ママセラピストが考える発達過程と臨床の繋がり
はじめましてのご挨拶。
みなさんこんにちは!脳外臨床研究会のブログが本日よりSTARTします!😄
このブログは、臨床BATONという名前の通り脳外臨床研究会メンバーが日頃から思っている臨床の悩みや発見を読者の皆様と共有し、さらに全国のセラピスト達とBATONを繋いで、一緒に学び成長していくことを目指したブログです。そんな熱い想いをもったメンバーが集まっています😊!
1日目!トップバッターは愛媛県在住理学療法士のママセラピスト🚼堀井結賀です。
現在我が子は1歳6ヶ月。生まれてから成長過程・発達をみているとなんだか脳卒中の回復段階みたいだなと思いました。それからは自分なりに文献を読んだり気づいたことを臨床に活かしていこうとあれこれ調べる毎日です。よろしくお願い致します。
なぜ子育ての最初の頃って皆口を揃えて「首は据わった?」「もう首が据わりそうだね」って言うのでしょう。これって寝返りや座位に大事なことなんじゃないかと子育ての場面で思ったので今回はヘッドコントロールについて考えていきたいと想います。ヘッドコントロール…聞いたことはあるけどなんなんだろう?そんなあなたと一緒に考えていきたいと思います。
ヘッドコントロールとはなにか?
引用 1):
基本的な身体動作では動作に先行して頭頸部の動きが起こる。頭部と頸部の位置関係は、上部頚椎(C1−C2)の関節、靭帯、頸部筋の筋紡錘などの受容器によって検出され、この情報に基づいて四肢の姿勢筋緊張に変化が起こる。身体運動に先行する頭頸部の運動を頭頸部のコントロール(head control)とよぶ。
ヘッドコントロールに必要な筋とは?
頸長筋はヘッドコントロールにおける頸部屈曲において重要な役割を持っています。先程引用にあったように頭頸部の運動は動作に先行して起こります。
ここで発達に置き換えてみると生まれてから頸定するまでの3〜4ヶ月の間乳幼児はずっと真上を向いたままです。今思うと3時間毎に起きたりするのは体位変換できないからかな?臨床と繋げて考えてみてもヘッドコントロールが出来ない方は体位変換も難しいし介助が必要になりますもんね!子供ももちろん初めは動けないから抱っこしてもらうことで除圧になってたのかも😂笑
それと同時に全身に重力もかかるしすごい大事なんだなと思っています。
なぜかというと、抱っこされることでヘッドにも揺れの刺激が加わったり上下の移動がありヘッドの位置が変わることで前庭に刺激が入りやすいため抱っこを沢山することによって、発達も促せる(身体動作獲得に向かっての発達)のではないかと考えています。
生まれてすぐに聴覚検査があることには驚きました。調べてみると出生前より耳はしっかり聞こえているらしいので早期からの前庭系への関わりは大事なことなんだなと改めて思うのと同時に抱っこすることは子供が生命維持することに必要不可欠なので、前庭系に関わろう!と思わなくても自然と取り入れられていたんだなと感嘆の声が漏れそうです😁笑
愛情も深まるし一石二鳥💓
3〜4ヶ月経過し、頸定が完了するとなにが出来るようになると思いますか?
そう。まずは寝返り・座位に繋がるような基本動作をどんどん獲得していくようになります。
なぜ頸定すると寝返りが出来るようになるのかというと
引用 2):
頭頸部の屈曲は、腹筋をはじめとする身体の前面筋の筋緊張を高める。
これが大きく関係するからではないでしょうか。
皆さんは下記のような患者さんに悩んだことはありませんか?
悩んだことないな〜って方は想像してみてください。
ベッド上で背臥位になっている患者様。頸部伸展し口が開いている。起き上がってもらうにも頭部屈曲ができないため寝返り・起き上がりに介助が必要になります。そのまま食堂へ行き食事を摂取しようとしても、座位でも口が閉鎖できないため、食塊形成や飲み込みができない。ご飯が食べられず、栄養が思うように取れず運動ができない状態が続き廃用が進んでいく…大袈裟だと思われるかもしれませんが、このような悪循環が生まれてしまうことも少なからずあるのではないでしょうか。
患者様のようにヘッドコントロールが困難な場合、自分で身体動作を開始することが難しくなってしまうため寝返り・起き上がり・座位といった基本動作の介助量が多くなりマンパワーが必要不可欠になってきます。しかし、ヘッドがしっかりしてくると身体動作が安定してきていますよね。(※もちろんこれだけではないと思います!)
