Die a little

昔好きだった人に会った。青春は本当に終わったんだと実感を突きつけられた。ずっと好きの残留を残したまま淡い期待を膨らませた数年間、それは恋ではなくて、あの頃の2人があまりにも愚直で阿保で、今では薄れてしまった激情があったから、忘れられなかったから、縋り付いていたし、どこかでまたあんな日々が帰ってきたらと夢見ていた。けれど、もう彼は全くと言っていいほどの別人で、話もつまらなくて、だから嫌いとかではなくて、ただ、あの頃の彼とは見た目も話し方も性格も変わっていて、私も知らぬ間に変わっているのかもしれない。今初めて出会っていたなら全く興味を持たなかっただろうなと思うし、だからこそあの時期に会ったのは運命とは言わなくても、悪戯くらいではあったのかもしれない。もう青春は、とっくのとうに終わっていた。喪失感。さよならをいうことは少し死ぬことだと言っていた。その本は読まないし、少し死んだ分、その隙間でまた新しいことが産まれたらいい。でも少しの間は、まだ少し死んだ悲しさを忘れられそうにない。

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