そんなにマナーって大切ですか?


マナーは大切です。でも……

煽るタイトルのほうがバズるって大人が言ってたからそんなタイトルつけてみた!そして、煽っといて一番最初に先に言いますがマナーは大切です。それがないと楽しめないこともあるかもしれません。

そもそも、ここでの「マナー」ってどういうことを指してるのか。時々、謎解きやマーダーミステリーなど、他人と遊ぶ公演だと、こうするべき、こうした方がいいよ、アレはだめだよ、こういうのは冷めるなあ、みたいな話がtwitter上で多すぎる、って感じませんか?僕は感じてます。このnoteでは、そういう発言も「マナー」としてまとめて表現してます。

そして、これは、アレコレ参加する前にいうほど大切なものなのでしょうか?

そのマナーの押し付け、主張、本当に誰かを楽しめなくしてませんか?

そのマナーよりも、大切なものがありませんか?

これがこのnoteのテーマです。

対象として、基本マーダーミステリーや、謎解きなど「ゲーム」のある「公演」を想定してください。「公演」と言ったのは、曲がりなりにも自分が「お金を払ったお客さん」であることを前提に、です。

特にマーダーミステリーが新興の遊びであるがゆえに、いろんな人がよかれと思って、あれやこれやとマナーを口にします。こうした方がいい、ああした方がいい……あれはしないほうがいい……ロールプレイしたほうがいい……挙句の果てに専門用語解説したりする。

余計なお世話じゃないです?

特に、この作品やるときは、ならまだわかります。主語がでかすぎる。「マーダーミステリーでは」って、あんた、すべてのマーダーミステリー知ってんのかい、と。

しかも、マナーとしてこうすべき、ああすべき、みたいな話をして、それを見た初心者の人がどう思うか。「ああ、マーダーミステリーっていろいろ暗黙の了解があって、こわいんだな」と思われること想像しませんか?しかも、相手がそのマナーの意図や、意味、本当にそのtweetでわかってくれると思いますか?

そんなことしなくても、マーダーミステリーの公演には、「注意書き」「GM」など、マナーを事前に説明すべき役割の存在がいます。それを飛び越えて、「マーダーミステリーのマナー」とか「専門用語解説」とか、余計なお世話だと思いませんか?それは、その公演のGMが責任もって行うことであり、できてなかったらGMが悪いだけのことです。

※僕もいろいろ言いたがりお気持ち表明したがりの人間なのですが、あまりそういったプレイヤーに対して〇〇禁止とか〇〇しよう話にはのらないようにしてます。作品やGMお店に対してこうなってほしいなあ、はバンバンいいます。

マナーは人を委縮させる~とある公演を一例に

ここで、ひとつの思い出話をしましょう。今回の話において、これを思い出したから、このテーマで書こうと思ったひとつの公演があります。これはとある謎解き公演のお話です。その公演は、東大の謎解き制作団体、AnotherVisionさんの無彩色の隔壁

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https://ameblo.jp/keibu-escape/entry-12229602740.html

という公演でした。(リンクは公式ではなく、ネタバレblog書かれている方のものです。

この公演は、演劇と謎解きの融合、をうたったもので、実際にかなり斬新で面白いものでした。僕は失敗して少し不満点はありましたけど、本当に新しさを感じる素晴らしい公演でした。(是非またこの形式でやってほしい……!)

この公演が発表された際、公式ではなく、何人かの演劇に造詣のある方が、謎解きクラスタに向けて、「演劇のマナー」をいろいろ語り始めました。

そして、それによって、何人かの方は「え………そんなこと気にしながら謎解きするの……」と参加前からちょっと引いたようなtweetを見ました。これはその発言した方だけの話だったのか。僕はそう思いません。発言せずともそう思ってた人は多く、そのような話を裏でちょくちょく聞きました。

まさに「マーダーミステリーのマナー」と同じような話ではないですか?よかれ、と思ってその演劇系の方は発言したのでしょう。でもどうでしょう?その注意は果たして、参加前の方に公式ではない方がやるべきものだったのでしょうか?参加してから公式がしては本当にダメなものだったのでしょうか?そもそも、それは事前だとしても、「その公演の注意」として主催者がすればよかったのでは?

「マーダーミステリーのマナー」も同じです。そんなのは、その公演のマナーであり、ルールであるべきで、主語を大きくする必要なんてないのです。それをマーダーミステリーを知らない人が読んだらどう思うでしょうか?

