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ゲイブ・ブラウン『土を育てる/自然をよみがえらせる土壌革命』

☆mediopos2852  2022.9.8

土を育て生態系を回復させる
リジェネラティブ(環境再生型)農業としての
「奇跡のカーボン・ファーミング」には
5つの原則があるという

「土をかき乱さない」
「土を覆う」
「多様性を高める」
「土のなかに「生きた根」を保つ」
「動物(虫・鳥・ミミズ)を組み込む」

これら5つの原則は
おそらく農業だけの原則ではない

本書からは大きくはずれるが
ひとの魂を育てる原則として
あてはめると次のようになるだろうか

魂を外からかき乱さない
(教育されるのではなく自己教育し)
(魂がみずから育つようにする)

魂をポエジーで覆う
(即物的機械的な思考を去り)
(魂を育てる想像力を高める)

多様性を高める
(狭い領域に偏ることなく)
(魂の生態系を豊かにする)

魂のなかに「生きた根」を保つ
(死んだ思考で過去に生きるのではなく)
(ハートの思考で精神性を広げる)

自然を組み込む
(自然へとひらかれたからだで)
(四大を解放し得る魂を育てる)

とでもなるだろうか

逆にいえば
こうした5つの原則を逆にしたのが
現代の病であるともいえる
たとえばこんな

偏差値教育
科学信仰
専門化
唯物論
人間機械化

魂の生態系の破壊は進むばかりだ

■ゲイブ・ブラウン(服部 雄一郎訳)
 『土を育てる/自然をよみがえらせる土壌革命』
 ( NHK出版 2022/5)

「わが農場のストーリー、それは「工業型農業を続けて土地のやせた低収益の農家を、いかに健全で収益力のある農家に再生させたか」。その道のりは、試行錯誤と実験の連続。途中、数々の失敗があり、いくつかの成功があった。師となって導いてくれた人もたくさんいた。ほかの農家たち、研究者、環境活動家、家族。でも、いちばんの師は母なる自然だ。
日々の仕事のなかでも、「土を育て、守り続ける」という目標のもと、ほぼすべての意思決定を行っている。よりどころとしているのは5つの原則。数十億年の時を経て、自然が作り出してきた原則だ。太陽が照り、植物が育つかぎり、地球上どんな場所でも変わらない。世界各地の農場や牧場が、この原則を生かして、水分の行き渡る養分たっぷりのふかふかの土をつくり出している。」

「第1の原則 土をかき乱さない

土を機械的、化学的、物理的になるべくかき乱さない。
 耕すと土壌の構造が壊れてしまう。そして、肥沃な土をつくり出す土壌生物たちの〝棲み処〟をわざわざ引っかき回すことになる。団粒構造や孔隙(水が染み込む隙間)も土壌の構成要素。耕してしまうと土壌流出が起こり、貴重な資源がむだになる。化学肥料、除草剤、農薬、殺菌剤なども、土壌の生態系に悪影響を及ぼす。」

「第2の原則 土を覆う

土はつねに覆う。
 これは土の健康を立て直すうえで、きわめて重要なステップだ。むき出しの土は正常ではない。自然はいつだって土を覆い隠そうとする。天然の〝よろい〟をかけてやることで、土は風や水による流出から守られ、また、それが土壌生物のエサや棲み処にもなる。水分の蒸発や雑草の発想も抑えられる。」

「第3の原則 多様性を高める

植物と動物の多様性を確保する。
 自然界のいったいどこに単一品種だけが生えている場所があるだろうか。もちろん人間が植えた場所だけだ。野生の大草原を見渡したとき、いつも最初に気づかされるのは、その信じられないほどの多様性——やわらかい草、背の高い草、つる植物、低木。これらがみな生き生きと調和して繁っている。ひとつひとつの種が示すさまを見てほしい。根が浅いものもあり、深いものもあり、ひげ根あり、直根あり。炭素固定量の多いもの、少ないもの。窒素を固定するマメ科。これらひとつひとつが土の健康を保つうえでひと役買っている。多様性によって生態系の機能は強化される。」

「第4の原則 土のなかに「生きた根」を保つ

年間を通し、土のなかにできるだけ長く「生きた根」を保つ。
 春、散歩をすると、最後の雪をかき分けて緑の植物が顔を出している。根が息づいているのだ。これらの生きた根は、土壌生物のエサとなる炭素を供給している。そして、土壌生物は植物のエサとなる養分の循環をつくり出す。」

「第5の原則 動物を組み込む

自然は動物なしには成り立たない——ごく単純な事実だ。
 農場に家畜を組み込むことで多くのメリットが得られる。とくに、動物がしょくぶつをたべルことで植物が刺激され、土により多くの炭素が送り込まれる。つまり、食べさせることで養分の循環がうながされるのだ。また、大気からより多くの炭素を吸収し、地中に固定することになるので、気候変動の面でもメリットは大きい。さらに、生態系が健全に機能する農場を望むなら、家畜だけでなく、花粉を運ぶ虫や鳥、害虫を食べてくれる捕食昆虫、土を耕すミミズ、そしてあらゆる微生物にも棲み処を提供し、生態系を支えてもらう必要がある。」

「この本は、「工業型の農業」から「自然に近い農業」へ、うちの農場がいかにして変身したかを伝えるために書いた。くれぐれmの、「あなたの農場をどうするか」、あるいは「どうすべきか」を伝える本ではない。それを決められるのはあなただけだ。
 私にとって、農業は30年以上にわたる挑戦だった。しかも、一度は学んだことをすべて捨てて、ふたたび学びなおすということまでした。子の本に提示した基本的な考えが、明確な説得力をもってみなさんに伝わることを願っている。いちばん大切なのは、私たちひとりひとりが——プロの農家であれ、家庭菜園の愛好者であれ——自然の偉大な力を生かして——、栄養たっぷりの食べ物をつくり出すこと。しかも、そのなかで自然を再生し、子どもや孫たちが健康に暮らせる未来を守ること。私の挑戦は、本書に示した5つの原則の実践とともにあり、なおかつ、次のような個人的な原則とともに進む道のりでもあった。」

「1.神を信じる」
「2.先入観を持たない」
「3.観察する」
「4.失敗を恐れない」
「5.取り巻く背景を理解する」
「6.行動を起こす」

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