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認知症の症状について

本日も「臨床BATON」にお越しいただき、ありがとうございますm(_ _)m
6月17日担当のMIZUと申します。よろしくお願いします。

まず自己紹介を…

はじめまして!!比較的小さい…地域密着型の総合病院で理学療法士をしています。MIZUと申します。以前は介護福祉士で8年ほどデイサービスやグループホーム、特養などで仕事をしていました。30歳を期に一念発起し、理学療法士に転職しました。昔からおばあちゃん子でお年寄りに関わるのが好きだったこともあり、今現在もお仕事中に見せてくれる素敵な笑顔が大好きです。

病院や介護施設、訪問などのリハビリ対象者で認知症の方も多くいらっしゃると思います。その中でなかなか拒否が強く思うようにリハビリが進まないという方も多いのではないでしょうか?拒否があるからリハビリが進まなくてもいいというわけでもなく…私自身 主治医から「根気強く頑張って」と依頼されることもあります。

認知症の方にも性格や価値観、これまでの生活歴などもあるため、その対応も千差万別です。リハビリに意欲的ならいいのですが、残念ながら動くのがあまりお好きでない方も多く、マッサージしか受け入れてくださらない方もいます。療養病床の方で介入を初めて3ヶ月ほどで、ようやく歩行練習ができた患者様もいます。
認知症の方のリハビリでは拒否や口頭指示が入らないということで困りますよね。では認知症の方にどう関わっていくといいのでしょうか?そのためにはまず認知症を知ることが大事だと思います。先日、私の父も認知症と診断されました。😲今回は認知症の概要と私の父に出現している症状を絡めてご紹介します。

そもそも認知症とは

引用①
ICD10による認知症の定義:通常,慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ,記憶,思考,見当識,理解,計算,学習,言語,判断等多数の高次脳機能障害からなる症候群

認知症は、アルツハイマー病や脳卒中など脳機能の障害によって表れる中核症状と中核症状と環境要因・身体要因・心理要因などが相互に作用して起こる周辺症状にわけられます。対応に苦労するのも周辺症状が多いと思います。周辺症状はまわりの環境や介入によって軽減することがよくあります。
中核症状については、投薬治療などがありますが、進行抑制の効果のみであり、なかなか治療は難しいです。
今まで出来ていたことができなくなったり、環境の変化についていけなかったりで、イライラして怒ってしまったり、ふさぎ込んだり…無気力になってしまい介護やリハビリを拒否される方も多いと思います。

図にすると以下のようになります。

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認知症をよく理解するための8大法則・1原則

認知症について調べていると理解するための法則というのがありますので、紹介させていただきます。

引用②
第1の法則:記憶障害に関する法則
①記銘力低下:話したことも見たことも行ったことも忘れてしまったり
同じことを繰り返すのは、毎回忘れてしまうため
 ②全体記憶の障害:食べたことなど体験したこと全体を忘れてしまう 
③記憶の逆行性喪失:現在から過去にさかのぼって忘れていくのが特徴
昔の世界に戻っている
第2の法則:症状の出現強度に関する法則
より身近なものに対して,認知症の症状がより強く出る
第3の法則:自己有利の法則
 自分にとって不利なことは認めない
第4の法則:まだら症状の法則
正常な部分と,認知症症状として理解すべき部分が混在する. 
初期から末期まで通してみられる常識的な人だったらしないような言動を
その人がしているため,周囲が混乱しているときには「認知症問題」が発生しているのだから,その原因になった言動は「認知症の症状である」と捉える
第5の法則:感情残像の法則
言ったり,聞いたり行ったことはすぐ忘れる(記銘力低下の特徴)が,感情は残像のように残る.理性から感情の世界へ
対応:aほめる,感謝する b同情と共感 C謝る,事実でなくても認める
第6の法則:こだわりの法則
一つのことにいつまでもこだわり続ける.説得や否定は,こだわりを強めるのみ.本人が安心できるように持っていくことが大切
対応:aそのままにしておく b第三者に登場してもらう c場面転換をする d地域の協力,理解を得る    e一手だけ先手を打つ fお年寄りの過去を知る  g長時間は続かないと割り切る 
第7の法則:症状の了解可能性に関する法則
認知症の知的機能低下の特性からすべての症状が理解・説明できる
第8の法則:衰弱の進行に関する法則
認知症高齢者の老化の速度は非常に早く,認知症でない高齢者の約3倍のスピード.正常高齢者が4年後の死亡率28.4%に対し認知症高齢者の4年後死亡率は83.2%(聖マリアンナ医大 長谷川名誉教授の報告)
介護に関する原則
認知症の人が形成している世界を理解し,大切にする.その世界と現実とのギャップを感じさせないようにする

父の場合は・・・
手が使いづらく、ご飯が思うように食べれなかったり…身支度が整えられない(中核症状:失行)で『くそーー!!』などと咄嗟に大声(周辺症状:暴言)が出てしまうことが多いようです。手伝おうとしてもプライドが高いため受け入れられず反面とことん甘えてきたりで…対応に苦慮しています。
法則に当てはめてみると第2(症状の出現強度)、3(自己有利)、5(感情残像)の法則の症状が顕著に出ていました。
臨床においても3、5に加えて1(記憶障害)や6(こだわり)の法則に当てはまる方が多いのではないでしょうか。記憶障害のため、動作指導が定着しなかったり、病識や欠如や危険行動が多く注意を促すも立腹し帰宅願望につながることもあります。なるべく穏やかになっていただけるよう、声掛けや対応を工夫しますが、受け入れも千差万別のため、非常に難しいと思います。また外部からは一見穏やかにみえても近親者には周辺症状が強く出る方も多くいらっしゃいます。患者さんの退院にむけては、第2の法則も考慮し家族にも対応することが必要だと思います。

因みに

アルツハイマー型認知症の脳画像では側脳室下角の拡大や海馬を含む側頭葉内側の萎縮がみられるようです。👇私の父の脳画像…結構スカスカです。

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最後に

認知症だから、リハビリが進まない…ADLが上がらない…と諦めてしまいがちですが、脳外臨床研究会の勉強会で講義をしてくださった先生が仰った言葉が心に残っています。セラピストが諦めたら患者様の改善はない。諦めずに個々の患者様に向き合い、本質に目を向け介入していくことが大切だと思いました。

さて明日のブログは【にパンダ】さんです。滋賀県でOTさんをされています。以前、お目にかかったときは、とても落ち着きのある方だなと印象をうけました。臨床での経験や、お考えなどをお聞きするのが楽しみです。
では臨床BATONをどうぞ!!

引用文献
 ①②  著 千野 直一
     金原出版株式会社 リハビリテーションMOOK13
     高齢者のリハビリテーション 








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