本格ミステリーの年、2022

※このnoteはネタバレのないよう配慮して書いているつもりですが、
「Medium 霊媒探偵城塚翡翠」「方舟」「名探偵のいけにえ」にほんの少し触れています。

紹介すら聞きたくない、という方は回れ右を。

これは個人的に自分にとって、なのですが、2022年は本格ミステリ読書への復帰の年、でした。きっかけは、「Medium 霊媒探偵城塚翡翠」でした

Medium 霊媒探偵城塚翡翠

http://kodanshabunko.com/medium/

死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理作家・香月史郎。心霊と論理を組み合わせ真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かう。証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのはもはや翡翠の持つ超常の力だけ。だがその魔手は彼女へと迫り――。ミステリランキング5冠、最驚かつ最叫の傑作!

以前は、毎年「このミステリーがすごい!」のランキング上位の本格ミステリーと呼ばれるものはだいたい読んでいたのですが、ここ数年、逆に読書習慣が急に落ちていて、読む量が減ってました。

そんな中、ネットの「本格ミステリーベスト10」的な記事で、9冊は読んだ作品の中、Mediumだけ読んでなかったので、とても気になりました。そもそも2020年の各ランキングを総なめにした作品というのに。

で、これは読まねば、と、読んでみたのですが……

衝撃的に面白かった……。今後、個人的にも人生で読んだミステリーベスト5にいれると思います。ドラマ化されたけど内容ネタバレとかも聞いてない人は是非ご一読を。続編Invert、Invert IIもありますが、必ずそれよりも先にMediumを。

ここから久しぶりにミステリー読書欲がわき、今年後半いろいろ読みました。そんななか、個人的に今年発行された中でもズバ抜けておすすめな、本格ミステリーの2冊をご紹介。といってもネタバレしない範囲でのご紹介なので言えることは限られるのですが。

方舟

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000369228


9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

今年を代表する一冊です。かなり話題にもなりました。
この作品は特に、謎解きや、マーダーミステリー好きにお勧めしたい一冊になります。

廃墟という特殊空間におけるクローズドサークルもの、です。
この作品の特徴として、主人公視点で物語が語られることで、他の登場人物のキャラクターが薄く感じられる、というデメリットがあるかもしれません。ですが、むしろそれが、キャラクター視点でしか物語が見えない、没入感をもたらしているのでは?という気もしています。是非その効果の程は自らお確かめください。

名探偵のいけにえ

https://www.shinchosha.co.jp/book/353522/

病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。奇蹟を信じる人々に、現実世界のロジックは通用するのか? 圧巻の解決編一五〇ページ! 特殊設定、多重解決推理の最前線!

こちらは、正直万人にオススメ!というには抵抗のある作品かもしれません。序章の描写からかなり不穏で刺激的です。すごく話があちこちに飛んだり、繰り返されて難解複雑、それに冗長に見える部分もあるかもしれません。しかし、そういった一見冗長なことも物語として収束していく、まさに本格ミステリーならではの壮大なカタルシスを感じられる作品です。

実はこの2作品、「このミステリーがすごい!」の1位2位とるのでは?と期待してたのですが、1位は本格系ではない作品だったようです。まあ、ミステリーといっても本格だけではないので、今回は本格系豊作のため票が割れたり、後半に集中したり、といったこともあったのだろうな、とまだ内容読む前ですが思っています。

自分自身がミステリー読みとしてさぼってただけにこの機会に皆さんもこれらの本を読んでミステリー談義できたらとても幸せだな、と思います!

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