(読書記録) 「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる  「繊細さん」の本 (武田友紀 著)

この本は、様々な外部の刺激に対してとても敏感な人が、どのようにすれば生きやすくなるかを指南した本です。ここで言う敏感な人とは、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱したHSP (Highly Sensitive Person)のことで、この本では「繊細さん」と表現されています。また、「繊細さん」ではない人のことを「非・繊細さん」と呼んでいます。

橘玲氏の著書「スピリチュアルズ 」の中の内向性の説明の中でHSPの記述と武田友紀氏の名前が出てきたので興味が出て読んでみました。

この本の最初にアーロン博士によるHSPの自己テストがでてきます。これにより自分が「繊細さん」かどうか判断できます。質問内容は「他人の気分に左右される」、「騒音に悩まされやすい」などです。

繊細さんが抱えがちな悩みについても紹介されています。多いのが「人といると疲れる」というものです。

繊細さんは外部環境の色々な変化にに気づきすぎるのでそれに悩まされます。この本では、それらに対して、気づかないようにするという対処は効果がないと言います。そうではなく気づいたことに適切に対処することが大事だと言います。

人間関係に悩みがちな繊細さんへのアドバイスとしては以下のようなことが挙げられています。
・繊細さんと非・繊細さんでは感じ方が違うということを知っておくだけでもラクになる。相手が自分と同じように感じているはずと思って非・繊細さんに接するとすれ違いが生じることがある。
・人間関係の基本構造は「表に題している自分」に合う人が集まってくるということ。自分を出せば出すほど、自分に合う人が集まってラクになる。
・対面で会話しているとき、相手の話を聞き続けるのがしんどい場合、椅子の背もたれまで体を引くなど、座る位置を調整する。これはカウンセラーが使うテクニックでもある。

繊細さんが仕事で直面しがちな悩みへのアドバイスとしては以下のようなことが挙げられています。
・あれもこれもと仕事を頼まれて焦ってしまうときは、「一つひとつやっていこう!」という合言葉を思い出す。これにより目の前の仕事とは関係ない考えを頭から追い払う効果がある。
・繊細さんは非・繊細さんより多くのことに気づくので、そのことに全部対処すると処理量が多く疲れる。気づいた場合でも、それに対応するかしないかは自分で選ぶという意思を持つ必要がある。「致命傷でなければ、対応せずに放っておく」ことも大事。
・繊細さんは回りに機嫌の悪い人がいるとぐったりしてしまう。そういう場合、「機嫌悪いんだな!」と思うにとどめ、あとは放っておく。

この本では、繊細さんの良いところも多く挙げられています。また、その良いところを活かす技術にも言及されています。
・他の人が気づかない小さな改善点に気づく
・日常の小さな嬉しさをキャッチする
・聞き上手
・深く考察する
・ものごとの本質にたどりつく
こうした強みを生かすには、自由に感じていい、安心できる場所にいることが大切だと言います。

この本の最後では、繊細さんが自分のままで元気にいるには、自分の「こうしたい」という思いを何よりも大切にすることが大事だと言います。そのために、自分の本音を知るための方法も書かれています(自分と会話する、など)。そして小さな本音を叶えていくことで、自分にとっていいことを選ぶ感覚がつかめてきます。そこから、大きな決断ができるようになるということです。


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