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もうなんか酷い—アダムス・ファミリー—

≪概要≫

監督 Conrad Vernon
出演 Oscar Isaac, Charlize Theron, Chloë Grace Moretz(1)

≪あらすじ≫


指を鳴らす準備を!「アダムス・ファミリー」の不気味な一家がコメディー要素たっぷりにアニメ映画になってスクリーンに帰ってくる。面白くて、風変わり。しかし、何ものにも代えがたい存在のアダムス家。彼らは、ご近所さんたちと仲良くやっていきたいのだが…。(2)

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≪はじめに≫

 ゴシック好きを豪語しているが未だにアダムスファミリーを見ていなかったのでAmazonprimeにあるこのアダムスファミリーの映画で入門してみようと考えた。視聴しての感想としては兎に角酷い。アダムスファミリーをこの作品しか見ていないのであまりファン目線では語れないがアニメ好きとしてはこの映画を評価できる。それを以て断言できる。この制作陣はアダムスファミリーのことが好きなのかと。


≪独自性≫

【ゴシック】

 恐らくこの項目と下の項目は他のアダムスファミリーの他の作品にも言える事で、この要素の為にアダムスファミリーが一部の人から人気である。ゴシック怪奇。登場人物を一目見たときにこの要素が好きな人はこの作品を好きなるだろう、それくらい造形が素晴らしい。怪しく、狂気じみた見た目に愛くるしさを見出す人には堪らない。そして彼等が住む館のデザインの素晴らしさ。見事な廃墟とそこに散りばめられたゴシックの要素。堪らない。

【家族向けナンセンス】

 映画を一通り見た所、ナンセンスな要素を素晴らしい。叫び越えを上げる館に勝手に棲みつき、館に朝食を与えると静かになる。弟を度々殺そうとする姉。この冷淡に見える態度とあまり憎らし気に思えない仕草のバランスが良い。彼らが彼等なりに生きている事を感じさせる。のでこの作品の終盤の展開は物語を作った事の無い人が仕様がなく付けた結末だと感じさせる。

≪技術≫

【しょぼいCG】

 正直に言うとこれが一番萎えるポイントであった。兎に角CGのクオリティがしょぼい。ポスターになっているアダムスファミリーのCGはそこまで気にならないがこの作品のオリジナルキャラクターのCGが20年前レベルの出来である。1995年に公開された「トイストーリー」の悪役のシドと今作(2019年に公開)オリジナルキャラクターのパーカー・ニードラーを比較してほしい。キャラクターデザインの酷さもさることながらCGのクオリティが20年前の作品と比べても劣っている(しかしCGの動きやエフェクトなどは今作の方が良いがこのクオリティのモデルが如何に動いても無念さには変わりはない)。
<トイストーリー(4)〉

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<アダムスファミリー(5)>

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【二つの筋の物語】

 今作は主に二つの物語が最終的に合体して結末を迎えている。一つはパグズリー・アダムスが自分の通過儀礼の準備をしており、そのときに行う踊りが上手く出来ずに悩んでいた。もう一つはウェンズデー・アダムスが外界が気になり始め、外に出たいと思うようになっていくという話である。その二つの筋が同時進行していき、マーゴ・ニードラーの住宅計画を変えていくのが映画の大まかな流れであるがこの話の筋自体がアダムスファミリーと噛み合わない。あまりにも主題が子ども向け過ぎる。アダムスファミリーは子供向けながらもブラックな所が人気の理由だと思うがこれは子供向け過ぎて、後の展開まで予想できてオチまでも意外な展開を求めてしまう程ありふれている。アダムスファミリーの良さを理解しているのか疑問になる。


≪構成≫

【不安定な主題】

 主題が変わった人でもちゃんと生きているという様なものであったと思うが、アダムスファミリーそしてその親族が被害者であるという主張が全面に出て、感動ストーリーであると匂わされている。この終盤の展開について物申している人は少なくなく、私個人としても同意見である。特に新しい刺激を求ていたウエンズデーが言うセリフではないと考える(この主題が彼女が母親からの価値観の押し付けを打破しようとすることと合わせたとしても、母親が子どもの事を心配するのは当然のことでその為に保守的になるのは責める事ではないと考える。それ故にウエンズデーの既存の価値感の打破とモーティシア・アダムスと過保護ならモーティシアの方が筋が通っているのでモーティシアの方に共感しやすく、ウエンズデーの態度に苛々してくる)。

【映画向けの話ではない】

 個人的には話の筋が二つになっているので物語に厚みが出ずに少し物足りなさを感じる。二つの話が見事に絡み合い予想のできない結末が自然と導き出されるとなると短い尺でも納得が出来るがそれもない。脚本の練り不足と感じる。恐らくアダムスファミリーという短編を長編として置き換えることが出来ず無理やり結末を考えた方がこの脚本についてもっともらしい説明になっている。それくらい二つの話が離れており、結末もとってつけたかのような納得しがたいものになっている。


≪おわりに≫

【これから見る人には満足、アダムスファミリー好きにとっては不評】

 最初に述べたようにアダムスファミリー自体を見るのが今作が初めてであったが魅力的に感じたのは事実だ。しかしその魅力的に感じた要素が全て他のアダムスファミリーの作品でも感じることが出来ると予想されるものでこの作品独自の魅力と言えば殆どない。

 アダムスファミリーのキャラクターや館の外内装のデザインは個人的には気にならなかったがそれより今作オリジナルキャラクターデザインが酷い。アダムスファミリー要素だけが良くて他の要素がいらないと感じた。

【吹き替えは糞】

 この作品の吹き替えが酷い。このPVをご覧のとおりアダムスファミリーの殆どのキャラクターが棒読みである。CGの出来が酷く、吹き替えも酷い。このPVを見ただけでこの作品の出来の悪さが伺える。一部の好事家に人気のアダムスファミリーをこんな風に改造するなんてと怒るファンがいても無理のない話である。(因みに放映前にこの映画のアダムスファミリーを見るのが楽しみと呟いていた人はこの作品を視聴したと呟かなかったので察した)


≪註≫

(1)、(2)以下から引用

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/0FWQWBBGHCH1BME0LEEEAQI6CB/ref=atv_set_wh_dp


(3)

ヘッダー画像以下から転載

(4)、(5)画像の転載元はそれぞれの画像にリンク付けしている。

〈リンク〉

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