産休・育休後も課長として復帰。30代の働くママが実践したマネジメント術とは 〈株式会社Wiz〉
人事部の課長として、母として。成長とやりがいを持って働ける環境がここにはある
通信インフラの拡販を中心に多彩なサービスを提供する株式会社Wiz。2012年に設立され、今や従業員数1,000名を超える。このメガベンチャーの成長を支えてきたのが、人事部で課長を務める澁澤さんだ。採用担当として全国の部下をまとめている彼女は、産休・育休を経て復帰したワーキングマザーでもある。そんな彼女に、仕事のやりがいや働く環境、組織のマネジメント方法についてお話を伺った。
未経験からの挑戦。手探りの状態から“採用のプロ”へ
現在は人事採用部で課長を務めている澁澤さん。意外なことに、人事としてのキャリアは入社後に築き上げたものだという。
「前職では、新卒で入社してから美容業界で営業をしていました。そのため、Wizには営業企画職で入社し、初めの1ヶ月位は電話営業をしていました。ところがある日、『営業企画であれば、会社のことを知らないといけないよね。』と上司から言われて人事部に異動しました。なので、最初から人事の仕事を希望していたわけではなかったんです。」
にこやかに語る澁澤さんだが、設立間もないベンチャー企業の人事は決して楽な仕事ではない。明確なモデルケースが無いだけに、業務については試行錯誤の連続だったそうだ。
「“今のままで良いのか?”ということは常に考えています。選考フロー一つにしても、“今まで続けてきた方法がベストなのか、次はこうした方がいいのではないか”と、問題解決を日々行っています。」
また、多くの応募者にとって、人事はその会社で初めて会う人だ。それ故に会社のイメージと直結しやすく、僅かな対応の遅れや漏れが、会社の印象悪化や内定辞退へとつながりかねない。
「仕事をするうえで最も心がけていることは“報告・連絡・相談”。ビジネスの基本ですよね。社外の方や選考者とお会いするときに大切にしていることは、“おもてなし精神で常に対応できているか”ということです。」
産休・育休を経て、課長として復帰。社長と上司の後押しにより、再び現場の第一線へ
澁澤さんはその後も実力を伸ばし続け、入社から8ヶ月目には課長代理に、そこから更に10ヶ月後には課長にまで昇格した。順調に人事としてのキャリアを形成していく中で、澁澤さんは大きな転機を迎えることになる。妊娠・出産により、しばらく現場から離れることになったのだ。
産休・育休を経て現場に復帰する際、気になるのが待遇面の変化だ。澁澤さんの場合、保育園のお迎えがあるため17時までの時短勤務となったものの、産休前と同じく課長として復帰し、給与も変わっていない。課長としての復帰に不安を抱えていた彼女を後押ししてくれたのは、社長と上司だったという。
「課長という役職で戻ることに、正直、不安しかありませんでした。新しい社員や支社もかなり増えていたし、子どもがいる状況で課長という役職を務められるのかが不安でした。ですが、社長や上司が背中を押してくれたおかげで意思決定ができ、頑張ろうと思いました。今は周りのフォローもあり、良い意味で楽しく仕事ができています。」
Wizの特徴とも言えるのが、ベンチャー企業とは思えない程の充実した福利厚生制度だ。特に育児支援関連の手当や制度が充実しており、産休や育休をはじめ、シングルマザー/ファザーを対象としたシングルマザー手当や、子どもがいる社員を対象とするクリスマス手当など、子育てを支援する制度が設けられている。こうしたフォロー体制の手厚さも、育休後の復帰を後押しする要因なのだろう。
全員が頑張れて、イキイキと働ける環境を作っていきたい
課長として復帰したからには、当然、部下のマネジメントが求められる。だが、現場を離れている間に環境は大きく変わっており、周囲は見知らぬ社員ばかり。まずは社員の名前を覚えることから始め、一人ひとりと面談をして現状を把握するなど、周囲とコミュニケーションを取ることで乗り越えたそうだ。
更に頭を悩ませたのは、遠く離れた支社で働く部下との信頼関係の構築だ。ここでの鍵も、やはりコミュニケーションだったという。
「今もそうですが、常に部下とコミュニケーションを取ることを大切にしています。人に何かを教える前に、相手との信頼関係を築くことが大切だと思っているので、小さなことでも連絡を取り合っています。なので、部下には常日頃から、『愚痴を言いたいときでも何でも良いから話して』と言っています。特に支社の人事は一人で業務にあたることもあり、孤独との戦いなんです。上司として彼らのはけ口になれるよう、小さなことでも共有してもらっています。自分からコミュニケーションを取っていたら、何かあったときに向こうから歩み寄ってくれる関係も築けるのではないかと思っています。」
こうして全国の部下達と信頼関係を築くことで連携を強め、新卒採用においては、2018年度は159名、2019年度は186名もの新入社員を全国で採用することに成功している。組織をより強化しつつ、全員が頑張れてイキイキできる環境を作ることが今の澁澤さんの目標だという。
子どもが生まれたからこそ、仕事に対する意識が変わった
産休・育休前から携わっている新卒採用においては、インターンや内定者研修など、約1年にわたり学生と関わっている。そうして関係を築いてきた彼らが4月に入社してきたときは、Wizを選んでくれたことへの嬉しさがこみ上げてくると同時に、人事としてのやりがいを感じる瞬間だという。このような変わらない部分がある一方で、子どもが生まれてからは仕事に対する意識が変わった、と澁澤さんは語る。
「子どもが生まれたからこそ、仕事に対して意識が変わったと感じています。今はまだ子どもが幼いので理解できないと思いますが、今後は働いている自分を見て育っていくんだなと凄く感じています。母親としてしっかりしなければという責任感もありますね。」
インタビューの最後に、働くか迷っている方達へのアドバイスをお願いしてみた。
「育児との両立が不安な人には、“やってみると意外とできる!”ということを伝えたいですね。私の場合、“仕事中は仕事に集中する、自宅に帰ったら子どもとの時間を何よりも最優先する” ということを日々大切にしています。仕事をしている分、一緒にいる時間が限られているからこそ、その時間を凄く大切にできると思うんです。自分のためにも、可能であれば仕事はした方が良いと思います。」
人事部の課長、そして母。責任ある2つの役割を担いながらも前向きに働く澁澤さんの姿は、同じく子育て中の女性達に勇気を与えるのではないだろうか。
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