「メモなんかとらなくても」覚えています。要は、論理的に頭を使って解いていれば、自分で答えや、答えへの道筋を覚えているはずなんです。記述も、どこを材料にしたか覚えているはずですし、算数理科の答えなんてわざわざ転記しなくても問題用紙の裏見たら書いてある。社会は自分が何を答えたか覚えていないのは、当てカンでしょう。
 
もう一度言います。「解答を問題用紙にご丁寧に転記している暇あるなら、見直ししてくれ、頼むから」です。
仮におうちの方が点数を気にするから転記しているのだとしたら…学力を削いでいますよ、と申し上げておきます。
 
健全に、正しく、学んでいきましょう。

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