漫画広告攻略作戦2022

 漫画のバナー広告が憎い。

 この世で1番憎いものは何かと聞かれたら人の数だけ千差万別あると思いますが、誰しも上から8番目くらいには目撃不可避の漫画バナー広告がランクインするのではないでしょうか。

 グロ耐性やバッドエンド耐性があまりないお花畑脳なので、胸糞悪い系の復讐譚だったりとか、泥沼家庭実録、デスゲーム系のワンシーンに被弾するとめちゃくちゃダメージを喰らいます。全人類皆幸せであれ。

 ヲタクという業を背負い、息をするように二次創作作品を読み漁ってしまう為Twitterや Pixivで被弾する機会も人一倍多く、一時期は広告を倦厭するあまりネットの使用を控えることもありました。

 その漫画を読んでもいないのに、広告を嫌えば嫌うほど憎しみは募っていくばかり。このままでは誰も幸せにならない……

 そこで、現状を打破するため「あえて目についた広告の漫画を片っ端から読んでみる」事にしました。

 広告主の思う壺であることは100も200も承知の上。しかし、読んで面白ければ理不尽なシーンの広告で受けるダメージも最小限にとどめることができるかもしれない。背に腹は変えられません。

 とはいえ長年苦い思いをさせられてきた身。懐事情もあり、ピッコマ・マガポケ・Dマガジン・ジャンプ+等待てば無料で読めるものに限定して読み始める事にしました。

 そんなこんなで時は流れて約1ヶ月。(2〜3月チャレンジのつもりでしたがいつの間にか4月が終わる……なぜ……)
 無償公開分のみと決めている為、読める話数はそれぞれ異なりますが書籍化されている作品を含めると合計で100作品近くを毎日数冊、もしくは数ページずつ読み進めた結果……

広告の内容はある程度気にならなくなりました。

その理由を大きく分けると
・当初の狙い通り、作品を読んでみたら面白くて好感が持てるようになった
・残酷、理不尽な場面もその先の展開を知っているため直視できるようになった
・誇張された場面のトリミングや煽り文にイラつかなくなった(ミスリードが多い)

 読んでみて大体どの作品にも言えるのは、広告で受けるイメージより読後感が悪い事は無いということ。

 電子でも紙でも大手出版社から書籍化している作品や連載作品は大体初期の数巻分と最新2〜3話あたりが公開されていることが多かったので、キャラクターを把握できればある程度過激な描写の広告でも動機や顛末を知っている分安心できるようになります。

 売れ筋の異世界転生モノや悪役令嬢モノは、広告やランキングで見かけた回数の多いものを順に数を読んでいくうちに「様式美」というか「勝ち筋」的な部分をなんとなく理解できるようになったので、今はもう純粋に内容を楽しむことができるようになりました。
前世でうまくいかなかった主人公の若干ズレた怒りムーヴも馴れれば愛着すら感じます。

 浮気や毒親、DVものに関しては「闇金ウシジマ君」や「死役所」などを併せて読むことでだんだん慣れが出てきます。辛い状況に直面した時、もっと辛い状況の話を聞いて安心してしまうあの心理です。お化けと自然災害を除けばもう怖いものはありません。(この2つは原因が究極の理不尽なのでもうどうしょうもない)

 また、読み進めるうちに人間の闇にメンタルやられそうになったり、異世界ファンタジーで背景素材と美男美女がゲシュタルト崩壊してきた時のライフハックとして日常系グルメ漫画を並行して読むのもお勧めです。
 一品につき一話構成が多く、食事の事を考える余裕が前提のジャンルなので後味悪くする方が逆に難しい。(キューライスさんの「ヨモツヘグイ」あたりはちょっとダークな読み味だったりもしますが)

 比較的ディープなヒューマンドラマでも最後のページで人が死ぬ確率がめちゃくちゃ低い。(当たり前)安心と信頼のグルメジャンルは個人的にWebで1番読みやすいジャンルだと思います。

 明らかに策に溺れている自覚はありましたが、1ヶ月も続けてみれば溺れながらもメドレーリレーを泳ぎ切ったかのような達成感があります。
 広告主の掌の上で踊り切った身としてはとても晴れやかな心持ちです。

 どんなに広告で第一印象が悪くても、読んでみたら止まらなくなって書籍を大人買いした作品もあります。一巻丸々試し読みなどのキャンペーンで、今までは少し倦厭していたジャンルにもガンガン手を出せるようになったのはとてもありがたかったです。
(余談ですが、今回のチャレンジ中にWebでの無料読みから『ハコヅメ〜交番女子の逆襲』1〜20巻と『魔入りました!入間くん』11〜26巻を大人買いました。大誤算)

 何はともあれ、バナー広告を出している各Web漫画サイトは、縦読み漫画「ウェブトゥーン」ならではの表現も面白く、往年の名作漫画から販促に力を入れている新進気鋭の作品まで書籍化されている漫画を試し読むのに最適でした。
 やはり書籍で出版されている漫画はWebで読むと見開きのコマの臨場感がもったいない感じもあり、逆にウェブトゥーン形式の作品は書籍化しようとするとどんな感じになるのかもちょっと気になります。
 
 無駄な嫌悪感がなくなった代わりに、これ以上面白い漫画を試し読んだら漫画破産しかねない己の自制心のなさを思い知ったので、しばらくは適度な距離を取って生暖かく見守っていこうと思います。

 せっかく100作品以上も無料で読ませていただいたので、今回のチャレンジで読んだ作品の雑感や紹介もどこかで書ければと思います。

それではまた。

 


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