まさかの急性心筋梗塞その2
ストレッチャーに乗せられてエレベーターで3階の手術室に運ばれた。 手術室内の壁紙は天井まで全て青空に雲が浮かんでいるさわやかな絵。 気持ち良く手術を受けられるような気遣いなのか、あまりにPOPな内装に戸惑いながら部屋の気温にびっくりした。 ほとんど裸のような状態の自分には寒すぎる。 手術を受ける定位置と思われる場所に付けられたが、寒すぎて体がガタガタ震える。 「すごく寒いです」と訴えて、毛布を掛けてもらい、室温を少し上げてもらった。 その間にも右手首周辺の広範囲にヨーチンを塗られて、その上から手首の所だけ丸く開けられた青いシートを掛けられた。 心電図を取るための電極を胸に沢山付けられて、点滴の状況をチェックされてから「では始めますね。手首に麻酔しますので少し痛いですよ~」ん?全身麻酔じゃないの?手首だけ??しかも注射???と思う間もなく、右手首に麻酔2本。 いででででで! 少し経って麻酔が効いたのを確かめてから「ではいきま~す」と長くて細い管を挿入開始。 ひじの内側、鎖骨の下を何かが通って行くのを感じる。 胸の上にはレントゲンのカメラが近づいてきて、左の上の方に50型の液晶テレビ×2くらいの横長のモニターがあり、はっきりとは見えないが様々なデータが映し出されていた。 「これから造影剤を入れます。胸が冷たくなりますよ~」胸の左側がヒヤッとした。 画面が切り替わると鼓動する心臓の動画が映った。 しばらく胸の近くのカメラがあっちこっちに動き回り、心臓の形をなぞるように画面の映像も動いていった。 右手首の所で3人の先生があれやこれや専門用語で会話を続けているが、「・・・まずい」「・・・ん?これは??」など時々心臓に悪い言葉が混じる。 しばらく経ってから「場所を確定できたので、これから少し太いのに替えて、ステント入れますね~」太いのが入る時がこれまた痛い! ひじの内側が痛くて痛くて(涙) お願い、全身麻酔して、お願い~と泣きそうだった。 そして、ここからが長かった。 慎重に手術を進めてもらっていたのだろうけど、とにかく長かった。 胸の痛みは殆ど無くなった状態だったので、ひたすら手術が終わる事を願っていた。 1時間半ほど経って「手術は無事に終了しました。これで終わりますので管を抜きますね~」と一気にズルズル~!と引き抜かれた。 鎖骨の下、腕の中を管が抜けていくのを感じて、「やっと終わった~」と少し安心した。 右手首の傷口を抑えるために、固いサポーターのようなものでがっちり締め付けられた。 これは9時間かけてすこしずつ外していく、と教えられる。 病室へ行く前にレントゲンで胸の写真を撮るという事で、一般の患者さんが待っている所をストレッチャーで運ばれて、写真を何枚か撮った。 7階の病室へ運んでもらったら、看護師さん5人がスタンバイしていた。「動かないでくださいね~」と若い女子に囲まれて、一瞬「天国♪」と思う余裕があった。 「せーの!」でベッドに移されて、ナースセンターの隣の701号室(個室)に入院したのであった。 時間はすでに昼を回った頃で「お昼ご飯ありますけど、食べられますか~?」と配膳されたが、さすがに食べられなかった。 これから長くて短い入院生活が始まるのであった。〈つづく〉