プラスチック製のリコーダー
今回は、日本にリコーダーが普及した経緯と楽器の構造について書きながら、演奏者のありようと上質の楽器、両方が、音色に大きく関係している点について、ポイントを押さえながら、お伝えしようと思います。
先ずは、プラスチック製のリコーダーの品質向上の歴史について。
日本の音楽教育に使われるようになったのは1950年代末。最初、木製の楽器をドイツから輸入していたようですが、1970年を待たずに、国産プラスチック製品が開発され、扱いが簡単で安価であるため全国的に普及しました。木製の楽器は子供には扱いが難しく、特に湿度の高い日本では衛生面の問題が尽きませんでした。プラスチックのリコーダー誕生の裏にこんな必然があったわけです。
その後1970年代後半に入って、カルチャーセンターブームと古楽ブームを受け、製造目標をより高い位置付けにした品質の高い製品の開発がすすめられました。
全音、ヤマハ、そしてアウロス、と次々にヨーロッパの楽器博物館に保管されている歴史楽器の外寸と内寸を模倣したモデルを販売し始めたのです。プラスチックを流し込む型も接合部分のできないものに変更され、持った時の重さのバランスや、唄口の厚さ、低音から高音までの音色の統一感…など手工業的改善がなされました。
さすがに日本の工業製品、今では学校教材楽器としてだけではなく、プロも感心するほどの仕上がりの楽器としても逆輸出されるほどになり、品質の良さは全世界が認めるところです。
同じ頃、トラヴェルソ(横笛)のプラスチック製コピー楽器も、オリジナル楽器を所有する演奏家の協力を得て試作を重ねた末、製品化されました。この世界最高峰の品質の良さが、1つ目のポイントです。
さて、2つ目に大切なのは、横笛フルートは奏者が音を作る作業に介入しますが、リコーダーとオカリナは、息を吹き込むだけで音が出てしまう点です。
リコーダーの構造を見てみると、発音システムはとても単純で、奏者の息が100%唄口のウィンドウェーを通り、窓に当たって音が出ます。50%の息は楽器の外へ、残りの息は指で押さえていない指孔から外へ出ることで音高が決まります。
どうでしょうか?奏者自身のありようが瞬時に音に表現される単純な構造がお分かりになったでしょうか?
では、どんな息を楽器に吹き込むかよいのか…。これについては、また改めて書きたいと思います。
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