『羅小黒戦記』を観てきたよという話


12月16日水曜日、お休みだったのでこれ幸いと最近タイムラインでなにかと見かける『羅小黒戦記』を観に行きました。結論から言うとすごく面白かったです。想像以上によかった。その後スタバでしばらく「風息……」とうめくだけの置物になっていました。あれから数日経った今でもふとした折に思い出しては「風息……」とうめいてます。観に行ってよかったけど、胸に刺さったまま抜けなくて息苦しいよ……この気持ちを私はどうすればいいの……。

というわけで、そんな自分を慰めて感情を整理するべく感想を書きます。これから観に行く人は読まないほうがいいと思います。気になってるよという人はこんなの読んでないでとりあえず映画館に行ったほうがいいと思います。上映してる映画館は限られてるみたいなので……。ちょっとチープな絵だなって思うかもしれないけど、元がWebアニメなのでそっちに絵を寄せてる(らしい)んです……面白さや作画は確かです……。一応キャラクターの把握だけは簡単にしてから観たほうがわかりやすいかなと思います……。


まず、最初の森の中での猫姿のシャオヘイがめちゃくちゃ可愛かったです。「みゃ!」だけでももう観に行ってよかったなと思いました。本当に可愛い。隙をついて無限さまに襲い掛かるものの一瞬で鎮圧されるシャオヘイも可愛かったし、意気揚々と逃げ出そうとしては一瞬で捕まって無限さまの肩やら枝やらに吊るされて持ち運ばれるシャオヘイも可愛かったです。おきゃわ。それからくるくると変わる表情! おいしいものにきゅぴーん!と目を輝かせるシャオヘイ、おいしいものに目を惹かれちゃうシャオヘイ、メジェド様みたいな顔をするシャオヘイ、海に飛び込んで息が続かずにきゅぴっと空気を吐き出すシャオヘイ、可愛い。いとおきゃわ。ぐわっと大きな化け猫姿になるのもよかったです。ただ可愛いだけのネコチャンではない……。あと、シャオヘイのそばにいる、シャオヘイをちびちびマスコットにしましたみたいなちまこいまるまるしたねこはなんなんだろうと思っていたんですけど、調べてみたらヘイシュって名前らしく、シャオヘイのしっぽから分裂した生命体らしいです。分身とか使い魔とかそんな感じなのかな。可愛いので全部オッケーです。かわいい。

木の幹や岩からぽよんと出てきて魚の形になって宙を泳いでいた半透明の泡みたいなもの、最初はよくわからなくて森の息吹やら呼吸やら意思やらそういうものの表現かな?と思っていたんですけど、フーシーに拾われたあとに行った森で同じようにぽよぽよぽよんと出てきたものたちがきのこの形になったり蝶の形になったりしつつ、少しだけ個々の意思があるような様子を見せていたので、もしかして小さな妖精たちなのかなと思いました。でもずっと後のシーンで無限さまの肩に乗った蝶の形の小妖精(暫定)が声の伝達を担っているような描写もあったので、ううん、どうなんだろう。わかんないな……。作中でも特に説明なかったと思うんだけどな……。でもろしゃお、割と重要そうなことをさらっと流して説明してたからな……。聞き逃してる可能性はある。一番いいのは公式の情報を探すことなので、落ち着いたらちょっと見に行きます。今は無理。布団の中で丸まってぐるぐる思いを馳せることしかできない。

