ブックデザイン

ブックデザイン(book design)とは、書籍のジャケットや表紙、帯などをデザインすることを含め、本文の書体や印刷する紙などの選定を含めて本を総合的にデザインすることをいいます。日本語では「装丁(装幀)」という言葉で言い表すこともありますが、「装丁(装幀)」という言葉は基本的には「本を綴じて表紙をつけること」を指しているので、ブックデザインよりも狭い意味を表していることが多いといえます。

一昔前は書籍は情報の記録と伝達のための重要な媒体でしたが、コンピューターの普及とインターネット回線の高速化、またスマートフォンやタブレットなど情報閲覧端末の普及と発達により、書籍(本)の持つ価値は以前とは異なってきています。

情報の記録と伝達という書籍の役割が減った分、ブックデザインの重要性が上がってきているともいえるのです。単なる情報伝達のみを考慮したブックデザインではなく、遊び心に優れた、所有欲を満たすためのブックデザインをすることで、「書籍」という旧来のメディアの持つ価値を高めることができます。優れたブックデザインの書籍は、スマートフォンやタブレットのような、一定の企画に沿ったフォーマットでの情報閲覧を促す情報媒体では実現できない価値を持つことができるのです。

また、印刷や製本技術の発達、様々な質感や素材感を持つ紙の開発などにより、紙をベースとしてデザインを行っていくブックデザインにも、大きな表現の幅が出てきたといってよいでしょう。また、以前なら出版社などを介して出版するしか方法の無かった書籍も、現在では家庭用プリンターの性能の向上や、旧来とは異なったサービスを提供する印刷業者を介することで、少ない冊数でもクオリティの高い書籍を出版することができるようになってきています。

その意味では、書籍の持つ価値は一般的には下がってきてしまっていますが、デザインする媒体としては現代ならではの魅力を持つカテゴリーとなってきている、といえるでしょう。

この分野を目指す美大受験生が受験する大学・学科

この分野を目指す美大受験生が受験する大学・学科としては、多摩美術大学(グラフィックデザイン学科、情報デザイン学科情報デザインコース、情報デザイン学科メディア芸術コース、統合デザイン学科)や武蔵野美術大学(視覚伝達デザイン学科、基礎デザイン学科、デザイン情報学科)があります。また、美術に関する情報の収集・整理に重点を置く多摩美術大学の芸術学科や武蔵野美術大学の芸術文化学科などの芸術学系学科なども、志望学科の選択肢に入ってきます。

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