見出し画像

美しく分割する

完成されたものをバラバラにしたくはない

それが美しいかはともかくとして

一生懸命つくったのなら

留めておきたい


そうはいっても

いろいろに入り切らない時もある

そんな時に

美しく分割するにはどうしたらよいか考える


見た目で分けるのか

機能で分けるのか

重さで、丈夫さで、または

分けてはいけない部分を探し出して

それ以外を注意深く離していくのか


すでに一つの存在として美しいものを

分割していってもなお、美しいだろうか

その過程で失われるものたちを

どう救えばよかったのか、または

その都度に付随してきたものたちを

どう受け入れるのが、互いにとって正しかったのか


分割される未来も含めて

その存在の生命なのだろうか

一つとして留まるもののない世界で

一瞬でも留めておきたいのは

それに対する愛なのだろうか、または

執着なのだろうか


私自身

最初からバラバラを想像して

生まれてきたわけではないのに

どうしてすぐ

機械のように自分を分けられると

一つ一つの繋がりを見ないまま

綺麗に整理ができると

思ってしまうのだろう


そのままでいいのに

そのままでよかったのに

一つを取り出した瞬間、もしくは

ナイフを入れた瞬間に

こぼれ落ちるものたちの声を

聞いたのではなかったか


すでに失われたものたちの代わりに

何を手に入れたつもりなのか

空白を埋めるものは

もう今は

空白しかないのに


かといって絶望するのではなく

あたらしいものを生み出そうとする

この力はどこからくるのか

いつかこの手から落として

どこかに消えてしまったものたちが

還ってきてくれたのだろうか



生まれてきたときに持っていた

ひとつの美しいものを

今、再び見出すのなら

特別なものは何もいらない

意志と手だけ

それさえあれば

あの安らかさの中に眠れる




迷いそうになった日の

ごはんを食べたあとの感情