【会社員と写真】写真技術以外にも大切なことがある気がする
SNSに写真を投稿すると、
技術的な側面への評価が目立っているような気がします。
「構図が素晴らしい」「色使いが見事」
といったコメントは頻繁に見られます。
自分もそういうコメントが多いです。
一方で、作品の意図や感情的な側面への
コメントは少ないように見えます。
この状況に個人的には少し違和感を覚えました。
あくまでもイメージですが、評価点が
「普通」かどうか、というところを重視している気がします。
この違和感がどうして生まれてきたのか、
内省の意味も含めて、考察していきたいと思います。
はじめに
この評価傾向の背景には、
日本の芸術文化における独特の価値観が関わっているのでは
と考えています。
特に、
伝統技術の保存と継承、
技術の極限までの洗練、
そして長期的視点での芸術発展
という要素が大きな影響を与えているのでは、と思います。
これらの要素が過度に重視されることで、
写真における個人の感情表現や
新しい表現方法の探求が阻害されるリスクがあるのでは
と考えています。
日本の芸術文化における技術重視の伝統
日本の芸術文化では、
伝統技術の保存と継承が非常に重要視されてきました。
例えば、陶芸や日本画などの伝統工芸では、
何世紀にもわたって培われてきた技術や美意識が、
厳格な評価基準のもとで正確に受け継がれています。
また、技術を極限まで洗練させる姿勢も特徴的です。
刀鍛冶や木版画の技術など、
既存の枠組み内で技術を極限まで磨き上げることで、
世界最高水準の完成度を持つ作品が生み出されてきました。
さらに、能楽や歌舞伎などの伝統芸能に見られるように、
長期的な視点での芸術発展も日本文化の特徴です。
世代を超えた継承と微細な革新の積み重ねにより、
現在の洗練された形に至っています。
ざっくりですが、
昔から培われ、磨き込まれた技術が存在しており、
培われてきた技術や美意識に対して評価が決まっており、
既存の枠組みの中で改善されることを望んでいる
と考えられるのかなと。
つまり
普遍的な技術によって成り立っている写真=普通の写真
という認識が植え付けられているのかもしれないです。
技術偏重がもたらす危険性
これらの要素が写真評価に過度に反映されることで、
いくつかの問題が生じる可能性を考えました。
表現の画一化:技術的な完成度のみが評価されることで、似たような作品が量産されるのではないか。
新しい表現の排除:既存の技術的基準に合致しない新しい表現方法が評価されにくくなるのではないか。
個人の感情や視点の軽視:技術面での評価に偏重することで、写真を通じて表現しようとした個人の感情や独自の視点が見過ごされる恐れがあるのではないか。
創造性の抑制:技術的な完成度を追求するあまり、自由な発想や実験的な試みが抑制される可能性があるのではないか。
技術の磨き込みや、昔から存在している伝統芸能の保存、
という観点で、高い評価を受けることもありますが、
そこだけが評価点ではないのかもしれない、と思います。
個人の感情と表現の重要性
写真は単なる技術の披露ではないと考えています。
そうであってほしい、という個人的な願いも含みますが。
それは、写真を撮る人が事象に触れたときに生まれた感情や、
世界の見方を表現する手段だと考えています。
この見解については、以前記事にしたので、合わせてご覧ください。
技術はその表現を支える重要な要素ですが、それが全てではありません。
個人の感情や視点をどのように写真に落とし込むか、
それこそが写真家の個性であると考えていて、
作品の魅力の源泉となりうる、と思っています。
新しい表現方法の探求や、
従来の技術的枠組みにとらわれない試みは、
写真芸術を豊かにし、進化させる原動力となります。
バランスの必要性
ですので、
私たちは技術と表現のバランスを取ることの
重要性を認識する必要があると考えています。
日本の伝統的な技術重視の姿勢は、
確かに高度な技術の継承と洗練を可能にしてきました。
しかし、
それと同時に個人の感情表現や新しい表現方法の探求も
同等に重要であると思います。
SNSでの写真評価においても、技術的な側面だけでなく、
作品が伝えようとしているメッセージや感情、
そして新しい表現への挑戦を評価する視点が必要です。
それによって、
技術と表現のバランスの取れた、
より豊かな写真文化が育まれていく気がしています。
「普通」という枠組みにあてはめると
基準があるので評価しやすいと同時に、
コミュニケーションがとりやすい、という点もあります。
どちらかというと見る側が、
良いと思ったところを伝えることが多く、
見せる側が説明をする、
という機会が少ないのもあるかも知れません
写真展はこういった話を聞くことができる貴重な場でもありますが、
SNSでも個人の感情や意図を聞く機会があれば良いなと思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!