(freakonomics視聴記録) Nap Time for Everyone! (Ep. 468)

freakonomicsは、スティーヴン・J. ダブナー(Stephen J. Dubner)というアメリカ人の作家、ジャーナリストがホストをしているラジオ番組のタイトルです。freakonomicsは、日本では「ヤバい経済学」として本になっていますが、オリジナルはラジオ番組です。

以下は、英語の勉強のための個人的記録です。標題の回について要約しています。

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この回のテーマは昼寝です。昼寝が人の生産性にどう影響するかなどについて、睡眠の専門家にインタビューしています。

冒頭では、Dubner自身が寝ること、そして昼寝が好きだと言ってます。昼寝をすると、午前と午後で違うリズムで動けるので1日が2日になるみたいだと言ってます。

前半は、Washington State University’s College of Nursingで睡眠を研究しているLois and Stephen Jamesに話を聞いています。Jamesらはストレス(特に睡眠やシフト業務に関連した疲れ)が業務のパフォーマンスに与える影響を解明しようとしています。最初に、この影響は職業によって異なると指摘されます。例えば、内科医、航空関連、消防関連の職業は長時間のシフトがあるため、疲労や睡眠の必要性に対処することにより積極的です。 加えて、セルフケアや疲労に対する考え方といった文化的な違いの要素も大きいと指摘しています。

Jamesらは軍隊、警察、看護師、アスリートといった様々な職業の人と協力して調査をしてきましたが、ここでは警察官の結果を主に紹介しています。警察官は、平常業務中は穏やかに過ごせますが、突然ストレスが大きかったり、危険な状態にさらされることがある職業です。また、夜勤もあります。WHOによれば夜勤は発がん率にも悪影響があるそうです。

Jamesらはドライブシミュレーターを使って、警察官に様々な状況を疑似体験させることによって、睡眠と意思決定との関連を調査しました。

それによれば、4つの異なる勤務シフトの人々の調査から、夜勤シフトの人は、72時間の休みの後でも、日勤の人よりもパフォーマンスが悪かったそうです。この原因は慢性的な疲労によるものだそうです。

Dubnerはこの結果に対して、昼寝をするというルールは警察に受け入れられているのか?と質問していますが、L. Jamesは、ほとんど不可能なことだと思われている、と回答しています。

S. Jamesによると、昼寝がパフォーマンスを改善するというエビデンスはあることはありますが、まだ限られています。様々な職業での昼寝の効果を精神運動警戒試験(Psychomotor Vigilance Test, PVT)のような試験で調査して、有効性がわかってます。ただし、実際に業務パフォーマンスが上がるかどうかということについては調査中で、これは警察官やコミュニティをより安全にするかどうかということを知るためにやらなければならないことだと言っています。

昼寝というのは怠惰な習慣と思われがちなので受け入れられるのが簡単ではないという話もしています。

後半では、M.I.T.の経済学者Frank Schilbachが主なゲストとして登場し、インドのチェンナイで実施した実験について話しています。テーマは睡眠と生産性です。実験場所をチェンナイに選んだ理由は、この場所が睡眠を阻害する色んな要素に満ちているからです。例えば、暑さ、騒音、あるいはストレスなどの心理学的要因などです。チェンナイでの実験で知りたかったのは以下のことです。
1. 人々が実際どのくらい睡眠をとっているか?
2. 人々の睡眠を改善するためにどのようなことができるか?
3. 睡眠の効果が大きいとしたら、なぜ人々はあまり睡眠を取っていないのか?

このために、Schilbachらは450人の低所得の人々を集め、1か月間データ入力の仕事をしてもらいました。そして、全員にActiGraphと呼ばれるウェアラブル端末を付けて睡眠に関する情報を収集できる状態にしたうえで、睡眠の条件に関するランダム化比較試験を実施しました。

最初にわかったことは、人々が平均5.5時間しか眠ってないということでした。ただし実際にベッドに入っていたのはもっと長く、本人ももっと眠っていると思ってました。睡眠「効率」でいうと70%でした。高所得の国の睡眠効率は85~90%です。また、睡眠効率85%未満は専門家によれば睡眠に問題ありの状態です。

次に、睡眠改善の効果のある方法を調べるために、被験者をグループに分けて、一部にはマットレス、耳栓、まくらなど睡眠を助けるものを提供しました。また、睡眠に関する情報(夕方以降カフェインを飲まない、など)を提供されたグループもありました。また、お昼に昼寝をするように言われたグループもありました。その上で、生産性、健康度、認知能力などを測定しました。

実験の結果から、夜の睡眠について、介入があったグループは30分程度長く眠ってました。ただし、睡眠効率が上がったわけではなく、30分長くベッドに入って、その結果睡眠時間も長くなってました。さらに生産性には有意な違いが見られませんでした。

一方で、唯一昼寝だけは生産性、健康度、認知度などの向上に効果がありました。

この実験で夜長く眠るより昼寝の方が効果的だった理由として、Schilbachは2点挙げています。一つは、眠る時間帯が違うことの効果。もう一つは、被験者の夜睡眠を取る環境(=暑い、騒音でうるさい)よりも、実験で提供された昼寝環境が非常に快適だったことです。この2つ目の理由は、チェンナイでの実験が他の睡眠に関する実験結果(=睡眠が生産性を向上)と異なっていた理由かもしれない、としています。

Schilbachは、睡眠には長期的にはメンタルヘルスやwell-beingの改善効果があると思っているが、現実に人々が生活する世界で睡眠介入の効果があるかどうかを調べるために、いろんな条件でフィールド調査する必要があると考えています。

最後に、Schilbachは長く睡眠を取るだけでなく、睡眠の質が重要だと考えています。そのためのソリューションとして、騒音の規制とか、耳栓の推奨、人々のストレスや心配事の軽減を提案しています。

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