【手帳①】今まで興味がなかった『手帳』というものに、最近とても夢中になっている話

今まで何度か手帳というものを使ってみたが、どうにも長続きしない。
最初の1~2か月くらいはどうにか使うのだけれど、だんだん書き込みが減ってゆく。ついには秋ごろに部屋の片隅で、真っ白なページがひたすら続く手帳を発見して深いため息をつく。そんなパターンばかりだった。

そんな私が、最近では手帳というものに夢中になっている。
手帳を開くのがとても楽しい。気がつけば手帳の前に座って30分経っていることもザラである。

まさかここまで変わるなんて、自分でも正直驚いている。
というわけで今回は、この興味深い変化について書いてみようと思う。


●手帳もカレンダーも不要という暴論

そもそも、なぜ手帳が続かなかったのか。
以下の要因が考えられる。

①手帳なんて書いても別に楽しくない
 先々の予定を書き込むという「きっちり感」が苦手だった。
 そういえば私はカレンダーもほとんど使わない。
 子どもの頃は壁かけのカレンダーを使っていたが、どちらかといえば写真を鑑賞するためにかけていた。もちろんカレンダーにも予定を書き込まない。

②手帳なんていらない(暴論)
 日々の生活なんてそれほど激しく変化するわけではないし、インドア派だから覚えていられる範囲での予定しか入ってこないし。
 学生の頃はもちろん、就活の頃も社会人になってからも手帳を使いこなしていた記憶はない。

③とにかく面倒くさい
 まず手帳を探して、次に書き込むページを探して、それからペンも探さなくてはならない。それに手帳やペンを持ち歩くのも面倒だ。
 面倒だと長続きしない。それは自然の摂理である。

●それは遠い世界のこと。でも、とても楽しそうで

そんな私がふたたび手帳というものに興味を持つようになったのは、いくつかのきっかけがある。

ひとつめは、X(Twitter)で手帳の写真をたびたびアップしている人がいたから。その人の手帳はどのページもとてもカラフルで、オシャレなシール、カラーペンの模様などでにぎやかに飾られている。
その様子は「自由」「奔放」「楽しい」という言葉がぴったりで、手帳に興味のない私でも興味を惹かれるものだった。
それでもまだ、私にとって「手帳」は関係のない世界のことのように思えていた。この頃までは。

ふたつめは、「セットアップ」という言葉。
2月末~3月初めの頃、やたらと「手帳のセットアップ」に関する記事や動画が流れてくるようになった。
手帳のセットアップとは、つまり、手帳を使い始める前の準備ということらしい。
マーカーで色を引いたり、月や日や曜日を書き入れたり、カレンダーのシールなどを貼ったり、シールやマスキングテープなどで思い思いに装飾したり。
それらの作業を見て、私は「面倒くさい」と思った。手帳を使うだけでも面倒なのに、その準備段階でこんなに手間がかかるだなんて冗談ではない。

だが、その頃の私はとても忙しかった。
ここのところずっと、仕事は増える一方だし、創作活動は一か月単位でスケジュールがつまっているし、それ以外のプライベートもどんどん忙しくなってきていて、仕事の日も休日もお構いなしに片っ端から予定で埋まっていった。
もはやスマホでgoogleカレンダーに予定を書き入れるだけでは管理しきれない。

このままではきっと何もかもめちゃくちゃになる。切実にそう思った。
でも、何かを切り捨てるような諦めの良さも、残念ながら持ち合わせていなかった。
どうにかして全部こなせないか。
日々そればかりを考えていた。

●2024年、運命的な出会い

ある日、ふらりと立ち寄った書店で、私は運命的な出会いをする。
ちょうど新年度が始まろうとしている時期で、書店にはさまざまなデザインの手帳が並んでいた。
その中でひときわ目を引いたのは【高橋書店の『フェルテ4』】だ。
それは【B6サイズ】のやや大きな手帳だった。

今まで私が使ってきた(そしてすぐに使わなくなった)手帳はもっと小さなものばかりだった。持ち運ぶには便利だが、すぐにどこかへ入り込んで紛失してしまいそうな不安があった。
それに、持ち歩けば落としたり忘れたりする可能性もあり、万が一を考えるとプライベートな内容はかえって書き込み辛かった。
かといって、ビジネスマンが使ってそうな黒い大きな手帳は自分には大げさすぎる。それに宝の持ち腐れになってしまいそうだ。

だが、B6サイズならどうだろう。
持ち運ぶには少し大きいが、逆に【持ち歩かず家だけで使う】と割り切れば、この大きさは「紛失しにくい」「たくさん書き込める」「人目を気にせず自由に何でも書ける」という長所に変わる。
大きすぎるということもなく、気軽に使えるサイズでもある。

私は悩んだ。
もしこの手帳を買えば、予定は管理しやすくなるだろう。忙しくてごちゃごちゃしている脳内もすっきり整理できるに違いない。
でもそれは「今」だけの話だ。一時の忙しい時期を乗り越えてしまえばまた手帳は不要になり、真っ白なページが続くのではないか?
それに、手帳というものはサイズが独特で、使ったあとの保管も面倒くさい。

