片脚立位の何を評価しているのか?   ~20秒出来るかではなく、3つの視点から考えていく~
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片脚立位の何を評価しているのか?   ~20秒出来るかではなく、3つの視点から考えていく~

皆さんおはようございます🙇‍♂️本日も臨床BATONへお越しいただき、ありがとうございます。
152日目担当のジュニアことPT吉岡勇貴です。

1.はじめに

私自身が臨床を1~3年目の時には片脚立位が不可=バランスが悪い=中殿筋の筋力低下という判断をしていました。なので、歩行でふらつきのあるような患者さまでは片脚立位の評価していました。
それに対して片脚立位の訓練を反復していたり、外転運動をして片脚立位に繋げるように訓練していました。

しかし、これは片脚立位が出来ないという現象に対する訓練であり、そこでの変化がどうような運動や動作に影響を与えるかまでは考えていませんでした。
最初は無意識で歩行の安定や転倒リスク評価を目的にしていたのですが、現象だけに捉われた結果片脚立位が出来るかどれだけ長く片脚立位が出来るかどうかだけに着目していました。
その結果片脚立位の秒数が少し長くなる事で『長くなりましたね。筋力がついてきましたね』などの声掛けになってしまっていたのだと反省するばかりで、今思い出してみると患者さまの反応も悪かったです。
私の自己満足であったことは間違いないです💦


そこでまずは私自身の失敗体験をお伝えしたいと思います。


私自身の失敗体験

*片脚立位が何秒出来るかにこだわっていました
→カットオフを超えると転倒のリスクが下がるからという理由だけでした。
秒数だけを見てしまうとどんな形でもOKなのか?しかし、出来ていても少しふらつくと『ちょっとふらつきますね』などといって現象に対して問題点を探していました。

*片脚立位の評価で外転筋力だけに着目していました。
 →片脚立位が出来ない=外転筋力低下だと判断し、歩行時の崩れに関しても同じであると解釈していました。そして、横歩き等で外転筋の運動をするが特に変化がありませんでした。
その時に左右で筋活動を触診していたり、片脚立位になる時の瞬間的な動きを全く見ていませんでした。

*足部のアライメントは見ていたが足趾にまで評価できていませんでした。
→足部のアライメントの崩れや足関節戦略といった部分には着目できていましたが、足趾が支持基底面に影響を及ぼすことまで考えていませんでした。

この失敗体験から私自身片脚立位を評価していく際に何を評価したいのかの明確さと視点の多様化が必要であると考えました。
なぜならば、片脚立位が出来るor出来ないではなく、触診等で筋活動の変化を見る、声掛け1つでどのような動き出しをするのか、支持側の筋活動のみでなく遊脚側の筋活動や筋緊張の評価、そもそも裸足で片脚立位を評価していますか?(それに伴う足趾の評価)などの視点が必要であると考えています(図1参照)

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片脚立位が最終的にどうような動作に影響を及ぼすのかまで考えて臨床に取り組むことが出来るとより有意義な評価となり、患者さまの変化にも気が付けるのではないかと考えています。

2.片脚立位から見ておく3つ視点

*転倒リスク
*筋活動
*支持基底面
上記のような評価を考えて、片脚立位を見るとそれぞれの考え方や視点があります。
しかし、実際の臨床でこのことを意識して行っていますか?失敗体験にも書きましたが私自身は意識が薄かったですし、考えていませんでした。
まずは片脚立位1つに対してどれを目的に行っているのかを明確にしておく必要性があると感じました。
今回は自分自身が臨床で着目している3つの視点から見ていきます。


*2-1転倒リスク

片脚立位を見ていく中で何秒出来るか気になりませんか?私自身はここに少し固執していました。なぜならば、カットオフ値が存在し、秒数によって転倒リスクの有無を判断できると考えていたからです。

片脚立位でのカットオフ値
開眼片脚立位 『15秒未満』→運動器不安定症
開眼片脚立位『20秒以内』もしくは閉眼片脚立位『5秒以内』→転倒リスク
引用文献:高齢者の運動機能と理学療法 PTジャーナル.2009.

しかし、実際の臨床の中で患者さまに片脚立位を実施した結果、ほとんどの方が20秒未満となりました。その結果から20秒未満の患者さま全員に転倒のリスクが高いかと言われるとそうではないです。

そして、健常者の中でも20秒未満の方はたくさんおられます。だからこそ、その20秒という数字にだけ捉われていると大事な部分を見逃してしまうように感じています。


実際、数字は変化を客観的にも見る事が出来ますので分かりやすいので患者さまと共感していく上では秒数は必要でもあると思います。しかし、危険なのは秒数が長くなったという事だけに着目してしまうことです。秒数が長くなるという事は何かが変化したので秒数が長くなったのか、それとも代償動作が出て秒数だけが長くなったのかの部分が大切です。


そして、片脚立位の評価1つの結果で転倒リスクがあると判断するのは安易ではないかと考えています。他にも転倒リスクと関連性のある評価(例えばTUGテスト、BBS、FRテストなど)や患者さまの転倒履歴等も併せて評価していく事で転倒への予防が出来るのだと思います
(TUGテストについては清水先生の下記の記事を是非参考にしてみて下さい)


https://note.com/nougeblog/n/n840b479054be?magazine_key=me166eb0a0a49

*2-2筋活動

その①
歩行の際にトレンデレンブルグやデュシャンヌ歩行になっている患者さまがいます。このような患者さまを診た時に私自身はよく片脚立位の評価をしてトレンデンブルグ徴候が出るかみていたように思います。もちろん、トレンデレンブルグ徴候はでますよね(図2参照)

トレンデレンブルグ徴候
患側で片脚起立すると健側の骨盤が患側より下がる症状
引用文献:トレンデレンブルグ徴候 理学療法ジャーナル.39巻10号

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これで外転筋が弱いから横歩きや外転運動をして筋力強化を図っていきました。しかし、大きな変化はありませんでした。


そこで私自身少し疑問に思ったのが『本当に筋力低下?』。臥位での外転運動では大きな差はないように感じたのに?外転筋だけの問題なのだろか?


