見出し画像

脳梗塞のBADタイプってなに? ~BADについて考えてみた~

脳外ブログ 臨床BATON

こんにちは!本日も臨床BATONにお越しいただきありがとうございます。
2日目を担当しますのは、理学療法士のシミーと申します。
大阪府の脳神経外科病院にて急性期〜回復期までの患者様のリハビリテーションをしています。
私のブログの内容は、私が普段の臨床で気になること、脳血管疾患の患者様へのリハビリで悩むこと、臨床での経験談などをお伝えしていきたいと思います。
最後までどうぞよろしくお願いいたします!

本日は脳梗塞のBADタイプについて考えていきます!
新規の患者様のカルテを見て『脳梗塞(BAD type)』と診断名が出たときに、「BAD?」「他の脳梗塞と何が違うの?」「何か特別なことがあるの?」「何をすればいいの?」「そもそもBADってなに?」
と思うことはないでしょうか?

考える


今回は以下のポイントを中心にまとめていきます。

■ 脳梗塞の中でのBADタイプとは何か?
■ リハビリをどう考えていくのか?


他の脳梗塞とは何が違うの??


脳梗塞とは…

引用 
脳を栄養する動脈の閉塞、または狭窄のため、脳虚血を来たし、脳組織が酸素、または栄養の不足のため壊死、または壊死に近い状態になることをいう。

脳梗塞,Wikipedia,
https://ja.wikipedia.org/wiki/脳梗塞


みなさんご存知の方が多いと思いますが、
・アテローム血栓性脳梗塞
・心原性脳塞栓症
・ラクナ梗塞
この3つに大きく分けられているのではないかと思います。
私も養成校時代に3つ学びました。

BADとは…


引用 
1989年にCaplanという人が提唱した病理的概念です。
BADとは穿通枝が主幹動脈からの近傍で閉塞することによって生じる穿通枝領域の梗塞である。

脳梗塞,Wikipedia,
https://ja.wikipedia.org/wiki/脳梗塞#BAD(branch_atheromatous_disease)

文章での説明ではイメージしにくいと思いますので、図でBADとラクナ梗塞の違いを見ていきましょう。

画像1

①は母動脈から穿通枝へと分岐する穿通枝入口部です。この部分が閉塞・狭窄をきたすことで穿通枝領域全体の梗塞を引き起こします。
これをBADbranch atheromatous disease)といいます。

②は穿通枝自体の閉塞で、いわゆるラクナ梗塞です。

上図で見てもらうとわかるように穿通枝入口部の閉塞では梗塞領域が大きくなることがわかります。

梗塞領域の大きさだけではなく、臨床症状の進行にも特異的な点があります。

BADでは急性期に麻痺などの症状が進行する例が多いことが臨床症状での特徴的な部分です。
これによりBADは進行性脳卒中と言われています。

BADとラクナ梗塞の違いを再度まとめます。
〇 徐々に梗塞領域が大きくなること
〇 運動麻痺などの臨床症状が進行すること
以上の2点が大きな違いとなります。

この続きをみるには

この続き: 3,579文字 / 画像5枚

このマガジンでは今まで投稿してきた全ブログ168本が入った詰め合わせパックとなっています。 このblogは、臨床BATONと言って脳外臨床研究会メンバーが日頃から思っている臨床の悩みや発見を読者の皆様と共有し、さらに全国のセラピスト達とバトンを繋いで、一緒に学ぶ成長していくことを目指したblogです。そんな想いをもったメンバーが集まってblogを書いています。

全国展開している脳外臨床研究会に所属するメンバー達が、『臨床で起こる悩み』『臨床での気づき』を読者の皆様と共有し、また知識を繋げていきたい…

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!