維摩居士と文殊菩薩の対話

インドは曼荼羅世界
一念三千  摩訶止観

大乗経典・維摩詰所説経の文殊菩薩と在家信者の維摩居士(ゆいまこじ)との対話シーンがある。

文殊菩薩が維摩居士に問いをする。
文殊菩薩「菩薩にとって仏道とは何か?」

維摩居士「道ならざる道に赴く(おもむく)事こそ仏道なり」

文殊菩薩「道ならざる道とは何か?」

維摩居士「極悪人と交わって悩まず、奈落(=地獄・苦しみの境涯)にあって穢れず、畜生の群れの中でも驕らず、餓鬼に堕ちるとも徳を失わず、闇の世界にあっても高ぶらず、欲界にあって欲に溺れず、怒りに身を任せても心は静かで、愚行をなしても智恵を忘れず、吝嗇(りんしょく=物を惜しむ事)であっても身を惜しまず、戒めを破っても心は浄く、憤る事はあっても慈しみの心を持ち、怠るようでいて内では励み、無知のように見えて教えを守り、高慢に見えても陰では優しく、煩悩の中で解脱し、
魔道に入って仏道を目指す。

教えを聞き同時に教えを説く。
孤高を守って、衆生と共にある。
貧窮の中で宝を保持し、欠陥をもって万全である。
下賎の中で高貴であり、醜い姿の中に神の如し美しさをもつ。
老いて病むとも死を恐れず、財産家であっても無常を観じ、妻妾に囲まれて欲望を断っている。

寡黙にして雄弁、異端にして正統、外道に踏み込んで仏道を極める。
涅槃にありながら衆生と共に輪廻転生し、見かけの上ではひたすら非道を歩む。
   
「これぞ真の仏道なり」釈迦と維摩 作品社 より抜粋



Kerala Traditional Ayurveda Research Institute
(旧アーユルヴェーダ研究所GOLA)
アーユルヴェーダスクール Tantra(日暮里)
http://www.kerala-ayurveda

     

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