解約予告なしで退去?

おかげさまです。
不動産コンサルタント蔭山達也です。

オーナーのための不動産チャンネルを
ご覧いただき、ありがとうございます。


今回は、テナントの退去についてです。

通常、テナント退去の際は、事前に
解約通知をテナント側から出します。

いつまでに通知するかは契約内容次第
ですが、住宅の場合は1ヶ月前、オフィ
スや店舗の場合は3ヶ月~6ヶ月前とい
うのが多いです。

しかし、
これは契約期間の途中での解約です。

例えば、
途中解約ではなく、テナント側が、
契約期間の満了をもって終了させ
たい場合はどうなるでしょうか?

これは
普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸
借契約、2つの契約形態で答えは異
なってきます。

まず、
普通建物賃貸借契約の場合です。

普通建物賃貸借契約で、例えば、
2年契約であれば、貸主・借主が合意
すればさらに2年の契約として更新さ
れます。

仮に合意しなくても、どちらかが更新
拒絶する通知をしなければ、法定更新
になります。

要は、更新が前提としてあるため、
テナント側が期間満了をもって終了
させたい場合は、更新をしないという
通知を、テナント側からしなければ
ならないのです。


いつまでに通知をするのか・・・


それは期間満了の1年前から6ヶ月前です。


そのため、
テナントが、期間満了の3日前になって
更新しない=期間満了をもって終了、と
いうことは、普通建物賃貸借契約におい
て通用しない、ということです。


そのため、
住宅などでは、6ヶ月前に借主の動向が
決まっていることもないため、実務的
には、契約書に記載のある解約予告の
期間に沿って、解約通知を出されるの
が一般的です。

一方で、
定期建物賃貸借契約の場合はどうかと
言えば、これは通用します。

そもそも、定期建物賃貸借契約は、
更新という概念がない契約です。

期間満了をもって終了するのが前提
であり、貸主と借主が合意すれば、
再契約になるのです。


この点を混合しているオーナーは
多いかもしれません。

オーナーである貸主が
定期建物賃貸借契約の期間満了をもって
終了させたい場合は、期間満了の1年前
から6ヶ月前までにテナントに通知をす
ることで成立します。

しかし、テナント側からの
終了通知というのは不要なのです。

そのため、貸主が再契約するつもり
でいても、テナント側はそのつもり
はなく、テナントは何も言ってこな
いまま、期間満了とともに終了する、
ということもあり得るのです。

実務的には、
数か月前からテナントと再契約の協議
をするので、その時点で意向は分かる
ものですが、直前になって協議しよう
とすると、テナントに再契約するつも
りがなかったことが判明したりします。

極端な話ですが、
期間満了の3日前に再契約の意思がない
ことが判明することだってあり得ますし、
そうなると3日後の退去を食い止める
根拠はないのです。

貸主からすると、
次の募集への準備期間がなく、
収支も異なってくるのは大きなリスク
ですよね。

数ヶ月前に退去が分かっていれば、
次の募集を準備期間が十分にあるわけ
ですから、ここで大切になってくるのが、
早い段階でのテナントに対する再契約の
意思確認なのです。

満了の2~3ヶ月前にはテナントとの
協議を開始しても良いと思います。

貸主からすると、
再契約をしない場合に備えて、契約書の
なかでリスク回避をしたいとも思うでしょう。

例えば、
期間満了の3ヶ月前にテナント側から
再契約をするかどうかの通知をすること、
その期間を過ぎると再契約になる、と
いうような特約を入れたところで、
残念ですが、効力はないでしょう。

なぜなら、
それが成立すると、
定期建物賃貸借契約ではないからです。

普通建物賃貸借契約が合意更新や
法定更新が前提になっているのに
対して、定期建物賃貸借契約は、
期間満了をもって終了するのが前提
の契約だからです。

定期建物賃貸借契約においての
再契約は、貸主と借主の合意が
あれば当然成立しますが、再契約
は前提にはなっていないのです。

逆に言えば、貸主からすると、
期間がくれば、テナントに退去して
もらえるというメリットもあるわけです。

とくに、
建て替えを想定している貸主は、
普通建物賃貸借契約では、貸主から
の更新拒絶には相当の正当事由がいり、
単に建て替えだけでは正当事由には
なりにくいです。

しかし、定期建物賃貸借契約では、
そういった正当事由は不要ですから、
使い勝手の良い契約形態ともいえます。

いかがでしょうか。

定期建物賃貸借契約は
貸主からするとメリットのある契約形態
ですが、予告なく、期間満了で退去され
るというリスクもあります。

そのような点も踏まえて、
普通建物賃貸借契約で募集をするのか、
定期建物賃貸借契約で募集をするのかを
判断されるとよいと思います。

以上となります。

最後までご視聴いただき、
ありがとうございました。

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おかげさまです。蔭山達也でした。

https://www.youtube.com/watch?v=WZudPxBEt8c

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