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学際科学としてのファンタジースポーツ

日本でもスポーツベッティングが導入されるとか導入されないとかで昨今話題のファンタジースポーツ。今回はファンタジースポーツを扱った論文を検索してみました。


他分野にわたる研究領域

スポーツは多くの領域で研究対象となっています。それと同様に、ファンタジースポーツも多くの領域・文献で研究されていました。

まずは経済学。ファンタジースポーツは経済の規模が大きく、例えばファンタジーアメフトは10億ドルほどの利益があり、アメフトそのものより大きくなっています。ファンタジーの仕組みや経済システムについて触れている文献が多くありました。また、不確実下の意思決定ということで、行動経済学的な論文も多く見受けられました。

次に、人工知能や計数工学といった計算機科学。ファンタジースポーツにおける最適解を求めたり、機械学習でファンタジースポーツに挑戦したりする論文が見受けられました。

そして、法学。これは一番の驚きだったのですが、賭け事ということで法律関係のジャーナルに多くの研究が掲載されていました。法学のジャーナルというものをはじめてみました。法×ファンタジーについて掘り下げていきましょう。

法律の文献

「ファンタジースポーツは完全なギャンブルなのか、それともある種の頭脳競技」なのか、というのがファンタジースポーツにおける争点となっています。完全なギャンブルである場合、カジノ等のように法の規制が厳しくなる必要があります。一方、実力によって勝率が変動する頭脳競技であるならば、囲碁・将棋・チェスといったボードゲームのように賞金付きの大会を大々的に開催することが可能になります。一種のeスポーツとして認識されるというイメージでいいかと思います。

アメリカの多くの州でファンタジースポーツは合法ですが、ネバダ州、モンタナ州、デラウェア州、オレゴン州の4州では禁止されています。


ファンタジースポーツを勝ち抜くためのスキルはあるのか、といった文献もありまして、その文献は実力によってファンタジースポーツは2%以上の勝率の差が出ることを提案しています。アメリカにある団体の基準によればスキルによって1%以上の確率の変動があればギャンブルではないそうなので、ギャンブルではなく競技だよとの主張をしていました。

しかし、ファンタジースポーツは90%以上の賞金を1%のユーザーが獲得しているという側面があり、それはそれで別の社会問題になるという指摘もありました。

日本ではどうなるか

さて、日本でも導入が検討しているスポーツベッティング。スポーツという市場を広げるためにも、ファン層を拡大するためにも(スポーツベッティングからスポーツに興味をもち、会場に行くという人も多いようです)大きな力となるでしょう。

ただし日本では野球賭博を代表として、スポーツをギャンブルとして扱うことにたいしてかなりの反感があると予想されます。ギャンブルではなく、実力の伴うeスポーツとして、広まっていってくれればなと思っています。


主な参考文献

Evans, B.A., Roush, J., Pitts, J.D. et al. Evidence of Skill and Strategy in Daily Fantasy Basketball. J Gambl Stud 34, 757–771 (2018).


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