で、最初の展開がめちゃくちゃ早かったです。おそらくシャオヘイが開発によって森から追われたのであろう場面から、フーシーに拾われて新たな居場所を得て、無限さま襲来の場面まですごくスピーディーでした。フーシーに新しい寝床をもらった翌日に無限さまが襲来してきたのは早すぎてちょっと笑ってしまった。あわただしい。これも最初わからなかったんですけど、シャオヘイが森を切り拓いていくショベルカーと人間の姿を見ながら大きな穴に落ちていって、次の瞬間、街の路地裏にあるごみ袋の上に寝転がっている、という場面、実はシャオヘイが森を追われたときの夢をごみ袋の上で見ていたんだよという描写らしいです。全然わからなかった。え?これ観た人すぐにわかった?全然わからなかったよ……てっきり穴の中に落ちている途中でごみ袋の上に転移したのかと……。全然関係ないけど、シャオヘイの歓迎会でお花を降らせるロジュがめちゃくちゃ可愛くて好きです。そしてお肉に負けるロジュ。可愛い。ロジュ結構好きです。「おにく」「おさけ」の二言だけで会話を完結させてたテンフーも可愛くて好き。シューファイはなんか寡黙できれいで強そうな人だなと(暴れるロジュを片手で引き留めてびくともしなかったし)。フーシーはね……ふ フーシー フーシーは 「おさけ」ってシャオヘイにお酒を差し出したテンフーにすかさず「だめだ」って片手を突き出したシーンが好きで あと 「おいで」ってシャオヘイに言うところがすごく 声が優しくて 好きです うっううフーシー フーシーの話はあとでまたします ううう。

コマ送りが早すぎて把握できてないまま進むことがたまにありましたね。戦闘シーンとかね。早すぎて目で追えない。ごめんね平和ボケしてる人間だから……。でもすごくわくわくした!あと無限さまがめちゃくちゃ強いのがよくわかりました。無限さま恐ろしく強い。最強の執行人の名は伊達じゃない。だってあの人、フーシーとロジュとシューファイとテンフーの四人を相手取って涼しい顔で片手でいなしてましたからね。というか戦闘のときはだいたい背をぴんと伸ばして片手で全部対応してたな。強いな……。そしてその姿がまた美しい。シンプルで機能的な美しさって言うのかな……。髪の動きも綺麗だったしな……。それとは別にそもそもうっかりナンパされちゃうくらいに美人だからな……。「そこのお姉さん」って声をかけて男だって気づいた瞬間にスンと興味を失くしてさっさと去っていくお兄さん、潔すぎて笑いました。いやそもそもスクーターで爆走してる人間に車を並走させて声をかけるのやめたほうがいいんじゃないかなお兄さん。お互い危ないよ……。だいたいの戦闘は涼しい顔でこなす無限さまだけど、シャオヘイが傷つけられたときだけは余裕も表情も崩して戦うのがめちゃくちゃ好きです。初めに襲来してきたときは「私の任務はお前たちの捕獲。説明ではない」とか言ってむしろ無限さまこそが敵みたいな立ち位置にいたくせに……事前情報なかったら確実にこの人敵なんだなって思ってたし事前情報あっても敵……?ってちょっと首を傾げたよ。ややこしいよ。だいたい無限さまが強すぎるのが悪い。

ずっと後のシーンで他の執行人が数人出てくるんですけど、その中でも無限さまをちょっとよく思ってないらしい執行人二人が「殴れたらとっくに殴ってる!」「そうだそうだ!」って言ってる場面があって(セリフはうろ覚えだけど)、かわいいなと思いました。気に食わないけど実力は認めてるって感じなんでしょうかね。可愛いですね。

無限さま、めちゃくちゃお強いけど食い逃げはする。シャオヘイを小脇に抱えてぴゅーっと逃げる。面白すぎる。でも食い逃げはだめです。よく見るとちょっと気まずそうに汗をかいてるの笑う。そしてただ焼くだけなのに魚も肉もおいしくないものにする(というより、生焼けだったみたい)天才な無限さま。一口食べて「んえ……」「んあ……」ってぽと……とお肉を口から落とす師弟、可愛い。無限さまは金性らしいので、火とは相性が悪いせいかな、とフォロワーが言ってました。五行はさわりしか知らないのでほへーとしか言えませんでした。そういえば偶然本屋さんで手に取った本に五行の話があって、そこに「金行ははさみやなたを意味する、”淘汰”するものを指す、木の生えすぎた枝を切り払っていくように」とあって、ムグ……と顔をしわしわにしました。む 無限さまとフーシー……「金」の無限さまと「木」の風息、もともと相性は悪い、ましてや最終戦の場は市街地だったし、ううう彼の話はあとでする、まとめてする……。あと、霊域でシャオヘイに「才能がある」と言ったあと、何日か後に鍛錬をしてきたおかげで頭角を現してきたシャオヘイを見ながら真顔で「本当に才能があった」って呟いたのには笑いました。適当言ってたの?

