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東京日記16「ヒトリシズカ」

今日は太陽をしっかり浴びて、気持ちのよい一日だったので書きます。

2024.1.19

午前中は、1ヶ月間の短期バイトの研修だった。
ああ、バイトってこんな感じだったなと記憶がよみがえる。
決められたことを有無を言わさずやらせてくると思うとなんだか身構える。
いや、ちょっと待て。彼らは敵ではない、むしろこれから一緒やっていくチームだ。力を抜いたら、相手の話が入ってくる。わからないことは質問する。相手もコミュニケーションを取ろうとしてくれる。わたしもできるだけ力になろうと思えた。

シフトはまだ決まらないらしい。イベント前ばたつくのはよくわかる。
わたしもなんだかんだ、社会人としてやってきたのかもしれない。大学を出て8年。

研修は予定より1時間早く終わった。
駅のトイレで、指定された黒のパンプスからスニーカーに履きかえる。このパンプスはとても履きやすいものだが、スニーカーには負ける。

本を受け取りため、電車に乗り別の駅に向かっている時にメールが入る。
「ご要望の本はご用意できませんでした」
在庫ありとなっていたので取り置きを申請したのに、まさかの在庫なし。
電話で他店に問い合わせると、ありますとのことだったので取り置きをお願いし、電車に乗って引き返す。研修をした隣の駅にある書店だった。
電車で行ったり来たりだが、星野道夫さんの本が手元にあったので読むのが捗った。ちょうど読み終えた。「アラスカ 光と風」というタイトル。とてつもなく広大で荘厳な世界に入り込む。

無事に本を手に入れた。
とてもよい公園が近くにあるので寄っていくことにした。水があって、気があって花があって緑があって、鳥がいる。太陽の光が水面にあたってキラキラしている。体や心が瞬時に自由になった。
これぞ、幸せなんだと思った。この感覚があれば、この景色と空気があれば生きていきたいなと思える。
買った本を読む。シュタイナー教育入門、高橋巌著。参加しているオンラインゼミの課題図書。
明日がゼミの日。ハードカバーのしっかりした本だが、文章は読みやすい。興味の範囲でもある。
最初の章は古代ギリシャの教育について。霊は健全な体に宿ると考えた当時の人たちは、7歳まで子どもを家庭で育て、7〜14.5歳の間はギムナジストという体育教師が踊りなどを教えて体作りをしていたようだ。それに比べて現代は頭へのアプローチが小学生1年生の7歳ごろから始まる。今までシュタイナーをしっかり学んだことがないので入門するにはちょうど良さそうだ。
急いで読むぞと意気込んでいたが、公園で過ごす時間がなんとも心地よく、ぼーっとしたりふらふらしたりして読書はあまり進まなかった。

こんないい1日には、美味しいランチが必要だと
公園から歩いて15分、駅近にある美味しいご飯屋さんに向かう。人気なところだからもう売り切れかもしれないと思いつつ、ダメ元で向かう。

公園の入り口に、顔馴染みの切り株を見つけた。公園に来ると必ず見ることになる。その切り株がずいぶん分解されて、枯れ草がかぶさり小さな山のようになっていた。いつぶりに見たのだろうか。土に近づいていく、切り株。
3年前に撮った切り株の写真を見返す。変化がわかる。時間の流れがはっきりと見えた。

インスタで撮った

ごはんやさんのランチ、案の定売り切れだった。もうすでに、気持ちは定食気分だったのですき家で牛丼とろろわさびを食べた。お味噌汁もつけた。
店内には1人客が3名。ラジオが流れる店内で、店員さんの声が響く。あの音量でしゃべっていたら、近くにいるカウンター席のお客さんに丸聞こえだろう。少し遠い席のわたしにも、なにやら愚痴混じりのシフトの話ということがわかった。
2人いる店員さんのうち、1人が帰っていった。
カウンター席のお客さんが厨房にいる残り1人にお会計をお願いするため声をかける。返事がない。3回くらい言って、やっとレジに出てきた。
それから5分後、わたしも並盛りを食べ切り、お会計をお願いするべく厨房に声をかける。先ほどのお客さんの声ではよく聞こえていないようだったから大きめに。1回目、3mも離れていないのに気づかない店員さん。2回目、今度は「すみません、お会計お願いします」と長めに大きな声で話す。反応なし。3回目、やっと反応があった。なんだろう、この人は3回声をかけないとレジにはこないと決めているのだろうか。耳までかかる帽子のせいなのか。不思議だった。

思ったより、とろろの量が多くて嬉しかった

久しぶりに駅前を歩いたら、写真の現像をよくしていたプリントやさんが、おたからやになっていた。おたからや。現金!という文字がデカデカと書かれた店舗。
せめて、お花屋さんとかになっていてほしかった。

街も変われば、切り株も分解されていく。確実に、少しずつ。

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