痛みの評価を考える ~数字の10、9だけで痛みを判断してはいけない~
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痛みの評価を考える ~数字の10、9だけで痛みを判断してはいけない~

おはようございます(^-^)本日も臨床BATONへお越しいただき、ありがとうございます。
最近家庭菜園を始めて、毎日『まだか、まだか』と子供のようにプランターをのぞき込んでいる、184日目担当のPTジュニアこと吉岡勇貴です(^-^)

*はじめに

まずは私の痛みの評価での失敗体験を共有していきます。
★痛みの評価は数字でしか評価出来ていなかった。
→VAS等で出た数字がどれくらい下がっていくのを評価していた。
しかし、10→9・8・7と下がっていくがそれが機能的な部分やADLに関係しているのかまで評価出来ていなかったし、評価しにくい部分でした。
また、痛みが有るか無いかだけにフォーカスを当ててしまっていました。

★痛みの特徴を捉えていなかった。
 →私自身痛みは有無と量・強度でしか捉えていなかったです。痛みの種類がある中で量的な部分だけで痛みを読み解く事には限界がありました。しかし、それ以外の事で評価する術を持っていませんでした。

実際私自身がこのような失敗体験もしてきましたし、実習で来る学生さんも痛みの評価は実施してくれますが、臨床やレポートで統合と解釈出来ているケースはかなり少ないです。
私もそうでしたが何の為に評価していたのだろうとなってしまいます。
評価する事が目的になってしまっている事が私も含めて多くなっているように思います。または、評価しないといけないという固定概念があるのかもしれないですね。
しかし、評価したのであればそれを治療にいかせる形にしたいと思いました。そこで今回のテーマでもある量的評価だけでなく、質的評価(数量では表現出来ない評価)にフォーカスを当てる事で少しでも痛みの治療に繋がればと考えています。

*痛みの量的評価

VAS(visual analogue scale)視覚的アナログスケール
痛みのない状態を0㎜または0㎝とし、想像しうる最も強い痛みを100㎜または10㎝として、痛みを伝えるのに最も適した目盛上の部位を選ばせる評価法である。

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NRS(numerical rating scale)数値評価スケール
VASに類似した評価法であり、直線上に0から10までの目盛と数値が記載されている場合をいう。痛みのない状態を0、想像しうる最も強い痛みを10として表現し、痛みの強さを直感的に表現することが可能である。

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Face Scale
笑顔から泣き顔までの顔を書いたスケールを用いて患者の気分に最も合致する表情を1つ選ばせる評価表である。

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上記3つの評価は学校等で習う量的評価です。学校や年代によって習う範囲に少し違いはあるかもしれません。

痛みの評価は量的な評価のみでなく、質だけでもなく、両方を併せ持って考える必要性があると考えています。
なぜならば、量だけでは主観的な評価や数字だけではより細かく痛みの評価が難しいです。

しかし、質だけだと患者さまと共有しにくく、この場合は量的(数字)で表す方が共有しやすいと考えています。なので、私自身は痛みに大きな変化が出ていると感じた時には敢えて量的な評価で患者さんに聞く事で共有しやすくなりますし、変化率を感じてもらえるのが特徴です。

質に関してはセラピストが考察していく上で必要な要素となってきます。それは痛みを大きく2つに分ける事が出来るからです。
後輩と会話している中で『リハビリ中は痛みを軽減させる事が出来たとして、翌日には同じ状態に戻っている』とよく聞く内容です。
これに関しても量的な部分では患者さま自身が変化を感じていないことで翌日でも変化がないとなります。そこで実際に質的な評価をしていく事で小さな変化は起こっている事は多くあると私自身は感じています。
なので、そこの小さな変化をしっかり捉えて評価していく必要性があるので質の部分にもフォーカスを当てています。

評価

*実際の評価(学生時代の評価)

学生

このような評価内容を見た事ないですか?
私が学生時代にレポートで書いていた内容です。今見返してみると酷いありさまですね💦お恥ずかしい限りです。

しかし、このように見返す事で痛みに関しての評価が出来ていない事や実際の学生さんでもよく似たケースに遭遇すると考えると実例を通して学べる点はたくさんあると思い提示させて頂きました。


この評価に関しても痛みの有無と量でしか判断していないのがよくわかりますね。これだと統合と解釈で痛みの評価をしたにも関わらず、一切触れられていないというのも納得出来ます。
だからこそ、この評価に質的評価を加える事で量的評価も活きてくるのだと考えています。

*痛みの評価を活かすために

評価を活かすために量的+質的評価を合わせていく事が重要だと考えています。
その中でも重視するべきは質的評価です。
後輩にもよく
『痛みをそこまで評価するのは難しいし、痛みの原因が分かったとしても治療は同じ内容になってしまう』
『その時痛みが無くなっても次の日にはまた同じ状態です』
ということがよくあります。皆さんも経験ないですか?実際私自身もそう思っていた時期はありました。
しかし、たとえ治療が同じであったとしても、質的な部分を評価出来ると患者さまの行動を変化させたりなどの取り組み方を変化させる事が出来ます。