街に着いて少しして、人の世に混じって花屋さんをしてるらしい花の妖精と会って会話をする場面で、彼女からシャオヘイがもらった黄色いお花がいつの間にか当然のように無限さまの髪に挿されてるところで笑いました。似合うけどなに当然のように髪に挿してるんですか?これどっちが挿したの?それから、大勢の人が行きかう交差点で、せかせかと足を動かしてついてくる黒猫姿のシャオヘイに腕を差し伸べて「おいで」って言う無限さま、あまりにも声が優しすぎてときめきました。フーシーといい無限さまといい、「おいで」が優しすぎて本当にあの……シャオヘイ……大事にされててよい……。大事にと言えば、フーシー側も無限さま側も小さな子どもには一切手を出さない(被害が出ないようにしている)のがよかったです。操らない、利用しない、「子ども(あるいは幼い者)は守るもの」っていうのがどちらも根底にあるのかなと思いました。フーシーは……あの……結局シャオヘイを傷つけましたが……あの……待ってこれもあとでまとめて話す……。

そう、あとは、『羅小黒戦記』で好きなのはどちらの陣営も子ども(幼い者)には手を出さないようにしているところだけではなくて、相手の気持ちを否定しないっていうところと、単純に善悪を断じないところも好きです。執行人たちが集まって人間が好きかどうかという話をしている場面では、「人間が好き」「好きではない」とそれぞれが違う気持ちを言うんですけど、その人が話してることを否定しないし茶々も入れないのがお互いを尊重してていいなって思いました。できて当然のことなんですけど、なかなか難しいんですよねこれって。私もこうありたいなと思いました。それからシャオヘイの「フーシーは悪い人なの?」という問いに対して「私に聞かなくても、お前の中に答えがあるはずだ」って返す無限さま……善悪がわかることを主張してから「あんたも悪人じゃないよ。……いい人でもないけど!」って言うシャオヘイとその言葉を聞いてふっと笑う無限さま……ああああフーシー きみ 君がいっそ本当にどうしようもなく芯から悪い人だったらよかったのに なんで 待ってくださいすみません、たびたび失礼。落ち着きます。ホテルの一室ではしゃいで猫の姿で駆け回って、ベッドに寝転がる無限さまのお腹をぴょんと蹴っていき洗面所まで駆けてがらがらがっしゃん水が流れ出る音と「みゃーっ!?」って悲鳴を上げるシャオヘイ、めちゃくちゃネコチャン、可愛かったな……。一連の流れを見届けてからふって笑う無限さま、普通に保護者でよかったな……。

