(freakonomics視聴記録) Mayor Pete and Elaine Chao Hit the Road (Ep. 471)

freakonomicsは、スティーヴン・J. ダブナー(Stephen J. Dubner)というアメリカ人の作家、ジャーナリストがホストをしているラジオ番組のタイトルです。freakonomicsは、日本では「ヤバい経済学」として本になっていますが、オリジナルはラジオ番組です。

以下は、英語の勉強のための個人的記録です。標題の回について要約しています。

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今回は、アメリカにおけるインフラ投資(主に交通機関)の問題に関する話題です。タイトルに登場しているPete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)はまだ39歳のバイデン政権の運輸長官、Elaine Chao(イレーン・チャオ)は、Buttigiegの前任の運輸長官でした。

今回は、Buttigiegのインフラ政策(例えば高速鉄道の整備)に対していろいろツッコミが入ることにより、いろんな論点をあぶりだす、といった流れになっています。

はじめに、アメリカのインフラ(主に交通機関)は貧弱であるという問題提起がなされます。インフラは老朽化しているにも関わらず、年々インフラ投資額は減っています。これに対して、中国ではインフラに莫大な投資がなされています。

この差の要因の一つとして、中国はより中央集権的でトップダウンでの投資がなされるということが指摘されます。アメリカでは、インフラ投資は主に州レベルでなされ、連邦政府レベルではないそうです。では、アメリカもトップダウンで投資をした方がいいのではないか、という意見に対して、ハーバード大学教授でインフラの研究をしているEd Glaeser(エド・グレイザー)は反対しています。理由は、連邦政府レベルの投資は無駄が多いからです。一例として、ボストンの高速道路を地下トンネル通したBig Dig事業は、計画よりも9年長くかかり、当初の予算を200%上回ったことを挙げています。

Buttigiegは、中国の高速鉄道に対抗して、アメリカにも同様の公共交通機関を作ることがアメリカに恩恵をもたらすと言いますが、クレムソン大学の准教授で都市計画を研究しているEric Morris(エリック・モリス)はこの意見に反対します。理由は、既存のインフラ(道路)と競合して、期待したほどの経済効果が生れないと考えているからです。

Glaeserはインフラ建設のためには費用対効果分析が必要とした上で、乗客の少ない鉄道では利益は出せないと主張します。この点についてはChaoも同意見です。一方、Buttigieg運輸長官は、一般論として、インフラ投資は利益の源泉(profit center)ではないとした上で、鉄道による経済効果は鉄道自体だけでなく、それによって移動した人の雇用の効果なども考慮すべきと言います。ただ、Glaeserは雇用を増やす効果も大きくないと言います。Glaeserは鉄道建設に難色を示す一方で、公共のバスについては一考に値すると考えています。

また、Glaeserはインフラ建設費用はそれを使う人が払う、という考えを支持します。つまり、有料道路とすることです。ただし、Glaeserはアメリカは無料の道路に慣れているので有料化するのが難しいと考えています。これまでアメリカの道路建設はガソリン税によってまかなわれている部分が大きかったのですが、車の燃費がよくなってきてガソリン税による収入が減少してきており、道路建設をまかなえなくなってきました。さらに、電気自動車が普及すると、その傾向はますます高まります。一方で、車社会のアメリカではガソリン税を上げるというのは非常に人気のない政策であり、共和党も民主党もこの政策には及び腰です。

インフラの財源の話とは別に、Buttigiegはアメリカの交通事故が多いことも問題視しています。2020年は、コロナのために2019年よりも約13%交通量が少なくなったにも関わらず交通事故死者数が7%以上増加したそうです。その原因は調査中ですが、仮説の一つは、より空いている道路でよりスピードを出したということのようです。

最後はButtigiegの次のような言葉で締められています。我々は人間が私たちの交通政策の中心にいることを確認する必要があります。人間は、安全に歩き、そして、車いす、バイク、車など手段によらず安全に移動できる多くの選択肢を持つ必要があります。

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freakonomicsは毎回数人のゲストの発言が代わる代わるにあって、聴いていて飽きないのですが、それゆえに要約しようとすると難しいと思うこともあります。今回もそうでした。なので、端折った部分もあり、かつうまく要約できてない部分もあるかと思います。もし、この記事を見て頂いた方で興味を持たれた方は原文にアクセス頂くことをお勧めします。

今回のfreakonomicsの話題とは関係ないですがPete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)はまだ39歳と若く、また、同性愛者であり、しかもそれを公表する初の閣僚なのだそうです。なので、そういう意味でも注目を集めている人物のようです。

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