見出し画像

フルタイム、パートタイム、派遣の違いは?

フルタイムとパートタイムの定義について、良くお客様に聞かれます。
面白いことに、米国労働省(US Department of Labor)では、フルタイムもパートタイムも明確な定義はないそうです。(参考文献:https://www.dol.gov/general/topic/workhours/full-time

一般的には、フルタイムは一週間40時間勤務、パートタイムは一週間30時間以下勤務です。多くの州では、一週間に40時間が標準勤務時間とみなされ、40時間を越えて労働した時間に関しては残業手当が発生します。(マネージャーや専門職など「エグゼンプト」とされる方に対しては残業手当は発生しません。)

また、パートタイムは一週間30時間以下勤務、というのが一般的です。
ただ、最近、フルタイム勤務でも時間短縮が進み、一週間37.5時間、35時間、30時間という会社もあります。(参考文献:https://www.thebalancesmb.com/difference-between-full-and-part-time-employees-398262

フルタイムの従業員に対しては、健康・歯科保険、有給休暇、有給の疾病休暇(Sick Leave)などの福利厚生が付き、パートタイムの従業員には福利厚生はつかないのが一般的です。

米国労働省で定義していない以上、会社の従業員ハンドブックではっきりとフルタイムとパートタイムの定義を明確にしておくことが大切です。

また、「パートタイム」として雇った場合は、会社のパートタイムの定義で決まっている時間以上働かせないようにすることをお勧めします。会社の従業員ハンドブックで、フルタイム従業員が週35時勤務、パートタイム従業員は週30時間以下勤務、と決まっているにも拘わらず、「忙しいから」といって、パートタイムの従業員に毎週35時間に近い時間を働かせた場合には、パートタイムの従業員に「私はほぼフルタイムの時間を働いているのだから、フルタイムの人と同じ福利厚生をもらえる権利がある」といって訴えられる可能性もあります。

では、派遣社員はどうでしょうか?

結論から言うと、派遣社員を雇う場合には、2年以内に直接雇用をしないのであれば、いわゆる「派遣切り」をするべきです。

マイクロソフト社で1992年に派遣会社からの派遣社員が集団訴訟をおこしました。派遣社員は「自分たちは、2年以上マイクロソフト社の直接雇用の社員と同じ仕事をしているのに、福利厚生をもらっていない。マイクロソフト社は自分たちを直接雇用して、正社員と同様の福利厚生を与えるべきだ」と主張していました。

8年かかった訴訟は、マイクロソフト社と派遣社員の間で和解が成立し、マイクロソフト社は3000人以上の派遣社員を正社員として雇用しました。(参考文献:https://www.nytimes.com/2000/12/13/business/technology-temp-workers-at-microsoft-win-lawsuit.html

雇用者の立場から、派遣社員であっても、せっかく仕事を覚えたのだから、長く働いて欲しい、というのも理解できます。また、派遣社員の立場から、いわゆる「派遣切り」されるくらいなら、ずっとその会社で派遣社員として働きたい、という気持ちも理解できます。大体の場合、直接雇用の従業員よりも派遣社員として働いているほうが無給休暇を取得するときなどフレックスに対応してもらえることが多いことも事実です。

しかし、本当に長くいて欲しい人材であれば、福利厚生をつけて、直接雇用として雇うべきです。

雇用主も、パートタイムの従業員も、派遣社員も、良く会社の定義を理解し、お互いに気持ち良くお仕事ができたら良いですね。

The Stellar Journal 2019年2月掲載
https://www.stellarrisk.com/ja/fulltimepartimewhatisthedifference/?fbclid=IwY2xjawE8KRZleHRuA2FlbQIxMAABHZLck4MuUrk-kTR7NmwtUEIq_vwDaTb35p9XeWGRa3izPRCVzDRBs2228w_aem_CsnJ7mURXBHGSvnpGPEb1A

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?