地下鉄でシャオヘイが攫われるイベントがあるんですけど、ここでも無限さまがすごかったです。状況を把握した途端、身一つで電車を追っていく無限さま、敵(たぶん「土」の人かな?)(そういえばなんか催眠かけられるっぽい人と「土」の人、全然名前出てこなかった)が線路を土で封鎖してもずばばんと穴を空けて通っていくしなんなら線路も使ってた気がする。めちゃくちゃ強い。一方車内では、眠らされたシャオヘイを荷物でも持つかのように小脇に雑に抱えた敵の人を見た乗客の小さな女の子が、不安そうな顔で「その子どうしたんですか、具合悪いんですか、席替わりましょうか」と声をかけていて、それを機になんだかおかしいぞ人攫いか?と他の乗客たちが怪しんで次々に声をかけていて、おお健全で優しい世界……と思いました。まあ乗客の方々、その後身を挺して穴の空いた天井から降ってきた岩からかばってくれたシャオヘイに対して「ばけもの」とか言うんですけど……シャオヘイはそれになんの表情も出さないんですけど……。でも、乗客の中でただ一人、先ほどの小さな女の子だけが「お兄ちゃん、ありがとう」と言って、その言葉を聞いた途端にシャオヘイの表情が少しだけ変わって、それと同時に電車が地下から抜け出て、真っ暗だった窓が一斉にさっと真っ白に光って明るくなる描写がよかったです。シャオヘイの戸惑ったような返事もよかった。あれは人間なんかどうでもいいと思っていたシャオヘイの心情に少しだけ変化が生じたことを示す描写なんだろうなと思いました。シャオヘイ、ハッピーネコチャンであれ。というか、序盤でシャオヘイが人間に追い立てられたことや電車での誘拐、全部フーシーたちの自作自演だったらしく、無限さまがどこかでぼそりと「自作自演だ」って言ってたのが印象的でしたね。ぼそっと呟いてそれ以降は何も言わずしれっと別の会話を始めるんだものなこの人。なんで?どうしてそうやって重要そうなところをさらっと言うの?霊域とか領界とかもさらっと流して説明して終わりじゃないですか無限さま。いや別にまあいいんですけど……。「自作自演だ」の部分も結構小さな声だった気がするし(あるいは本当はそんなことを聞かせたくなかった故の小声だったのかもしれない)、ちゃんと聞いてなかったら聞き逃してたかもしれない。

そういえば最終戦で、無限さまがシャオヘイが飛ばされないように割とちょっと雑な感じで首襟やら胸元やらを掴むところがあるんですけど(丁寧にしている暇がないと言ってしまえばそれまでなんだけど)、服の胸元をすっと掴んでシャオヘイを地面に優しく着地させたあと、前を向いたまますすっと掴んだせいでよれたそこを指でぴっぴっと直してるのが面白かったですね。めっちゃ可愛がってるやん……。

あとそう、哪吒さま!哪吒さまいるんだ!?ってちょっとそわっとしました。向こうでは割とポピュラーな……神様……?民話とかでよく出てくる子なので、なんだかちょっと嬉しくなりました。あのほら、小説とかでしれっとコノハナノサクヤヒメ(漢字表記はどれにしたらいいかわからないためカタカナでいきます)とか帝釈天とかなんかそういうの出てくるとにやっとしませんか?しない?もっとローカルな感じの子や神様じゃないとにやっとしない?確かに後者の方がにや度(?)は高いかもしれない。閑話休題。哪吒さま、ずいぶん現代的に可愛らしい姿になっていてにこにこしました。風火二輪(だったっけ)も健在でなによりです。街を飲み込むほど大きな領界に入ろうとして入れず、びゅんびゅん飛び回った末にふしゅんと勢いを失くして様子を見ていた館長と若水のもとに何事もなかったかのように戻ってきて「空間属性うぜえ」って呟いたのには笑いました。かわいいな。

フーシーの話をします。フーシーは……ずっともう、最期のシーンとセリフが忘れられなくてですね……思い出しては考えて、考えてはウッと涙ぐむ、をずっと繰り返しています。でもあれはあれで彼の望みは果たされているのかな……。でも本当にそれでよかったの、いやいい悪いではなくそれしかなかったのかもしれない……。ウッ。

フーシーの「お前の力が必要なんだ、シャオヘイ」という言葉と無限さまの「力を貸して、シャオヘイ」という言葉(それぞれのセリフはもう曖昧だけど)の違いが残酷だなと思いました。フーシーは「必要」という言葉にたがわずシャオヘイの「能力」を欲して、それに対して無限さまはシャオヘイ自身による助力を乞うてるわけで、ここの比較が、えぐいなと……。

