(freakonomics視聴記録) She’s From the Government, and She’s Here to Help (Ep. 466)

freakonomicsは、スティーヴン・J. ダブナー(Stephen J. Dubner)というアメリカ人の作家、ジャーナリストがホストをしているラジオ番組のタイトルです。freakonomicsは、日本では「ヤバい経済学」として本になっていますが、オリジナルはラジオ番組です。

以下は、英語の勉強のための個人的記録です。標題の回について要約しています。

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この回は、バイデン政権において米大統領経済諮問委員会委員長(the chair of the White House Council of Economic Advisors, C.E.A.)に就任したCecilia Rouseのインタビュー記事です。Rouseはプリンストン大の経済学の教授で、このポジションに初めて就任するAfrican Americanです。C.E.A.の役割は、the White House’s in-house, real-time, economic think tankと説明されています。

Rouseは最近の懸念としてサプライチェーンを挙げています。サプライチェーンはコロナ禍に対応するに大変でしたが、今は平時に戻るのに苦戦しています。このことをRouseは最近のホワイトハウスでの会見で、「マスクの過剰供給とリップスティックの不足に陥ることを予想しています」と表現しました。より深刻なこととして、半導体などが不足することも指摘されています。こうした予測しにくい状況であるからこそ、Rouseに対する注目が集まっています。

こうした状況に対して、Rouseは次のような態度を表明しています。「学問的な成果は全ての質問に答えられるわけではありません。ある部分からは政治的な決断になります。経済学者はこうした政治的な制約の中で便益を最大化する必要があります。そして、経済学者の役割は、『政治的な優先事項についてはわかりましたが、経済学の観点からはこう言えます』と発言することです。」

バイデン政権の(クリントン政権やオバマ政権を超える)大規模な財政出動(例えば、米国家族計画、米国雇用計画)に関しては、賛否両論があります。これに対して、Rouseは、経済学の勉強の中で、インセンティブや効率性について気にするように教育を受けてきたが、一方で、本当に必要な人だけが対象になるようにしようとすると制度が複雑になりすぎてしまい良くない。そのため多少の非効率は許容されるべきであるという趣旨の回答をしています。

また、オバマ政権のときもインフレは懸念されていたが、インフレにはならなかった。したがって、政府はより大きなを許容できるとしています。さらに、財政出動はその後の収益で回収できることを示したレポートがC.E.A.のウェブサイトにあると言っています。

米国では、住宅、教育、医療の価格は上がるのに賃金が上がらないという問題があり、「米国家族計画」はこれに対する対策です。その中にはコミュニティカレッジのの無償化もあります。Rouseは、教育への投資に反対する経済学者はいないだろうと言います。Dubnerはこれに対して、Rouseがオバマ政権時代に、コミュニティカレッジの中退率が50%程度であるとした発言を引用して、なぜ「米国家族計画」が良い政策なのかを問います。

Rouseの回答は次のようなものです。コミュニティカレッジはより高度な教育へのとっかかりとなります。また、コミュニティカレッジを、労働市場において働く人が業種転換する際のトレーニングのための機会とすることに取り組みます。中退対策として、retention fundsに600億ドル投入することを提案しています。

その後、話題は学生ローンの返済の問題に移ります。Rouseはローン返済が大きな社会問題であることを認めつつも、明確なコメントは避けています。ただ、大統領がローン返済プログラムをより効果的にすることに意欲的であることを述べています。

ベーシックインカム(universal basic income, U.B.I.)について聞かれて、バイデン政権は人々が報酬の良い仕事を持つことが重要であると認識していると回答しています。また、気候変動対策としてのイノベーションが新しい仕事を生み出すことを示唆しています。

Rouseの出自についても聞かれています。Rouseの父親は黒人で博士号を取った最初期の人、母親は学校の心理カウンセラー、Rouseを含めた兄弟姉妹3人とも博士号を持っています。父親は黒人として差別を受けたことがあると言っています。父のような人がいなければ、今日の私はいないと言っています。

格差についても話しています。標準的な経済学では、貿易により多くの人々が恩恵をこうむるとされていますが、実際には、製造業の仕事が中国などに移ったことにより、非常に大きな格差が生れています。Rouseはこのことを認めた上で、貿易調整支援制度(Trade-adjustment assistance)はこうした貿易で職を失った人たちを再教育により支援することを意図してますが、それがうまくいかないこともあるかもしれない、と述べています。

最後に、Rouseの経済学者としての態度として、経済学者は平均などでまとめられたデータではなくて、全ての人々のデータをきちんと見ることが重要だと述べてます。また、様々な意見を恐れずに聴くことが大事だとしています。

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以下、視聴の感想です。「視聴」と書きましたが、僕にとっては英語も内容も難しかったので、ウェブサイトのスクリプトを何度が読んで書きました。Dubnerはインタビュアーとしてなかなか鋭い質問をしますが、Rouseの回答はややわかりにくいように感じました。これは僕の米国に関する知識が足りないことが大きいですが、それに加えて、Rouseの立場上あまりわかりやすい回答ができないというのもあるように思いました。全体を通して感じたのは、Rouseは経済学者ですが、経済学の学問的な知見もときには間違うことがあるかもしれないというスタンスで、現実をきちんと観察しようというバランス感覚に優れた人だということです。

freakonomicsは何年か前からリスニング練習用として聞いてますが、聞き流してしまうことも多く、内容が全然理解できてないときも多いです。おそらく今回もただ聞くだけだとよくわからないで終わったと思うのですが、この文章を書くために何度かスクリプトを読み直したりして何とか理解できたので良い勉強にはなったと思います。ただ、あまり背伸びすると継続できないので今後もゆるーく続けていきたいと思います。

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