そう考えてみるものの、書店で見た手帳はあまりにも魅力的で、何日も私の心の中に居座り続けた。
今にして思えば、それは【恋】だったのかもしれない。

●手帳の使い方は予定を書き込むだけではないと知る

その頃になると私は「手帳 使い方」などで検索するようになっていた。
手帳に関するいろいろな記事を流し読みするうちに、手帳の使い方にはいろいろあるのだということを知った。

たとえば「その日できたことを書く」。
あるいは「ToDoリスト」「WISHリスト」「体調の記録」「食事の記録」「運動の記録」「収支の記録」「ハビットトラッカーとして使う」など。
調べれば調べるほど、いろいろなアイデアが見つかった。

とくに「その日できたことを書く」のは衝撃的なアイデアだった。
だいぶ前に「その日できたことを3つ書き出すと自己肯定感が上がる」的な記事を読んでからずっと気になっていたが実行できていなかった。
その理由としては、google keepにメモすると他のメモに埋もれるし、わざわざノートを作るのも面倒だったからだ。
だけど、もし手帳に書き込めるならどうだろう。続けられるのではないか。

また、「ハビットトラッカーとして使う」というアイデアも魅力的だった。
ハビットトラッカーとは、ひとつの目標に対してどれくらい達成できたかを可視化するものである。
たとえば「毎日100回腹筋する」という目標があるとして、カレンダー形式のカードを1枚用意し、達成できた日には○印をつけるというものである。
これもまた、気になっていたがやっていなかったことのひとつだ(理由はカードを用意するのが面倒だから)。
手帳ならカレンダーが印刷されているから、ハビットトラッカーとしても使いやすいはずだ。

そして、「日々の記録」と「ハビットトラッカー」の合わせ技として「その日に執筆した文字数を手帳に記す」ことを思いついた。
これもまた、やりたいのに(面倒で)できていなかったことのひとつだ。それに手帳に文字数を記しておけば、一年間に書いた文字数を簡単に計算することができる。素晴らしい!

これまで私は、手帳といえば先々の予定を書き入れ、忘れるのを防いだりダブルブッキングしないように【管理】するためのものだと思っていた。
カレンダーについてもそうだ。
だが、手帳の使い方はアイデア次第でいくらでも広がってゆくのだと気付いた。

●最初の一歩が肝心。「どうしたいか」は自分が一番知っている

さっそく私は手帳を買うために書店へ向かった。
仕事で使うわけではないから、人目を気にせず自分の好きな色を自由に選べる。私が選んだのはX(Twitter)のアイコンの色に似たターコイズだった。
やはり見るたびにテンションが上がる色がいい。

まず、手帳に何を書くかを考えた。
【どういう意図でこの手帳を使いたいのか。】
【手帳を使うことで、将来的にどうなりたいのか。】
それをじっくり考えてみた。
一番大事なのは「自分がどうしたいか」「どうなりたいか」だ。そしてそれは自分自身が一番よく知っている。
ネットで検索すると「手帳に何を書くか」についてたくさんのアイデアが出てくるが、その中で自分に合ったものだけ選んでゆく。

 ・予定
 ・知人の誕生日
 ・今日できたこと
 ・小説執筆の進捗
 ・思考のメモ
 ・気になった言葉
 ・ToDoリスト

それらを全部ごちゃまぜに書いてはかえって整理がつかなくなるので、それぞれの内容をどこに書くかまで考える。
見やすくわかりやすくするには工夫が必要だが、慣れが必要かもしれない。

●さあデコるぞ! ひゃっほう!!

ある程度文字を書き込んだら、次は手帳をデコることにした。
自分には関係のない世界だと思っていたが、本当はずっとやってみたかった。
実を言うと、あまりにもカレンダーをデコりたい気持ちが強すぎて、一時期は100均で適当なカレンダーを買ってきてデコろうかと悩んだこともあるくらいだ。
こうして機会が訪れた今、ようやくできる。

ネットで見た画像では、手帳をマスキングテープやカラーペン、シール、写真、チケットなどでデコっていたっけ。今まで100均で気に入ったシールを見かけるたびに買ってきたが、これでようやく使いどころができた。
もちろん他にもシールを買い足した。オシャレなマスキングテープも買った。
カラーペンも好きなだけ買った。それはもう、物欲の限り買いそろえた。
ボールペンだけは、気に入っている既存のものを使うことにした。

子どもの頃、私はあまりシールというものに興味を持たなかった。
だが、手帳に貼り始めるとこれが楽しい。楽しくて仕方がない。
「ああ。本当は私はずっとシールが貼りたかったんだな」と気付いた。
今回は、やってみて初めて「本当は自分はこれがやりたかったんだ」と気付くことが多い。
いい経験になっていると思う。

さて、デコるにもセンスがいるわけだが、それは求めないことにした。
最初からうまくやろうと思っていたらきっと一生デコれない。
最初は下手でもいい。だが一年後には素晴らしくセンスが良くなっている。ページをめくるごとにそれが感じられる。
そんな手帳にしようと思った。

そういうわけで今、手帳を開くのがとても楽しい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?