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うつ病。10年以上いまも続く。-2-

妻が
『どうしたの?』と聞いてきたことは覚えている。
声が出ずに涙を流しながら首を横に振り、
訳が分からないという状況を伝える。

妻は年下で当時22歳。
ただならぬ雰囲気を察したらしい。

出勤時間が迫っていた彼女は、とりあえず
私の代わりに勤務先へ欠勤の連絡をいれて、
『必ず病院へ行くように。』と言葉を残し、足早に家を後にした。
そしてすぐにメールが届いた。
「状況を逐一報告するように。絵文字」

冷静に振り返ると、結婚したばかりの夫、しかも容体が不明を
ひとり部屋に置いて出勤していくという彼女の心理状態は、
混乱していたに違いない。

『だが普通置いていくか?』

後日聞いてみたことがあるけれど、何も考えていなかったらしい。
そんな"普通ではない"彼女の考え方が後々私を救ってくれることになることをここに記しておきたい。

20代前半、しかも新婚であれば別々の道を歩むことを考える機会になるであろうこの病と10年以上もともに並走し、私を支えている彼女の"普通ではない"考え方は、病気後にやってくる様々な場面で効果を発揮する。

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