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006 Intermission「5秒前!」

基本のキですが難しい話が続いたので、とりとめのない話で休憩します。
 ※今回は数字の「約」を省略
 
良くTV番組制作で
「5秒前、4、3・・・」
って聞くと思います。

なんで? 5秒前?

答えの前に、普通は2以降は声を出しません。
スタジオの反響音が残るので声は3まで、残りは指です。
残響といえばカチンコもフィルムと音のタイミング合わせに必要でしたが同録の今も使ってるところありますよね。
この手法はマルチカメラの際、大きく手を振って代用できますね。
 
戻します。
5歳に叱られる風に。

「5秒カウントは テープtoテープ編集 のため~」
 
テレビ放送の基本、インターレース走査方式では第1フィールドの後に第2フィールドが間を埋めるようにして1/60秒の2フィールドで1コマ(1フレーム=1/30秒)が作られます。

前のカットの第2のあとに次のカットの第1が並ぶことを同期(フレーミング)と言い、それを合わせるために5秒間のプリロール(テープの助走時間)が必要でした。

プリロール

例えばβカム(べーかむ)なら毎秒12cmでテープに記録されます。
編集時、まず5秒巻き戻り、テープが回り始めて12cm/secの速度になり、再生機と収録機を同期させます。

従って、
収録テープのカット頭から5秒間は編集機のプリロール用
です。

テープ助走時間の「5秒前」が習慣として今でも使われています。
昔の名残りではありますが「5秒前!」があると気合も入るし、スムーズに進む気もします。

※もちろん、別テープにコピーする方法もありますが、アナログではコピーするほど画質が落ちるので可能な限り元テープからが原則。
また、収録時ヘッドを回しっぱなしにする方法も無いわけではないのですが、高価なヘッドを守る、テープを痛めないという理由から回転ヘッドは停止させます。

別の視点ですが。
録画開始ボタンを押すとカメラが振動します。
この振動が収まるのに2~3秒かかります。
その意味では5秒も無駄ではないかもしれませんね。

その裏話

ドラマではテープを回してカメラマンが頭で1、2と数えてから
C「回った」
AD「5秒前、よん、さん」指2本、1本、どうぞの手
としていました。
2+5=7秒 ?
実は、ドラマは4フィールドが1グループとなるカラーフレーミングをとるためプリロールが7秒間必要でした。
 
「カラフレとるから7秒前からカウントします!」
なんて言おうものなら現場大混乱します。
なので、カメラマンが頭で2秒カウントしてからスタートの合図をしました。
そういう影の苦労があってどこでも5秒前からカウントが始まってます。

ニュースやドキュメンタリー

そもそもカウントしないので例えば、急に目標が現れたら
1.テープを回す
2.担ぐ(三脚に乗せる)
3.寄る+フォーカス
4.構図まで引く+アイリス
という段取りです。
これで5秒のプリロールのためのカラ録画ができています。
 
一般の方のインタビューでは回ってないふりをして回したり、カメラマンはいろいろ大変なのだ(笑)

という20世紀のとりとめのない話でした。

次回からまた面倒な話に戻ります。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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