質的評価

私自身が考える質的評価です。質的評価によって痛みの種類を大きく2つに分ける事が出来ます。


なぜなら、一次痛・二次痛の特徴を評価しているからです。

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ここからは質的評価の内容に関して簡単にご紹介していきます。

痛みの感じ方

痛みの感じ方に関しては、基本的には鋭い痛み→一次痛、鈍い痛み→二次痛とします。

これだけではなく臨床では色んな表現方法が出てきます。
例えば、鋭い痛み…チクっとする。ピーンと引っ張る。
    鈍い痛み…ズキズキ、ジンジン、ヒリヒリ、
    その他…怠い、重い、痺れる、違和感

患者さまによって痛いのか、しびれているのかなどの感覚がよく分からくなってくるという訴えも多くあります。その辺りの表現に関してはその他にしておきます。しかし、その他に関してもその時々で表現方法は変わる可能性は大いにあります。
個人の表現には差があるので、それも評価として記載しておきましょう。

なぜならば、その表現の奥に痛みの本質が隠されている可能性があるからです。
あとはフィードバックする際に表現が変わったかの確認が出来る、ここも重要です。

痛みの部位

患者さまの痛みの訴えを聞いていると、上記のように『ここが痛い→一次痛』『ここら辺が痛い→二次痛』という発言は多くみられます。
表現内容としては少しの違いですが大きな違いがあります。

痛みの時間

痛みの時間では安静時・動作時で瞬間的な痛みを感じるのか?持続的な痛みを感じるのか?評価していきます。
この時間の評価も一次痛・二次痛の特徴である伝達速度が違う事で痛みの伝わり方にも違いがあります。
なので、瞬間的な痛みを伴った後に持続的な痛みも出てきます。そのような場合ではすぐに痛み自体が消失するのか?持続するのかを評価します。これが訓練時に起こり、痛みが持続する場合は訓練によって誘発された痛みとして考え訓練内容を検討する1つの材料にもしています。

逃避反射

これは患者さまによって違いますが、気づかない方も多くいます。
なので、セラピストが痛み反射の察知し、痛みが出るまでの範囲を評価する必要があります。


ここで逃避反射の見逃し動かし続けた結果慢性痛へ繋がる恐れは大いにあります。
私自身はここの部分はとても注意深く見ています。これが鋭い痛みを出す前の体からのサインだと考えています。

また、逃避反射がご自身で動く際にでるようなケースでは病棟等では出来るだけ、逃避反射が出るような運動・動作は行わないように指導しています。その時点ではまだその運動・動作を積極的に行う時期ではないと考えていますので、患者さまにも説明しています。

ちなみに慢性痛の定義は

“急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み”と定義されている。ここで相当な時間としては、3ヶ月、または、6ヶ月が挙げられている。ただし、癌性疼痛は除くことがある。
                       ウィキペディアより引用

慢性痛と痛みの関係については以前の記事に記載しています↓


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ここではactive・passiveで痛みの評価を行います。臨床でもactiveでは痛みがあるが、passiveでは痛みが出ないなど色々なパターンがあると思います。


passiveでは『このように動かせば痛みは出ないですよ』というように痛みを出さないような工夫であったり、痛みが出ないような運動指導をする為にpassiveでの評価が必要となってきます。

activeではどのような動きをする事で痛みが誘発されるのかを確認した中で病棟での生活では痛みを誘発するような動きをしないように注意してもらうよう指導していきます。

*まとめ


今回は痛みの評価として量的、質的な部分で分けてしていく必要性についてお伝えしてきました。量的評価は簡便で、患者さまと共有しやすいという点においては優れていると思います。しかし、それだけでは痛みの治療や指導といった部分に繋げていくには不十分でありました。

また、客観的評価では信頼関係やバイアスが疼痛の結果に影響を与えてしまう事が大いにあると臨床では感じています。それが結局患者さまの痛みに変化がない上に気を使わせてしまうという最悪の結果となります。

なので、今回は質的評価をお伝えしてきました。全て見ていくとなる大変ではあると思うので1つずつ意識しながら評価していく事でまた違った視点で痛みを捉える事が出来ると思います。

最後に1つ注意点としては私自身もそうでしたが、痛みばかりにフォーカスを当てすぎてしまうと目的を見失ってしまう事があります。

患者さまが痛みの先に何を求めているのかを捉えていく中で痛みの治療・指導していくことが望ましいと考えています。
痛みは現象の1つである事は忘れてはいけないと自分自身もいつも念頭に置いています。

明日の臨床から是非今日の学びを少しでも活かして頂けたら幸いですm(__)m

明日の臨床BATONはだいすけです。認知症に対する概論をまずはお伝えしてくれるようです(^-^)


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