そこで私自身が臨床で行っている片脚立位の評価として
①手すりを把持した状態
②指1本で支持した状態
③把持無し


この3つの片脚立位でどのような変化があるのかを見ています。
注目すべきは指1本と把持無しでの片脚立位です(下記図3を参照下さい)

画像3

諸説、内腹斜筋・内転筋・下腿三頭筋等文献により様々ありますが、ここでお伝えしたいのは片脚立位が出来ない、骨盤が保持出来ないことで外転筋筋力低下だと決めつけるのではなく色んな要素が含まれていて片脚立位の支え方一つでも評価できることはあるという事です。

その②
片脚立位の姿勢をとった状態で筋の触診はしていますか?左右で筋活動がどう違うか評価していますか?私自身はただ片脚立位が出来るかどうかとどのようにして体が崩れているのかだけに注目していました。


しかし、実際に片脚立位の状態で左右の筋を触診する事で見ていた状態と実際との状態には大きな差がある患者さまはたくさんおられました(これに関しては片脚立位の時だけではなく立位等でも見てみて下さい)

また、どのタイミングで触診するのか、どのような筋活動が起こるのかが私自身はとても重要だと考えています。


*『片脚立位をします』と声をかけた瞬間
 →ここは先行期(ここでは声掛けによって片脚立位をとる為の準備をする
  事が出来るのか)の評価になります。準備として支持側への重心移動が
  行える状態になっているのか、それとも他の部位で緊張が高まるのかな
  どを見ていくと非常に面白いです。

*片脚立位になる瞬間なのか?
 →瞬間的にどこから動き出すのか。または遊脚側がゆっくり動くのか
  瞬間的に動くのか。
  個々によってパターンもあると思うので左右差で評価しています。
  先行期の影響も受ける部分ではあると思います。

*片脚立位なってから?
 →視診・触診で筋活動の左右差を評価していきます。

*片脚立位から足を降ろす時?
→降ろすスピードや降ろす足の位置。

このように片脚立位をする前から終わりまで注視する事で様々な評価ができます。そこで左右での動き方の違いや筋活動の差はどこにあるのかで沢山の仮説を立てる事でできます。これは筋の触診のみならず、体幹・遊脚側が同じようにどのタイミングでどのような変化があるのか見逃さないようにすることが臨床的には見ておくべき点です。

その③
次に支持側だけでなく、上げている側も評価が必要です。

例えば、脳卒中患者さまで非麻痺側支持での片脚立位をした時に麻痺側の筋緊張異常や運動麻痺の影響で足を挙げにくい状態だと支持側への影響を及ぼし片脚立位が出来ない事も多いです。

これが歩行時にも同じように遊脚側が立脚側に影響を与える可能性も考えられるので片脚立位での状態も1つ参考になると考えています。

*2-3支持基底面

ここでは支持基底面についてですが、着目する部位は足趾です。


まず、皆さんにお聞きしたいのは片脚立位や立位を裸足で評価していますか?私自身はほとんど靴を履いた状態で行っていました。これでは足趾は見えないで、裸足で足の状態を見ていきましょう。


立位姿勢ではある程度安定している患者さまでは、足趾の動きに大きな変化はないです。
しかし、脳卒中患者さまや腰椎疾患(脊柱管狭窄症など)の方では片脚立位のような難易度の高い動作になると足趾がクロートゥの状態になる事が度々あります。支持基底面においてこの足趾のクロートゥが支持基底面を狭めてしまう事でバランスの崩れを生む事が多いです(図4下記参照)

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歩行の中で足趾の動きを見ていくことが難しい中で片脚立位下では容易に評価が出来ます。くどいようですが裸足でなければ評価できません。歩行に関しても出来るような環境であれば是非評価が必要です。


また、このクロートゥを改善する事で片脚立位の安定性は向上するのはもちろんですが、歩行の安定性や蹴り出し等への影響も大きいです。なので、足趾といえども評価しておくで片脚立位のみならず歩行等の動作にも必要性は大きいです。

3.まとめ

今回は片脚立位の何を評価としてみるのかということで、ここまで進めてきました。
3つの要素として
*転倒リスク
*筋活動
*支持基底面
この視点で評価していく事でただ片脚立位の20秒の目安だけでなく、片脚立位での先行期動作の瞬間にどこから動くのか、足趾からの支持基底面を評価してみて下さい。

最終的には片脚立位がどの動作のどの場面で必要かなどを考えていく事ADLの拡大の一助になると思います。


また、今回の3つの要素で評価して頂けると以前までと違った視点で患者さまを見ていけます。是非明日の臨床から取り組んでみて下さい。


最後まで読んで下さりありがとうございましたm(__)m

明日の臨床BATONはだいすけです(^-^)テーマは「電気治療について」です。
だいすけ!臨床BATONどうぞ!

参考文献
高齢者の運動機能と理学療法 PTジャーナル.2009.
トレンデレンブルグ徴候 理学療法ジャーナル.39巻10号
古沢他:第30回関東甲信越ブロック理学療法士学会 片脚立位時における股関節周囲筋機能評価.2011
高齢者における足関節運動が片脚立位に及ぼす影響 理学療法学Supplement 2012(0).2013


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