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「投票することは、生きたい社会を選ぶこと」 故郷、兵庫県三田市で私は伝え続けたい。

2020年10月、三田市議会議員選挙。
投票率3%アップは、私の大きな1歩であり、始まりにすぎません。

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米田由実(よねだゆみ)
NO YOUTH NO JAPANメンバー
兵庫県三田市出身・在住
デンマーク留学をきっかけに日本の若者の政治参加意識の低さに
疑問をもち、2020年3月からNYNJに参加。
好きなことは美術館とカフェ巡り。
VOTE FOR SANDAのリーダーを務めた。

実は、ほぼ毎週末日本のどこかで行われている地方選挙。一つひとつの選挙が大きく注目されることは少ないけれど、それでも、その土地に住む人にとって、1回の選挙が持つ意味は大きい。

だからこそ私は、故郷である人口11万人のまち、三田市の市議会議員選挙の投票率を本気で上げたかった。

8月下旬、NO YOUTH NO JAPANのメンバー、そして有志の三田市在住の大学生4人と共に、VOTE FOR SANDAプロジェクトを立ち上げました。

VOTE FOR MYTOWNは、地方選挙で若者の投票率を上げることを目指したNO YOUTH NO JAPANのプロジェクト。これまでに神奈川県小田原市の市長選「VOTE FOR ODAWARA」、東京都北区都議補選「VOTE FOR KITA-KU」、東京都知事選「VOTE FOR TOKYO」の3つの選挙で企画を行ってきました。

10年後も、この街を好きだといいたい。 

私は三田で生まれ、三田で育ち、今も三田に住んでいます。
三田には大好きな友達や家族、お世話になった先生、大切な人がたくさんいます。

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そんな大好きな街だからこそ、この街の投票率の低さ(前回の三田市議会議員選挙の全体投票率は49.0%。10代の投票率は33.2%)を見過ごすことができませんでした。

選挙を「自分が生きたい社会」について考えるきっかけにしてほしい。そして、一人でも多くの三田市民に未来にもっとワクワクしてほしい。

そのために「投票することは生きたい社会を選ぶこと」というメッセージを、大きな声で伝えたい。そして、10年後も胸を張って「三田が好きだ」と言いたい。

VOTE FOR SANADA を立ち上げたのは、「私が三田の選挙を盛り上げないわけにはいかない!」と思ったからでした。

「三田でなら、本当に投票率を上げられるかもしれない」

そんな想いも、プロジェクトの立ち上げを後押ししました。

三田市のU30世代の有権者は約14,800人。つまり、148人が選挙に行けば、U30世代の投票率は、1%あがります。

この人数なら、声を届けられるのではないか。自分と深いつながりのある三田でなら、私の声が響くかもしれない。選挙に興味がなくても、私が発信していたら目を向け、耳を傾けてくれるのではないか?と考えたのです。

地域に根差した選挙だからこその、人との距離の近さ

プロジェクトで行ったのは、選挙や三田についての情報をまとめたパンフレット・ポスターの作成・配布、候補者アンケートの実施、Instagramでの情報発信です。(詳しくはこちらから)

市内の高校や、飲食店・ワーキングスペースを運営するみなさまのおかげで、パンフレットやポスターを50か所以上に配布・設置。また、神戸新聞に取材、ラジオ(HONEY FM 82.2MHz)、テレビに出演(J:COMチャンネル「ジモト応援!兵庫つながるNews」)し、プロジェクトへの想いを多くの人に伝える機会をいただきました。

地元企業6社もプロジェクトにご協賛くださり、プロジェクト拡大の後押ししていただいたほか、候補者のみなさんからは、三田に住む若者への熱いメッセージをいただきました。

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地域に根ざした選挙だからこそ、人と人との距離が近い。プロジェクトの中で感じたのは、数えきれないほどの温かいつながりです。

