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ペットと介助犬

2021年、新しい大統領が就任するにあたり、いろいろなことが変わりますね。その一つに、ホワイトハウスにペットが戻ってくる、ということがあります。次期大統領のバイデン氏は、2匹犬をペットとしてホワイトハウスに連れて行くそうです。

歴代の米国大統領は、ホワイトハウスでペットを飼うのが慣習になっていたようですが、トランプ大統領は案外きれい好きでペットは飼いませんでした。もちろん、仕事場ではなく、プライベートな場所ですが、前オバマ大統領は、ホワイトハウスに引っ越す以前には、娘さんに犬アレルギーがあるから、という理由でペットを飼っていなかったそうです。ホワイトハウスに引っ越すにあたり、わざわざアレルギーが出ない犬を探し、飼い始めたそうです。

犬や猫、小鳥、ハムスターなど小動物はもちろん、牛(ブッシュ元大統領)、馬(レーガン元大統領やケネディー元大統領)、羊、闘鶏用の鶏など、いろいろな動物をペットとして飼った歴代の大統領がいました。大統領の執務が精神的にとても厳しいから、ペットが癒しになる(精神的な介助)という面も大いにあったそうです。(参考文献:”A History of President Pets” by Charlotte Chilton, December 22, 2020 : https://www.townandcountrymag.com/leisure/arts-and-culture/reviews/g744/presential-dogs/ and
“Learn All About U.S. Presidents and Their Many Pets, Past and Present” by President Pet Museum: https://www.presidentialpetmuseum.com/)

アメリカは案外ペットには寛容で、ホテルもペット料金を支払えば人間と一緒の部屋で宿泊可能な場合も珍しくありません。

「精神的介助動物(Emotional Support Animals)」という名目でではありますが、昨年(2020)までは飛行機にペットを檻にいれずに座席に追加料金なしで連れ込むことができました。 「ペットと一緒にいないと精神的に問題がある」という証明書を医師が発行さえすれば、飛行機にペットを「精神的介助動物」として連れて乗ることができました。ペットが「(精神的)介助動物」としての公式なトレーニングを受けている証明は必要ありませんでした。もちろん大きさの制限はありましたが、犬や猫だけではなく、ブタ、クジャク、果てはヘビまで精神的介助動物として持ち込まれたそうです。

しかし、ペットが飛行機の中でかみつく、騒ぐ、尿をもらすなどいろいろ問題があり、今年(2021)から公式にトレーニングされた介助犬以外、ペットを精神的介助動物とみなして飛行機に乗せることは禁止になりました。(参考文献:“The DOT is cracking down on emotional-support animals on airplanes and will allow only trained dogs to fly” by Thomas Pallini on December 2, 2020: https://www.businessinsider.com/dot-is-cracking-down-on-emotional-support-animals-airplanes-2020-12#:~:text=The%20DOT%20is%20cracking%20down,only%20trained%20dogs%20to%20fly&text=The%20US%20Department%20of%20Transportation,support%20animals%20as%20service%20animals.&text=Service%20animals%20will%20still%20be,rule%20takes%20effect%20in%202021 )

では、普通のオフィスに身体障害のある従業員が「介助犬」「精神的介助犬(動物)」を仕事に連れてくる必要がある、と言った場合、雇用主はそれを認める必要があるでしょうか?

米国では、身体障害の有無で従業員を差別することは法律で禁止されています。また、身体障害のある従業員が仕事を遂行するにあたって雇用主は「合理的配慮(Reasonable Accommodation)」を与える必要があります。

「介助犬」や「精神的介助犬(動物)」は合理的配慮にあたる可能性がある、としながらも、雇用機会均等委員会(EEOC)では明確な規定はありません。どうして介助犬などが必要なのか、どの場合にどのような仕事を遂行するために必要なのか、介助犬は公式なトレーニングを受けているか、などすべて調査してから結論を出すことをお勧めします。いくらトレーニングを受けている犬といっても、別の従業員に犬アレルギーがあり、深刻なアレルギー反応を起こす危険性もあるからです。(参考文献:“Service Animals and Emotional Support Animals” by ADA: https://adata.org/guide/service-animals-and-emotional-support-animals#:~:text=Allowing%20an%20individual%20with%20a,may%20be%20considered%20an%20accommodation.&text=Both%20service%20and%20emotional%20support,direct%20threat%20in%20the%20workplace. )
 
The Stellar Journal 2021年1月掲載
https://www.stellarrisk.com/ja/petandservicedogs/?fbclid=IwY2xjawEhKLNleHRuA2FlbQIxMAABHUxYdbo8tLwAvQMgBn-NE77s7-qgnWbCxBqop4awjpFeA5bg3oT_fv77nQ_aem_QVc6l8gJDFzV8ziq54IMjA

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