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アラサーの命懸け

先週の金曜日。
9月11日。

久しぶりにいいお天気になり、息子が前日に約束した幼馴染みに会いに出かけていった。
1時間ほどで帰ってきたので「おかえりー」と迎えると「いってきまーす」と応える。自転車の修理に出かけるのだとか。

息子が長年愛用している自転車はタイヤがパンクしたまましばらく放置されていた。見かねたとーちゃんが修理代を渡していたのでそろそろ修理に出すんだなとは思っていた。ただ、お天気が良くならなくて行けなかった。

事前の大騒ぎほどではなかったという評価の台風10号は、実際には全国的に影響が出ていたので、九州の備えの強さと雨に弱い地方の災難とが相殺されたような感じがしなくもない。被害が無いにこしたことはないけれど、なにしろ相手が「自然」なのでちょっと暴れると人間が敵うはずもなく。

連日、午後には雷が鳴って雨が降ったら大雨だったので午前中だけでも降らない予報に勇んで出かけていった息子は、自転車屋さんで修理の見積もりをしてもらって足りない分を借りに帰って来た。すでに汗だくになってスポーツドリンクを一杯飲んで冷たくした水をペットボトルに入れて三度目のお出かけ。幼馴染みはホームセンターで涼んで待ってるとのこと。修理が終わったら二人で釣り具店に行ってその後ハンバーガーを食べて帰ってくると言っていた。しばらくは帰ってこない。

そろそろかという時間に帰って来た息子の顔色がよろしくない。
息子曰く、自転車が直ったので幼馴染みと二人で意気揚々と釣り具店に向かって国道を走っていき、信号が赤になったので交差点の途中の中央分離帯のところで止まって、サドルがちょっと高いなと自転車を降りて調節しようとかかみこんだところで目の前が真っ赤になって目がチカチカして頭のてっぺんが拍動するのを感じるけどとてもゆっくりで……

「あれ?死ぬのかな?」

と本気で思ったらしい。
一緒にいた幼馴染みはまた心得たもので、様子がおかしいのを見て取ると、すぐさま端へ移動させて座らせ水や自分が持っていたスポーツドリンクを飲ませて休ませたそうな。「もしも吐いたら救急車を呼ぶ」とまで考えていたそうで、なんというか本当にありがたい。

その後もたっぷり飲み物を飲んで落ち着いたから帰って来たらしいのだけど、具合が悪そうで食欲も無いというのでうどんを作って取り敢えずエネルギーの素と塩分を摂ってもらってお腹が落ち着いたら横になってもらった。
寝て起きたら今度はお腹がこわれたというので、それはまぁ順当な反応なのでいいことにした。

幼馴染みのH君は保育園からのお付き合いで、保育園でどちらかが具合が悪くなると二人でちょこんと座ってるのですぐに判ると保育士さんに言われたりしていた。小中と同じ学校でいつもべったりではなく、いざとなったら二人で協力する感じで育ってきたのでお互いをよく知っているし、お互いを大事に思っているのはよく判る。

で、今回の急な体調変化の原因は、新型コロナのおかげで仕事がなくなってずっと家でこもっていたのが外に出て、修理して乗れるようになった自転車で二人でかっ飛んでいるとつい高校生の頃のような気持ちになってしまい肉体の衰えを忘れたことだった。
ということで、救急車を呼ぶタイミングを見ながらH君は考えた。
「仕事がなくて鈍ってきてるしジョギングでも始めようかと思ってたけど、危ないのが判ったからウォーキングからにするわ」

アラサーコンビは、鈍った体に急激な運動はとても危険ということを学んだのでした。

(今回のことは久しぶりにおかーちゃんのメンタルをじんわりと抉り、にこにこはしてるけど仕事が進まないという結果も招いたので反省していただきたい。)

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