利回りとリスク

おかげさまです。
不動産コンサルタント蔭山達也です。

オーナーのための不動産チャンネルを
ご覧いただき、ありがとうございます。

前回、収益物件の購入にあたって、
遵法性の観点の重要性をお伝えしました。

今回は、
利回りとリスクについてお届けします。

過去に関東近郊の物件で、
次のような1棟の収益マンションを
取引したことがあります。

・駅から10分
・鉄筋コンクリート造 築20年
・価格 1.4億円
・表面利回り15%

駅10分圏内で鉄筋コンクリート造の
マンションですから、一見すると、
非常に高利回りの物件です。

しかし、高い利回りというのは
リスクも高いのが常で、この物件も
2つのポイントがありました。

① 利回りは満室想定としての15%、肝心の稼働率は5割弱。
② 過去に2度、大雨により、1階部分の全部屋が床上浸水。当時入居されていた方は上階の空き部屋に移動してもらった経緯があり、取引の時点でも、1階部分の全部屋は貸せない状況のまま。

この2つのポイントは、
密接に関係しています。

まず、稼働率5割弱ということは、
全部屋の半分は空室であるという事実です。

その要因の一つは、
そもそも単身者の需要が少ない
エリアにおいて、すべての部屋が
ワンルームの作りのマンションでした。

そのため、
賃料を下げて募集しているものの、
なかなか借り手が決まらない状況でした。

もう一つは、
募集できない部屋が複数ある、
ということです。

さきほど、
過去に2度の浸水被害があったと
言いましたが、1階部分の全室が
貸せない状態です。

仮にリフォームしても同じように
台風や大雨があれば、また浸水して
上階に移動してもらう可能性を考えると、
1階部分については貸したくても貸せない
現状でした。

そのため、
1階部分はそのままにして、
賃貸募集自体をしていませんでした。

そうなると、
実際の利回りはどうなのか、
という計算をしていく必要があります。

全部で35室です。

そのうち、
1階の7室がこの先も貸せないままとなると・・・

35室× ⇒ 28室の物件に変わります。

分かりやすく、
1室5万円と仮定して計算してみます。

◇35室の場合
5万円×35室 ⇒ 月額175万円 ⇒ 年間2100万円の賃料収入

◇28室の場合
5万円×28室 ⇒ 月額140万円 ⇒ 年間1680万円の賃料収入

28室の物件は、
年間収入で420万円低くなります。

利回りでは、28室で12%となります。

元々、
15%の利回りで販売していたこの物件は、
現状のままだと、12%の物件という見方
になります。

もちろん、
大掛かりな工事をして、浸水対策を
講じることができれば、1階は貸室と
して機能しますので問題は解決する
可能性はあります。

しかし、
1度目の浸水のあとに、改善工事や
排水ポンプ増設などを試した履歴が
ありましたが、2度目の浸水被害に
あっています。

必ずしも、
この工事をすれば100%改善出来る、
という補償がない限り、リスクは
残ったままになります。

このように、
利回りが高い物件は、
同時にリスクも高くなるものです。

そのこと自体が悪いということではなく、
あくまで、ご自身の投資スタンスで物件
を見極めて利回りを見る、
ということが重要です。

例えば、
ハイリスク・ハイリターンを狙う方であれば、
さきほどのような物件は向いているかも
しれません。

改善工事して、
二度と浸水しなければ、15%の利回りは
確保できる可能性もあるからです。

ハイリスクですが、リターンも高いです。

ミドルリスク・ミドルリターンを
お望みであれば、違う物件を選ぶ
ことになります。

そういったリスクは何も浸水や
漏水などだけではありません。
部屋の面積や部屋数も関係してきます。

一般的には、
単身者用のワンルームで部屋数が
多い物件ほど、ファミリータイプで
部屋数が少ない物件に比べてリスクは
低いと思われがちです。

仮に空室になっても、
戸数が多いほうが空室率は抑えられる
からです。

しかし、
さきほどの物件を例にあげると、
エリア的にはファミリータイプの
需要が多いにもかかわらず、全て
単身者用のワンルームの物件である
がゆえに、賃料を下げても、
なかなか決まらないという現実も
あります。

35戸のワンルームより、
15戸のファミリータイプで建築した
ほうがリスクは低かった物件なのです。

とは言え、
今更その点は変えようがありません。

それがさきほどの各部屋の面積や
部屋数によるリスク、ということに
なります。

単身者の賃貸ニーズが多いエリアなのか、
或いは、ファミリータイプが多いエリア
なのかは、エリアによって、まったく
異なってきますので、
賃貸ニーズにあったマンションなのか
どうかは確認をしておくべきです。

もっと言えば、
そもそも賃貸ニーズ自体が
ほとんどないエリアだって存在します。

そういった場所で、満室想定30%の
利回り物件があったとしても、
絵に描いた餅として、リスクだけ
残る可能性が高いです。

さらに、
ただ単に賃貸ニーズの確認だけではなく、
単身者でも学生が多いのか、
会社員が多いのかなどの傾向性と、
その根拠を不動産会社にヒアリングして、
購入可否の判断をすることをお勧めいたします。


以上となります。

最後までご視聴いただき、
ありがとうございました。

ぜひ、チャンネル登録も
よろしくお願いします。

また、不動産に関するご相談は
概要欄のお問い合わせからお願いいたします。

おかげさまです。蔭山達也でした。

https://www.youtube.com/watch?v=pvYmdS52tB8&t=10s

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