原状回復問題について

おかげさまです。
不動産コンサルタント蔭山達也です。

オーナーのための不動産チャンネルを
ご覧いただき、ありがとうございます。

今回は、原状回復の問題について
お届けします。

原状回復の何が問題か・・・
それは、貸主と借主、どちらの
負担となるのかという点です。

例えば、
タバコを室内で常に吸っていて、
壁紙がすべてヤニで変色となった。

或いは、何かをぶつけて壁に穴が
開いた、など、明らかに借主の
過失による内容であれば、
貸主と借主どちらの負担か
分かりやすいのですが、
そうではないケースも多くあります。

以前、退去した部屋で、壁や床など、
至るところにカビが増殖していた
ケースがありました。

当然、
壁紙は全部張り替えが必要です。

掃除をしていなかったため、
浴室の一部にカビが生えると
いうことはあるのですが、
写真のように部屋全体的な
カビについては、100%借主の
過失とは言い切れない部分も
あります。

とくに、
鉄筋コンクリート造の
マンションの場合、建物の構造上の
問題も多いです。

マンションは室内に熱がこもりやすく、
逆に一度冷えてしまうとなかなか
暖まらないという性質をもっています。

そのため、結露によって湿気がこもり、
カビが生じやすくなります。

しかし、
部屋中にカビが増殖している状態の
まま放置していた借主には責任は
ないのでしょうか?

日常的な換気や清掃を一切せず、
結露を放置していたという生活で
あれば、これは、
借主の善管注意義務違反にあたります。

とは言え、
さきほどのように部屋全体に
広がるようなカビの増殖は、
建物自体も原因の一つである
可能性はありますので、
100%借主とは言い切れないことも
多いのが実情です。

では、借主の負担はないのか。

そういうわけではなく、
貸主からすると、
早めに知らせてくれていれば、
専門業者を入れて、未然に防ぐ
ことができた可能性はあります。

少なくとも、
部屋全体にまでカビが広がる前に、
借主は貸主へ知らせるべきであり、
それを怠って放置していた結果の
状態であれば、善管注意義務違反
或いは、通知義務を怠ったとして、
借主の負担も一定にはあると考え
られます。

その他には
万年床でフローリング床が変色して、
且つ、その範囲が広いケースもあります。

変色した範囲だけフローリングを
変えると明らかに違和感があると、
フローリング全体を交換せざるを
得ないときもあります。

クロスであれば、
居住した年数とクロスの減価償却の割合で、
6年以上経過していれば実質1円の価値で
計算するのですが、フローリングには
そういった経過年数という概念は
ありません。

フローリングの部分交換だと、
経過年数は考慮せず、
1年住んでも10年住んでも、
部分補修や交換についての費用は
すべて借主の負担です。

ただ、ここで間違えやすいのが、
さきほどのように、フローリング
全体の交換が必要になるような
原状回復のときです。

フローリングであっても、
全体を張り替える場合のみ、
経過年数が考慮されます。

クロスの耐用年数は6年で
残存価値1円となる計算ですが、
フローリングは、建物自体の
耐用年数で計算していくことになります。

例えば、
鉄筋コンクリート造であれば
耐用年数47年ですから、
47年経過後に残存価値1円となるように
負担割合を計算する、という考え方に
なります。

計算方法についてはここでは
触れませんが、大切なのは、
フローリングの部分交換や補修は、
経過年数や耐用年数は考慮されない
ものの、フローリング全体を交換
する場合には、経過年数や耐用年数
が考慮されるのが原状回復のガイド
ラインである、ということです。

原状回復は、
その原因が何かよっても揉める
ケースは多いのですが、とくに、
カビやフローリング全体の張り替えは
分かりにくい箇所でもあるので、
ぜひご参考にしてみてください。

以上となります。

最後までご視聴いただき、
ありがとうございました。

ぜひ、チャンネル登録も
よろしくお願いします。

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お願いいたします。

おかげさまです。蔭山達也でした。

https://www.youtube.com/watch?v=1fybKTsp3iw

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