(読書記録) イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション): デジタル技術で爆発的に成長する産業、破壊される産業 (兼安暁 著)

この本はDX(デジタルトランスフォーメーション)について、最近の動向を幅広く解説した本です。著者は企業での勤務を経て、フリーのコンサルタントとして独立した方で、これまでに200以上のDX案件に携わった経験があるそうです。ちなみに、この本は2019年10月に出版されたものです。

DXって最近よく聞くし自分でも何となくこういうことかな、という漠然としたイメージはあったのですが、ちゃんとした情報を仕入れたいなということで何冊か本を買ってみたのですが、これはそのうちの一冊です。

前半では、様々なDX技術やコンテンツ、そしてそれに伴いディスラプトされる既存産業について紹介しています。AIとIOT、ブロックチェーン、デジタルツイン、VR・AR、3Dプリンタなどです。例えば、現実世界のものや生き物のデジタル版のレプリカを作る技術であるデジタルツインは、シミュレーション、故障の予兆検知などに利用されています。また、ベル・ヘリコプターという会社では、通常5~7年かかるとされるヘリコプターの設計をVRを使うことで6か月に短縮したそうです。中でも、著者が強調する重要な技術がスペーシャル・ウェブ(空間ウェブ)です。スマート・アイウェア(仮想空間を見られるようなメガネ・コンタクトレンズ)が普及するとスペーシャル・ウェブの時代になると言われているそうです。これを使って完全にVRのショッピングモールに行ったり、ミュージシャンのライブに行くようなイメージです。こうした技術は、スマホなどを不要にする可能性があるとのことです。

後半では、DXによる変化の本質、企業・個人の生き残り策について書かれています。どんなものもデジタル化するとエクスポネンシャルな(=指数関数的な)成長曲線を描き出すそうです。なぜなら、デジタル化された情報はアクセスやシェアが簡単だからです。そして、これからの時代は10倍以上の成長率がないと生き残れないと言います。数十パーセントや数倍ではダメだということです。

では、DXの時代に生き残るために企業は何から始めるべきか、という点ですが、製造業であれば製品の設計図をデジタル化するところから始める、ということです。また、製造業に限らず、いろいろな場所にセンサーを付けることを検討する、ということです。そこから、センサー→ビッグデータ→AI→制御→結果→センサー、のフィードバック・ループを作ることが大切だということです。

一方で、個人のキャリアの考え方については、雇用という概念は徐々になくなっていくと書かれています。そしてそういう時代を生き抜くには時代の流れを先回りすることが大事だと言います。この本の最後にはこれからの時代に求められている人材についての著者の意見が書かれています。例えば、興味を持ったものは範囲を限定せずにすべてやってみる、といったことを提案しています。

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