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有機化学者のための単結晶X線構造解析(6)「X線回折装置」
単結晶X線構造解析は実際の分子,結晶構造を観ることのできる強力な構造解析手法の1つです。
多くの研究分野に普及しており,生化学・構造生物学分野ではタンパク質の構造解析研究,有機・無機化学分野では合成した分子の構造決定や分子間相互作用の研究などに利用されています。
本連載では有機化学者のための単結晶X線構造解析と称して,X線回折測定の基礎から測定原理を解説していきます。
今回のテーマは「X線回折装置」です。
X線回折装置の概要
単結晶X線構造解析を行うX線回折装置の概略を以下に示す。
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大別してX線発生装置,結晶部分,検出器に分類される。各装置部分について解説していく。
X線発生装置
ラボ機では発生させたX線を人工多層膜X線集光ミラー等を用いて高輝度化させて使用している。
結晶部分
ビームストッパーと吹付装置
高輝度化させたX線は,ステージ上にあるゴニオメーターヘッドにマウント(=適切な位置に設置すること)した結晶に照射させる。
ビームストッパーは検出器に直接X線を照射するのを防いでいる。吹付装置からは冷却窒素を結晶に当て,結晶が崩れるのを防いでいる。
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ステージの回転
実際のX線回折測定では,結晶を3次元に回転させながらX線を照射させる。回転軸はω,Φ,χの3つの軸があり,測定によっては1軸を固定して行う場合もある。
![](https://assets.st-note.com/img/1656828174523-ceLZmFAUrh.png?width=1200)
検出器
回折X線の検出器はいくつか種類があるが,その検出原理は大きく異なる。
イメージングプレート(IP)
特殊な感光紙にX線を照射することで放射線エネルギーが蓄積され,後から熱や光を照射することでエネルギーが励起し蛍光を発する。この現象を輝尽性蛍光発光現象といい,IPはこの現象を利用している。
身近な例として,レントゲン写真はIPを利用している(ただし,近年はデジタル化が進んでいるので一概にIPのみではない)。
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CCD検出器
Charge Coupled Deviceの略。CCD検出器にはいくつか種類があるが,いずれも2次元に並んだフォトダイオードが画素として並んだ撮影素子である。
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CCD検出器は,縮小光型ファイバーを用いるタイプ(FOT-CCD),レンズを用いるタイプ(lens-CCD),イメージインテンシファイアを用いるタイプ(XII-CCD)に分類できる。
HPC検出器
Hybrid Photon Countingの略。CCDと異なり,X線を直接検出することができるため,微弱な反射点まで捉えることができる。
HPCはPixel sensorにX線が当たることで,その下にあるBump bond(インジウム球)がX線が当たったことを検出する。
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【参考図書】
・X線結晶学入門[化学同人]
・アトキンス物理化学(下)[東京化学同人]
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