ルールも大切です。でも……

そこで、ルール、という単語が出てきました。これは、マナーより本来強制力を持つものです。正直ゲームにおいては、ルールの方がマナーより大切、と言えるでしょう。

ちなみに前述の公演では「芝居が始まったら、手元の紙を見たり、謎を解いたりしないでください」と、明確にルールが示されていました。しかし、時折そのルールは実際にやぶられていました。正直、これを完全に止めることは難しかったでしょう。ただ、もっと言って欲しかった、との話もありました。そこでズルした人が出たことで、謎解きの解答提出に行列ができた、というのもその思いを強くした部分でした。

ここで、とある方のtweetが僕は印象に残っています。(記憶で書いてますので内容が違っていましたらごめんなさい)

「手元を見ないでください、ではなく、舞台を見てください、と言った方が効果的だったのでは」

正直、この公演であった問題がそれで完全解決したとは思いません。でも、この発言をされた方はマジシャン、かつ、謎解き制作者の方でした。なので、普段のマジックでもそうやって客を誘導してるんですよ、と語ってらっしゃいました。人狼でも、目を開けないでください、より、目を閉じてください、って言うでしょう?と。

これはとても主催者側にとって、示唆的な話だと思います

〇〇をするな

ではなく、

〇〇をしましょう

と誘導することの方が効果的である、と。そしてその先に、何があるのかと期待させたり、こんないいことがありますよ、と提示すること。これも、マーダーミステリーや、当然ながら公演型のゲーム全般にいえることではないでしょうか?

それによって、みなさんは楽しみを得られる、もしくは、目標に近づくのですよ、という誘導を果たしてGMはできているのでしょうか?すぐ、〇〇禁止、と言いたくなっていませんか?

マナーより大切なもの

では、最初に言いました

そのマナーよりも、大切なものがありませんか?

に関して、です。ルール、それはマナーより大切なもののひとつでしょう。でも、もっと大切なものが僕は2つある、と考えています。

1.目標を目指して行動するという意志

※普通のゲームなら、「勝利を目指してください」謎解きなら「クリアを目指してください」的なものです。

2.他者とともに楽しもうという心

むしろ、この2つだけでいいんです。逆にこれだけは持ってきましょう。

これ以外を公演前に気にしてもらう必要は、謎解きだろうと、マーダーミステリーだろうと、僕は、ない、と断言します。それ以外のルールやマナーは主催、GMがちゃんと説明するだけです。これをちゃんと持ってきたのに楽しめなかったら、そのゲームかGMが悪いか、ただあっていなかったのです。僕の公演でもそれはあったと思います。そういう方にはごめんなさい、というしかないです。ごめんなさい。

また、これを持ってこれない方を想定すると、いらないルールやマナーがどんどん増えて、説明が長くなっていくのです。それ、本当にみんな幸せになってますか?だから、お互い、ここだけは持ってる、という前提のもとに進めたいのです。謎解きでクリアとかみんなで楽しむとかどうでもいいわー、って連れてこられたカップルの片方のテンションに困ったこと、あるでしょう!?

ただ、そのルールやマナーを主催、GMは本当に、前述のように、本当に効果的な説明ができているでしょうか?僕は、最近ほとんどのマーダーミステリー公演で言われている、

嘘をつくのはOKです。でも、過度の嘘は真実から遠ざかることになります。

という表現がどうもひっかかっています。いや、間違ってないんですよ。それは。ただ、まさにこれは前述の「〇〇しないでください、は効果的ではない」のと同じように効果的ではない、と思っています。(じゃあどう自分は言ってるか、は微妙に自公演のネタバレなので言えません、ごめんなさいw 参加してくれた方はわかるかと。)

一方謎解きで言われる

情報共有、役割分担は非常に重要です。自分ではわからない謎を抱えているより、他の人が気づくことがあります……

とそれに続く説明は、定番ながら、初心者にとって意味がある、と僕は思っています。だって、これは、前述の

1.目標を目指して行動するという意志

に応えているからです。1をもってきた人に、ちゃんと目標に向かった手段として、魅力的に見える行為を提示しているのです。

また、マーダーミステリーには「ロールプレイ」(と呼ばれたりする演技)というやっかいな存在があります。これが苦手で、やりたくない、という方もいるぐらいです。でも、これは必須なものでは決してありません。

