【お好み焼きこなこな】会って絡まる秘伝のソース

遠州鉄道曳馬駅から歩いて10分弱のところにある、お好み焼き「こなこな」。浜松市民のソウルフード、たくあんの入った遠州焼きをはじめ、お好み焼き、たこ焼き、モダン焼きが楽しめる。

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お店のどこを見ても、ここが福祉事業所だということはわからない。店で働くのは、発達障害といわれる特性を持つ若者たち。「ただお好み焼きを食べたくて来たお客さんが、なんかスタッフちょっと変わってるけど、おいしいね、温かいねと思ってもらえるような店にしたい」と店長さん。

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2011年のオープン当初から店を支えるスタッフ2人は、最初は接客は苦手で、包丁も持ったことがないというところからスタートしたという。今では、お客さんに名前も覚えてもらい「あなたの焼くお好み焼きが一番おいしい!」と声をかけられるまでに。お客さんから差し入れをもらったり、小さな子供とハグしたりと、あたたかい交流が生まれている。


最近では、経費削減のために従業員の人数を減らして接客を機械化する店が増えてきたが、こなこなの魅力は、「人」にある。注文も電子機器を使わずに、あえて手書きのオーダー票を使う。そうした方がスタッフ間の作業がスムーズにいくというのもあるが、アナログなやり取りから、スタッフとお客さんの交流が生まれるからだ。

目指すのは「スタッフ一人一人が名前で呼ばれるようになって、お客さんの名前も覚えて、お互いが知り合えるようなコミュニティが生まれる店」だ。

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夜の営業ではアルコールも出す。ご近所の一人暮らしと思しきお年寄りが、少しのお酒と話し相手を求めてやってくる。スタッフとの話はかみ合わないことも多いけれど、そのままを受け入れあう会話がつづく。春の陽だまりのような、ゆるくてあったかい空間が生まれる。

お客さんの多くは、ここが障害のある人たちの自立を目的として設立された店だということを知らずにくる、そうしてそのことに気づかないままにお店の味と雰囲気に満足して帰っていく。

スタッフの一人一人が自分の力を発揮しやすい環境がそこにあるから、彼らの生きづらさだとされていたものが魅力的な個性となって、お客さんとの交流が生まれるのだろう。スタッフ一人一人の個性が輝く店を目指して、今日もお好み焼き屋さんは頑張っている。

Writer:Hayama

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お好み焼き「こなこな」
NPO法人「あくしす」が、障害者の自立を目指して2011年にオープン。障害者総合支援法に基づく就労継続支援A型サービス事業所で、利用者と雇用契約を交わし、10人のスタッフが働いている。ランチメニューは、ミニサラダやドリンクがついて税込み750円から。ディナーはお酒も提供し、おつまみメニューも充実している。

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このブログは、有志による「のっとぅりーる」プロジェクトの一環で運営しています。多文化共生のまち浜松で、「食を通じて、障害の有無や国籍に関わらず、ヒトとヒトが出会う橋渡しを」というコンセプトで、多国籍料理店や福祉団体の運営する店舗の情報を載せた箸袋を作製、配布しています。

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