濃紺色。

ようこそ、闇が蠢くアングラ街へ。

濃紺色。

ようこそ、闇が蠢くアングラ街へ。

最近の記事

毒屋、「蝟」。

 人の闇が蠢く街、「闇の街」。  都内にあるこの街は、そう呼ばれている。己の欲望や利益の為なら、他人の人生や命でさえも利用する。そんな化け物達が、闇の街に棲息している。  ある目的地を目指し、僕は闇の街のラブホ街を歩いている。  ラブホに設置された照明から放たれる紫色やピンク色といった妖しい色の光が、夜道を照らす。ラブホに挟まれた路地を、手を繋ぐ若いカップルや老夫婦、風俗嬢、サラリーマンが行き来する。ラブホの前に立つのは、街娼か。そこら中を、熱気のような性欲が漂っている。  

    • 殺し屋、「闇」と「病」。

       人の闇が蠢く街、「闇の街」。  都内にあるこのアングラ街は、他の街より命や身体に対する尊厳がない。闇が犇く路地裏から、常に人の皮を被った化け物が獲物を探して目を光らせている。  アングラ街ライターである僕にとっては、ネタの宝庫だ。ふらっとそこら辺を歩いただけで、街に蔓延る闇を垣間見ることが出来る。  18時頃、記事を書く為の材料を探すべく、闇の街の居酒屋街を歩いていた。 「蟇」という名前の居酒屋の前で、黒髪マッシュの男女二人組が煙草を吹かしているのを見付けた。  もしや、と

      • 屍サンタ。

         人の闇が蠢く街、「闇の街」にも、聖なる夜はやって来る。  12月24日23時49分。  闇の街にある、ラブホ街。ラブホに設置された妖しい光を放つ照明に加えて、クリスマス仕様の緑色や赤色といったカラフルな色が、街を賑やかにしている。  当然、人の多さが騒がしさの1番の要因だ。男と女、男と男、女と女、男と男と女、男と男と男と男と男と女……。性なる夜を共に過ごす様々な組み合わせの獣達が、棲家を探して、うようよしている。  僕はある場所を見付ける為に、ラブホ街を歩いていた。  この

        • ラジオを祀る、とある教団について。

           本日は、「ラジオを祀る、とある教団」について書きたいと思う。  僕が主に取材しているこの街は、様々な闇が蠢いている。金や性欲、その他の特殊な性癖……。街の住人の殆どは、己の欲望を満たす為に犯罪であろうと関係なく動いている。だが、極稀に目的が分からない存在がいる。何の為に? いくら考えても、答えが見付からない。  今回は、そんな不可解な集団を取材してきた。   *  目的地を目指して、夜の居酒屋街を進む。狭い道の両側には、居酒屋やスナック等がところ狭しと並んでいる。電飾看

        毒屋、「蝟」。

          排除屋。

           この街は、闇で溢れ返っている。  1つの闇が消えようと、空いたスペースに新たな闇が雪崩れ込む。ここから闇を消滅させることは不可能だ。  だが、どんなに街が穢れているからと言って、崩壊するわけではない。闇に塗れた住人にも秩序というものはある。街を壊し切って、棲息地を失うわけにはいかないからだ。  資料や塵で溢れ返った机でも、使用している本人はどこに何の書類があるのかが分かる。同じように、どんなに穢れた街の住人でも、どこにどんな闇があり、どこまでが手を出していい範囲なのかを理解

          立ちんぼドラック。

           立ちんぼとは、街娼のことだ。  店を介さずに路上で客引きをし、ラブホ等で性的サービスを行う。売春防止法によって禁じられている犯罪行為。  だけど、立ちんぼは至るところにいる。歌舞伎町にある大久保公園なんてのは、立ちんぼスポットとして有名だ。そこで行われる売買契約に、「交縁」という造語が名付けられる程。  僕が住むこの街にも、同じ闇がある。ここでの売春は、「乱公」なんていう造語で呼ばれている。ラブホ街の近くに「乱」という公園があり、その柵の周りに立ちんぼが沢山立っている。乱と

          立ちんぼドラック。

          密猟ホルモン。

           じゅむうううぅぅぅううぅぅぅぅ……。  網の上で肉が焼け、白い煙が天井へ昇っていく。  焼けたホルモンを手元にある空の皿に置き、熱くなった網の上に新たなホルモンを載せる。ぱつぱつ、とホルモンが鼻歌を口遊む。  手元の皿に載っている、とろとろになったホルモン。こいつをタレ皿に並々と注いだ檸檬のタレに漬け、茶碗に盛られた大盛りの白米の上で、ちょんちょんと軽く踊らせる。酸っぱくなったそいつを口へ投入し、後追いで真っ白なエンジェル達も向かわせる。  あぁ、完璧……。  口いっぱいに

          密猟ホルモン。

          闇チョコ。

          「闇チョコ」って、知ってる?   毎年バレンタインデーになると、この街で話題に上がる有名な都市伝説だ。  今年も、闇チョコが噂される夜が来た。  ラブホ街を歩く。両側をラブホに挟まれた道は、紫色やピンク色といった妖しい光に照らされている。そこで呼吸をするだけで、まるで映画の中の住人になったような特別感で満たされる。  闇チョコは、このラブホ街のとある路地で流通している。 「HOTEL HEAVEN」と赤色のネオン管で記されたお城のような見た目のラブホと、「HOTEL S」と白

          闇チョコ。

          娼婦サンタ。

          「娼婦サンタ」。  この言葉を、聞いたことがあるだろうか。  12月24日23時。スナックや居酒屋、マッサージ店等が入っている雑居ビルを見上げる。  居酒屋街の中に佇む5階建てのその建物は、周りのお店とは異質な雰囲気を放っている。建物の角に設置された縦長の電飾看板の光は点滅し、コンクリートの壁は全体的に黒ずんでいる。カーテンは閉め切られており、中の様子を窓から覗き見ることは出来ない。  廃墟寸前のような雑居ビル。進んで入ろうとは思わない。その建物の出入り口の前に、僕は立ってい

          娼婦サンタ。

          曰く付きの風呂屋。

           この街の住宅街には、曰く付きの風呂屋がある。  煉瓦で造られた屋根、年季が入って汚れた白壁、隣に設置されたコインランドリー。よく目にする、何の変哲もない風呂屋。 「湯」と赤文字で記された、青色の暖簾を潜る。入ってすぐ左側には下駄箱があり、そこに脱いだスニーカーを入れる。  正面を向くと受付があり、小窓から老婆が喫煙しながら、難しい表情で雑誌を読み耽っているのが分かる。道理で、入ってからずっと煙草臭かったわけだ。お客さんからのクレームはないのだろうか。  小窓の上に、料金の書

          曰く付きの風呂屋。

          ラブホ街アンダーグラウンド。

           ラブホ街を歩いていると、鬱屈とした感情が溶けるように闇夜へ消えていく。  カメラを首から下げて、妖しい光に包まれた街を進んでいく。  チープなお城のような外装のラブホ、普通のビルのようなラブホ、古民家のようなラブホ……歩く度、様々な種類のラブホを通り過ぎていく。  性癖に刺さる外装、並び方、路地裏を見つける度、カメラで1つ1つを捉えていく。危険な色気に満ち溢れたこの空間を切り取って、自分の物に出来たと思えるようになるまで、シャッターを切り続ける。  ラブホと電飾看板と入り乱

          ラブホ街アンダーグラウンド。