じゃあフーシーはシャオヘイの力にしか興味がなかったのかと言われればたぶんそうじゃないと思うんですよね。シャオヘイの「だから僕に親切にしてくれたの?」という言葉に、相手が幼い者だからといってごまかさずわずかな沈黙でもって答えとしたこと、無限さまにシャオヘイを利用したと詰め寄られたときに、ぐだぐだと仕方なかったんだ必要な犠牲だったなどと言い出さず、「俺は、言い訳はしない」と返して自分の為したことが自分の責任であると暗黙のうちに言ったこと、これらを鑑みて、彼は誠実な性質(たち)なんだと思うんですよ。なにより彼は館とは主義主張が違っていたものの同族(同胞)である「妖精を傷つけることはなかった」。フーシーは「強奪」という能力を持っているので(他の妖精が経営している古書店を襲って、そこの店主の能力を奪うというシーンがありましたが、私はそのときのBGMがすごく好きです)(閑話休題)、その気になれば最初からシャオヘイから能力を奪えたのに、そんなことはしなかった。むしろ仲間としてきちんと迎えて、そのうえでその力を借りようとした……んじゃないかな……と……。シャオヘイが幼く、加えて妖精だったから、「奪う」対象ではなく、「保護しなければならない」対象として捉えていたというだけなのかもしれないけど……。本当はシャオヘイ自身が進んで力を貸してくれればよかったんだけど、そうはならなかった。そうならなくて、でもフーシーはもはや「妖精(と幼い者)を傷つけない」ということすらできないほどに追い詰められていて、だから終盤、劇中ではタブーとされていた「子どもに手を出す」こと、シャオヘイが死ぬことを分かったうえでシャオヘイから空間能力を「強奪」すること、を選んだ(選ばざるを得なかった)のかな、と思いました。だめだフーシーのことなにが言いたいのか全然まとまらない、もはやなにを書いてるのかすらわからない、すみません、もう自分でもなにを言いたいのかわからないんです……最期に「ごめんな、シャオヘイ」と言い添えるフーシー、たぶんシャオヘイのことは普通に好きだったんじゃないかなと、そして根がまっすぐだからこそこんな選択で、こんな結末になってしまったのかなと思いました。フーシーは本当に誠実で根がまっすぐでいい人で、でも「幼い者」「同胞」に手を出すという決定的な間違いを選択してしまって、ただその一点において、彼は悪となってしまったんだろうな、と。この謝罪をシャオヘイはどう思ったんでしょうね。あのきょとんとした顔、単に理解が追いついていないだけなのか、はたまたフーシーとの今生の別れの瞬間であることをわかっていないのか、私にはわかりません。フーシー………………………………………………。

フーシーはどんな気持ちでシャオヘイを手にかけたの 最後まで反対してくれてたロジュもやっぱりいい妖精なんだろうと思うけど、でも君もシャオヘイを利用することには反対していなかったのかな それとも聞かされていなかったのかな……君たちがみんなどうしようもなく話の通じない明確な悪であればことは簡単だったのに どうして どうして 違う正義と正義がそこにあるだけで どうして どうして……。

私は無限さま側の「人間と妖精は共存しなければ」という意見もわかるし、フーシー側の「どうしてこそこそと生きていかなければいけないんだ」という主張もわかるのでなにも言えません。ままならない。相手を一方的に滅ぼすというのは現実的ではないし、かといってじゃあ侵略されるがままにというのも納得いかない。だってそこはもとはといえばフーシーの家、故郷だったわけで……。やっぱりなにも言えないです。はい。

シャオヘイから奪った領界を展開して入ったあと、人間たちが避難して誰もいなくなった死んだように静かな街中で一人で立つフーシーの姿が少し寂しかったです。君が望んだのは本当にこんな光景なのか……?こんなそら寂しいものが欲しかったの……?

それから、領界の主となって無限さまとぎりぎりのところで戦っていたフーシーが(領界の主であるフーシーと普通に渡り合ってみせる無限さま なに?)、終盤、無限さまの懐に入っていたヘイシュと入れ替わりで入ってきて領界の権限を取り戻したシャオヘイと、無限さまのコンビに一方的にやられるばかりになっていくのに悲しくなりました。最終的に無力化されて、躊躇なく領界を解こうとするシャオヘイに「解くな!」と叫び、最後には「解かないでくれ……」と涙声で懇願をするのには苦しくなりました。