寝返り動作では動作に先行して頭頸部の屈曲と寝返る方向への回旋が起きます。
座位ではヘッドの位置が定まることが大事だと思っています。また運動するためには栄養をとることが必要ですよね!食事を摂取する時も、ヘッドコントロールが必要不可欠になってきます。
ホントに〜?そんな風になる〜?ってなりますよね!笑
ぜひ頸部伸展位で寝返り・起き上がり・食事をするという経験をしてみてください(^o^)1日しただけでかなりしんどいし、ご飯は食べられないと思います😄
なぜ頸部伸展している方が多いのか(ヘッドコントロールが難しい人)
ではなぜ、ヘッドコントロールが難しい人がいるのでしょうか。
脳卒中患者様は筋緊張のコントロールが苦手な方が多いです。また長期臥床が継続することによって後頭部や背部にベッドからの刺激(体性感覚入力)が入ってくるため刺激の集まる後頭部や背部方向に引っ張られていくのではないかなと考えています。そうすることで耳石も後方へいくイメージがあるので結果として頸部伸展位の患者様が多くなっているのではないかと考えています。
上記のような方を離床させ端座位をとっていただくと、ほとんどの方が後方へ姿勢が崩れていくのではないでしょうか。また筋緊張も低下しヘッドコントロールができていないため介助が必要になってきますよね。
評価は?
では評価はどうしているのか。
私は、耳垂と肩峰の位置は垂直かをみています。背臥位でも座位でも立位でもいえることだと感じています。背臥位のポジショニングもそこを意識しています。
・頭頸部屈曲・回旋の可動性はあるのか。
・どの筋肉の筋緊張が問題でそうなっているのか(視診・触診)
なども合わせてチェックしています。
治療は?
上記で評価をして、耳垂と肩峰の位置は垂直かをみています。筋緊張のコントロールをするために頭頸部を屈曲・回旋させ筋の収縮や長さを出していきます。また寝たきりの方でもヘッドを少し揺らすなどして耳石に刺激を入力したりしています。
起き上がりや座位が可能になればどんどん動作をしていきますよ。
本日のまとめ
①基本的な身体動作では動作に先行して頭頸部の動きが起こる
②頭部と頸部の位置関係は、上部頚椎(C1−C2)の関節、靭帯、頸部筋の筋紡錘などの受容器によって検出され、この情報に基づいて四肢の姿勢筋緊張に変化が起こる
③身体運動に先行する頭頸部の運動を頭頸部のコントロール(head control)とよぶ
④頸長筋はヘッドコントロールにおける頸部屈曲において重要な役割を持っている
⑤頭頸部の屈曲は、腹筋をはじめとする身体の前面筋の筋緊張を高める
⑥脳卒中患者様は筋緊張のコントロールが苦手な方が多い。耳石のことも考えよう
⑦評価:耳垂と肩峰の位置は垂直か
⑧治療:筋緊張のコントロールをするために耳石への刺激や頭頸部を屈曲・回旋させ筋の収縮や長さを出していく
終わりに
このようなことを考えるようになってから、ほとんど体幹と下肢しか診ていなかった私ですが、現在の臨床では頭頸部への評価・アプローチをするように思考の流れが変化しました。
発達の過程において腹臥位で頸部伸展もありました。やはり背部筋との協調的な働きが重要ではあると考えますが、皆様も明日の臨床でヘッドコントロール(主に屈曲方向)をみていただきそこに評価・アプローチをした結果、動きがどう変化したか、感じ方がどう変化したか、姿勢筋緊張がどう変化したかなど気づいたことのフィードバックをいただけると嬉しいです。
ではでは!今日はこの辺で。お読みいただきありがとうございました♥
明日は脳PRO5期生で同期の清水啓史です。臨床BATONどうぞ(^O^)/✨
【引用文献】
1)2)著:石井慎一郎
動作分析臨床活用講座 バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践より
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