だったら、

2.他者とともに楽しもうという心

を持ってきた人に、ちゃんと、こうやると楽しめますよ、って教えてあげることが大事なのではないでしょうか?演技をしなくちゃいけないものじゃなくて、したらこういう時に楽しいですよ、とGMが伝えてあげるべきものです。NAZO劇さんがよくやってた、NAZOが解けたらハイタッチ、とかももう謎クラは飽きてるかもですけど、やっぱり初めての人には大切だと思うのですよ。

最後に

よくガチ勢か、エンジョイ勢か、みたいな対立論でますが、

1.目標を目指して行動するという意志

2.他者とともに楽しもうという心

この2つはどっちも大事であり、その2つを比べるなんてとんでもない、です。ガチ勢エンジョイ勢なんて議論はナンセンスです。両方だいたいみんなできてますってば。だいたいでいいんですよ。この2つさえ持ってきてもらえれば、余計なルールだのマナーだの言わなくてすむのです。

僕は、性悪説、を謎解きやマーダーミステリーのゲーム内に持ち込んであれやこれや言うの好きではありません。それは、1と2さえ持ってきてくれれば、基本、もうそれは性善説の世界である、と信じているし、実際ほとんどそういう人しかいないからです。

僕が自信をそうもって言えるのは、僕が仕事でやってきた業界は、そもそもプレイヤーですらない、業者、といわれる存在と戦い、そのために無駄なルールや対応を強いられる業界でした。性悪説をとらざるを得なかったのです。

それに比べてなんとこの界隈の恵まれたことか。ネタバレをほとんどの人が守り、良コンテンツが継続している。だから、プレイヤーとして、1と2をもってきた人を存分に楽しませるのが、主催やGMの仕事ではありませんか?そのために適切なマナーやルールの提示をもっともっと工夫できるはずなのです。

僕はここ最近、マーダーミステリーにあまりハマれなかった人の感想を聞くことが多かったです。その感想の根っこにあったのは、「マダミスってこうしなきゃいけないんでしょ」という、マダミスのゲームとしての強度を信じ切れなかったり、そもそも事前にロールプレイをしなくちゃいけない、という強迫観念があったり、思いっきり遊べてないことによる部分が大きいと思いました。特に、謎制作者に多いように思います。なぜなら、ゲームが壊れる、というのが起きる時は起きることを知っているから。でも、自分たちの知恵でそれを避けてきてるから。なので一番そういう方々に言いたいのは、これを気を付けてあれを気を付けて、より、

大丈夫、ゲームとGMを信じて、思いっきり一緒に遊びましょう!

です。

本当にここ2ヶ月で、僕は少々のことが起きてもゲームは簡単に壊れないし、こわれないようにGMは立ち回れる、という確信に近いものを感じました。

1.目標を目指して行動するという意志

2.他者とともに楽しもうという心

これさえ持ってきてくれば楽しめるから!楽しめなかったらGMかゲームが悪いだけだから!(僕の公演でそうだった人は完全に僕のせいなんで、ほんとごめんなさい!)と僕は訴えたいし、そうなるようにGM、ゲームデザイナーは一緒にがんばりましょ!と訴えたい。

1を言うと、多くの人が、え、目標達成できないと面白くないの?って言うかもしれません。そうじゃないのです。目標を目指すことが大事で、結果は最終的にはノーサイド、です。たとえば、謎解きで、納得感のある失敗、だったとき、めちゃくちゃ面白いと思いませんか?そして、それを得られるのは、本気で謎に挑んだ時だけじゃないですか?

特にマーダーミステリーは、全員が目標達成する、ということはほぼないです。でも、その中で目標を目指して行動した結果、エンディングで全員の思いの交差した姿を振り返った時、その回にしかない物語が見えてくる。これがマーダーミステリーの醍醐味のひとつです。ああ、この誤解はこのために発生したのか、そのためにこう行動したのか、こういった絡み合った糸(=意図)がほどけていくのは、ひとつのカタルシスです。

目標を目指してプレイした結果、物語をみんなで紡ぐことができる

それが僕の思うマーダーミステリーの最大の魅力です。

さあ、どうぞ、余計な心配なく、マーダーミステリーの世界へ。

そしてもし謎解きって難しそう……って思ってた方にも同じメッセージを。

余計な心配なく、謎解きの世界へ。

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