![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120419339/rectangle_large_type_2_27709723495ca8b9da367d0e02c04338.jpg?width=800)
Jリーグの歌
サッカーの話ではなく、一子相伝の話。
2000年頃だったと思う。
学生時代、アルバイトを終えて帰宅した私に父が言った。
『おめぇ、Jリーグの歌、知ってっか?』
血のつながった親子だろうが何だろうが、察しようがないこともある。例えばこういう問いかけが良い例だ。
「Jリーグに歌なんてあった?」
本当に思い当たる節がない。
『プァッ!アレだけテレビで流れてておめぇ知らねぇのか』
はーいウザ絡みね。こういうイジりはさっさと終わらせるに限る。
「うーん、学校とバイトの往復でテレビ見る時間ないからわからないなぁ。」
家計を助けてバカにされる筋合いはないですよ、と。
『ええ ホントに知らないの?』
よし、流れが変わった。
「知らない知らない。なんていう歌?」
タイトルを聞いたところでわからない気がするが、とりあえずニコニコと尋ねる。
『なんだよぉ ホントぉ?ホントに知らないの?題名とかないよ。ただの歌』
父は父でニヤニヤ笑いながらもったいぶりやがる。ふふ。めんどくさい。
「なんだろ、うーん……(考えるフリして数秒沈黙してみる)題名がないとか……うぅ、ダメだ、やっぱりわかんない。ちょっと歌ってみてよ。」
私をイジりたいだけならこれでお開きだろうと思ったのに、父の反応は意外なものだった。しようがねぇなと満更でもなさそうに息をスゥーッと吸い込むと
『折〜れ、折れ、折れ、折ぉ〜れぇぇ〜』
腹から声を出す父に目が点になった。きょとんとしていると父は嬉々として繰り返した。
『わかんないのぉ?おーれおれおれおーれーって、テレビでしょっちゅう流れてる有名な歌だぞ。おまえ遅れてるなー。』
いやいや。いやいやいや!
「お父さんそれ、OLE OLE OLE OLEだよ。しかもJリーグの歌ってわけじゃないと思う。」
笑いがこみ上げたその瞬間、脳裏を駆け巡ったのはカラオケで友人からダメ出しされた記憶だった。「ほら、トナリノヨーコちゃん、リズムあってないよ!手拍子してあげるから合わせて!ハイハイハイハイッ!」
我に返るとうぐっ、っふ、ぐぅぅーと笑っているのか泣いているのかわからない声で悶絶している自分がいた。
もう20年くらいはカラオケ行ってないですね。
Jリーグの歌はあるんでしょうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?