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秋の絵
あの日 私はあなたの心の中にいました
思い出という名の窓から心象風景をながめると
淡い日差しに空がまぶしく揺れていました
落ち葉の季節は耳を澄ませて風を待ちます
砂を巻きあげながら地面を移動する枯葉が
せせらぎの音をたてるのを待っているのです
初めてその音を聞いたときの胸の高鳴りは
私の体が覚えています
耳のそばで吐息のようにささやく音は
小さな鈴がシャラシャラと鳴る様にも似て
みぞおちのあたりを絞られるような懐かしさと
全身を吹き抜ける高揚感がありました
逆光から逃げるように
安らげる木陰に身を寄せて
あそこで話し込んでいる二人が遠ざかるまで
目立たぬように気配を消して
私はたたずんでいます
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