別居親の学校行事参加に関する一考察

 先日、とある別居親の方から、子どもの授業参観への参加について相談を受けました。

 私自身、別居親であり、保育園の運動会や小学校の入学式などへの学校行事の参加について、園や学校から、同居親からの要請を理由に、ことごとく拒否され続けてきた別居親の一人として、とても他人事とは思えませんでした。

 私の現在の考え方としては、学校行事への参加は、同居親の意向如何に関わらず、園なり、小中学校といった学校管理者が認める限りにおいて、学校行事への別居親の参加は基本的には認められるべきだと思います。なぜなら、そうしたことが子どもに両親からの愛情を感じさせ、子ども自身の成長を後押しするものだと考えるからです。

 そして、学校行事へ別居親が参加していくためには、学校関係者(市町村教育委員会を含む)と積極的にコミュニケーションを取っていくことをお勧めします。もちろん、一度でも二度でも何度でもトライすることです。

 なぜなら、学校サイドは、離婚前の共同親権下であっても、クレームなどを心配して同居親の顔色ばかりを窺い、同居親の許諾を取るように別居親に求めてきます。そして大概は、学校が先んじて同居親に確認し、結果として、同居親の意向が別居親の学校行事参加の可否に大きな影響を受けることを何度も経験してきました。

 こうした学校側の対応は甚だ理不尽な対応だと思われます。赤の他人が学校行事へ参加したいと言っているのではなく、私自身は子ども達の実の親であり、婚姻費用(養育費)を毎月、調停で決められた金額を支払っており、DVによる保護命令等を一切受けていない一人の父親(母親)なのです。

 こうした別居親の学校行事への参加に関する課題の背景に日本特有の離婚後の単独親権制度があることは間違いありませんが、今回はそこには触れず、我々、別居親当事者が要望して実現した次の国会質疑を紹介することにより、ぜひ皆さんそれぞれの抱える親子問題の参考にしてもらいたいと思います。

☆衆議院予算委員会(令和2年2月25日)[抄]   

〇吉川赳衆議院議員(自由民主党、静岡5区)

 離婚後の子供の学校行事という点で、地元の方から、なかなかこれに参加ができないというようなことを伺っているわけです。
 例えば、親権を有しない方の父親が子供の学校行事に出たいという場合、一番いいのは、親権を有する元夫婦関係にあった方としっかりと話合いをして、二人で行こうというような形が最も望ましいのかなと思うわけです。
 ただ、やはりどうしても離婚も、別れたかみさん(妻)とはもう一言も話したくない、ただ、子供とは面会交流の権利があって定期的に会っていて、こういうケースもあるわけなんですよね。
 そうすると、お父さんが、単独で子供の運動会とかそういう行事に行った場合に、今、そのお父さんを受け入れるかどうかということは主に教育機関に一任をされているということをよく聞きます。
 例えば、公立(小中学校)の場合はこれは基礎自治体(市町村)になるんだと思うんですが、これは文科省として、そういった家庭、親権を有しないお父さんが学校行事に参加する場合の何か文科省としての方針的なものは現在あるんですか。

○蝦名喜之政府参考人(文部科学省大臣官房審議官)

 お答え申し上げます。
 父母が離婚した後であっても、子供にとっては父母のいずれもが親でございますし、一般論としては、父母の離婚後も父母の双方が適切な形で子供の養育にかかわるということは、子供の利益の観点からも重要なことであろうというふうに考えてございます。
 お尋ねの学校行事への参加につきましては、民法第766条の定める面会交流、その他の子の監護について必要な事項に該当するものと考えてございますが、同条におきましては、協議離婚の際には、面会交流等の子の監護について必要な事項については父母の協議で定めるということとなっており、学校としては、父母が合意した内容について、対応可能な範囲内においてこれを尊重して取り扱うということが基本であろうというように考えているところでございます。
 他方で、面会交流等に関する合意がない場合でありますとか、あるいは双方で意見が異なる場合、学校は、民法の同条の規定の趣旨を踏まえまして、父母の間での協議又は家庭裁判所の審判等によりその具体的な内容を決めるように求めるといったようなことも考えられるところでございます。
 いずれにしましても、父母の離婚後の子の養育のあり方に関しましては、このような方針で文部科学省としては考えてございますけれども、現在、法務省を中心に議論がなされているものと承知してございます。
 文科省としても、そうした議論も注視しながら、親権のない父母等に係る対応のあり方などについて、関係の教育機関等への周知を含めまして、今後の対応について検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

〇吉川赳衆議院議員 

 ぜひこれは早急に検討をしていただきたいと思いますが、そのほかにも、例えば別居中であるとか調停中、こういったケースもあるわけなんですよね。
 例えば、私が聞く話では、別居中に子供の運動会等のお知らせが一緒に住んでいる母親の方にしか来ないとか。それで、学校に問い合わせると、一家庭につき一つだというようなわけのわからないことを言われるということも地方の教育現場では今起こっているようなんですね。ぜひそういった点を踏まえていただきたい。
 そして、あともう一点重要なのが・・・、純粋に子供を思っている親権のない親、こういった皆さんの権利はしっかりと守るべきです。ただ同時に、やはり学校側も警戒するのは、例えばそれで父親が単独で来て、DVとかを行っていた離婚の事案だったらこれはまずいよねというような、学校側もそういったことの警戒というのはあると思うんですね。
 ついては、例えば離婚訴訟でDVの場合というのは刑事事件になるかと思うんですけれども、その際の接見禁止等の情報というのは教育機関との共有等は行われているんですか、現在。例えば、子供と接見禁止の、だから、片方の親権のない親がいるとしますね。例えば、そういう方が接見禁止なんですよというようなことは教育機関等に共有はされているんですか、学校側に。

○小出邦夫政府参考人(法務省民事局長) 

 そういった、子供との接見を禁止するというような処分を命じた裁判書が例えば学校の方に送達されるというようなことは、制度上、なっていないのではないかと思います。

〇吉川赳衆議院議員 

 要は、それをすればいいんですよ。それをすれば、この親子に関しては、学校側も、お父さんが単独で来たら気をつけなければならないとわかるわけじゃないですか。そうじゃない場合は、例えば夫婦の仲は相変わらず悪くたって、でも別に子供の行事には参加したって子供に危害はないな、こういったことの一個の判断基準になるわけですよ。ぜひそういった点も今後しっかりと進展をさせていただきたいなと思います。


 以上が、国会の質疑ですが、皆さんはいかが感じましたでしょうか。

 別居親当事者になり常日頃感じている点は、つまるところ、「共同養育」というものは、面会交流や学校行事への別居親の参加といった、離婚後の親子関係に限った話ではないのだと思います。

 今後の皆様の親子関係を考えていく上での参考にしていただければ、幸いです。

 最後まで、ご一読していただき、ありがとうございましたm(__)m
 

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