スローなブギにしてくれ
♠️
カウンターでロックグラスを傾けると氷が音を立てて耳を撫でた。
今夜は満月だとお前が言った意味を考えている。
このくらいじゃ酔わないはずなのに頭がクラクラした。
なあ、終電なんか気にするなよ。
🖤
じゃあ一杯だけと言ってカシスソーダを頼んだ。
あなたの声を聞いていると体がフワフワする。
駆け引きなんて出来ないの。
距離を縮めるにはどうしたらいい?
♠️
シーツの冷たさから逃れるようにお前の感触を求めた。
すがるような瞳が絡みつく。
俺の形に沿ってしなるその体を痛いほど抱きしめた。
このまま醒めない夢を見せてくれないか。
🖤
カーテンの隙間からやわらかな朝日が射していた。
寝顔を見られたのは私の方だった。
温かいあなたの指が腰のカーブをなぞる。
ゆうべのスローなブギがまだ耳に残っていた。
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