例えば、家族でよく訪れる蕎麦屋さんにポスターを貼っていただいたとき。
普段は、ただ食事をして帰るだけの場所で、ポスターをきっかけにスタッフの方と選挙や三田についての会話が生まれました。プロジェクトを通じて出会った方たちと三田について対話する。そんな時間や、プロジェクトで得たつながりは、私にとってかけがえのないものでした。

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応援してくださる方々からの「若い世代だからこそできることがある、三田の未来のために頑張ってほしい」という応援の言葉に、何度も励まされました。

選挙は終わった。でも、今日も政治と無関係ではいられない。

そして迎えた、投開票日の10月4日。

20時の投票締め切り後、私はパソコンの画面にしがみつくように全体投票率の発表を待っていました。

結果、全体投票率は51.8%。

前回の49.0%より約3%上がり、新たに約2800人の三田市民が選挙に行ったと推定できます。

「投票率が上がった!」

自分たちの活動が少しでも力になったのかもしれないと思うと、嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。

それと同時に「まだ、51.8%」と、がっかりした気持ちが押し寄せてきました。

51.8%という数字が示すのは、約半分の人は投票に行かなかったという事実です。その結果、候補者のうち22名が当選し、15名が落選しました。

応援・協力してくださった地域のみなさん、「Instagramを見て投票に行ったよ」と声をかけてくれたたくさんの友達、一緒に活動してくれた仲間たち、そしてアンケートに心を込めて回答してくださった候補者のみなさん。

そんな方々の存在が頭に浮かびました。

本当にこれで、「三田市民が選んだ三田市議会」と呼んでいいのでしょうか?
約半分の三田市民の声は、ないものにしてしまって良いのでしょうか?
投票率51.8%は、三田市議会議員選挙に関わったすべての人たちが心から「やりきった」と思える数字なのでしょうか?

私は、そうじゃないと思います。
三田市民の声は、まだ政治に届ききっていない。

選挙が終わった。それ以上でもそれ以下でもありません。
わたしたちは、今日も政治と無関係ではいられない。

だからこそ、日ごろから政治について知り、考え、語るきっかけをつくりたい。
もっともっと、政治とわたしたちの距離を縮めたい。

私はそのための方法を、これからも模索していきます。

投票することは、生きたい社会を選ぶこと

「投票率を上げる」ということの難しさを痛感したプロジェクトでしたが、もう一つ心に残った想いは「やっぱり選挙って面白い!」ということ。

37人もの候補者が「こんな三田にしたい!」を町中で語る。それを聞いて、身近な人たちと、政治について、私たちが生きたい三田市について対話する。そんな選挙ならではの特別な雰囲気を、存分に楽しみました。

「どうやって名前を書く1人を選ぶのか」は、有権者のみなさん一人ひとり全く違うはず。それがどれほど悩んで決めた1人でも、適当に決めた1人でも、「この人に投票しよう」と決めたのには何か理由があるんじゃないかと思います。

「自分がこの選挙で気になることってなんだろう?」
「自分が市議会議員に求めることって何だろう?」
「自分が大切にしたいことって何だろう?」
「自分が生きたい社会ってどんな社会だろう?」

「自分はこんな社会で生きたい」と具体的に想像できたら、「こんな未来になったらいいな」「自分がこんな社会をこれからつくっていくぞ」と未来にもっとワクワクしてくると、私は思うのです。

そして、そんな「ちょっと先の未来にワクワクする人」がたくさんいる社会が、私にとっての「生きたい社会」です。

私は自分が「生きたい社会」を、「生きたい三田市」を、自分の手でつくりたい。
そのために「投票することは生きたい社会を選ぶこと」というメッセージを、選挙が終わった今も、これからも、大きな声で伝えたい。

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改めまして、VOTE FOR SANDAに共感し、協力してくださったみなさん本当にありがとうございました。

NO YOUTH NO JAPANの地方選挙への挑戦は、まだまだ始まったばかり。
これからも温かく見守っていただけたらとても嬉しいです。

(文=米田由実)




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