フーシーがやりたかったことはわかるんですけど、それで同胞に手を出したら意味がないし、やっぱりそれは許されないことで、なによりきっとだいぶ前からフーシーの中の「義務」と「願望」は大きく食い違ってたんだろうなと思いました。きっと彼は情が深すぎるんだろうな。

「妖精たちの場所を取り戻す」というのではなく、「ここから離れたくない」、それが君の本当の願いだった 泣きそうになる こんなの こんなの、迷子と変わらない でも最後に自分の願いを全うすることはできただろうから、それはよかったと言うべきなのかな。フーシー……………………………。

シャオヘイも無限さまに人間が嫌いかと問われて、戸惑ったように「ただ森に帰りたいだけなんだ……」と返すシーンがありますが、これも迷子のセリフですね。『羅小黒戦記』は「迷子」たちが帰る場所を見つける話でもあるのかな……。

ふ フーシー………………………………………………。わからない、どうしてもこの結末しかなかったのかと考えては気が狂いそうになる、「ここから離れたくない」と言って大樹になった彼のことを考えては心が千々に乱れる、私たちはみんな無限さまでもあるし、館の妖精たちでもあるし、シャオヘイでもあって、フーシーでもある、あれらはいつかの私たちの姿でもあって、いや勝手に投影するのは失礼か、なんにせよフーシー 君は きみは 「ここから離れたくない」その願いを叶えるためだけにどれだけ歩かなくちゃいけなかったの、どれだけの石を踏んだの、歩いた先で 君は安息を得たのか?フーシー………………………。

閑話休題。

物語も終盤、館にシャオヘイを預けて颯爽と去っていこうとする無限さまの背に、シャオヘイが「ししょおぉーーーーーー!!」と叫ぶ場面ではちょっとうるっと来てしまいました。無限さまの一人慣れした後ろ姿はかっこいいですが、シャオヘイよくぞ呼び止めてくれた、という気持ち。きっと今まで無限さまの後ろをついてくる人や妖精はたくさんいたんだろうけど、こんなふうに求められたことはなかったんだろうな無限さま。驚いたような顔をしていたのがなんだか微笑ましかったです。ついていっていい、と聞くシャオヘイともちろんだ、と返す無限さま、険悪な最初の出会いと旅路を経て、一人と一匹が正式に師匠と弟子という関係になったのが嬉しかったです。なにより、「館」ではなく「無限さま」を居場所にするシャオヘイがいじらしく可愛らしく シャオヘイ 無限さまとともにハッピーであれ。それから無限さまの懐に飛び込むシャオヘイと当然のように受け止める無限さまの姿も微笑ましかったですね。ハッピーであれ。

これから先、二人は仲良く旅をしていくんでしょうね。よき青空を!

まとめ

気持ちを整理するために書き出してたのに結局なに一つ整理できてない気がするし、相変わらず胸の内はぐちゃぐちゃだし、何だか知らないけどあれこれ書きなぐってたら9000字超えてるし、もう私はどうすればいいのかわかりません。フーシーのところ、もっと順序だてて話すつもりだったのに結局好き勝手連想ゲームの如く話してしまった……。いいんです、とりあえず私の心がどれほどかき乱されているかということをわかってくだされば。はい。

『羅小黒戦記』、前情報が多少あったおかげかあまり混乱することなく楽しく見れましたが、それでもやっぱりあれこれわからない部分はありました。領界のあれこれとか、霊域とか、己界とか……。でもわからなくてもそのあたりふわっとした認識で見てても特に困ることはなくて、面白かったです。出てくるキャラクターたち一人一人もそれぞれ愛おしくなるほど魅力的でした。あ、動体視力が高い人は戦闘シーンをもっと楽しめるかもしれないですね。Webアニメが本編らしいので(『羅小黒戦記』はWebアニメの前日譚とのこと)、今度そっちも見てみようかなと思います。

ここまで読んでくれた奇特なあなた、お付き合いいただきありがとうございました。あわよくばあなたの感想やイラストやお話、諸々、ちらっとでもいいので見せてくれると私が慰められます。

ありがとうございました!



フーシー……………………………………………………。

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