【いもねこカフェ】ネコに癒され、優しさ伝播

店の扉を開ければ、そこは癒しの空間だ。「いらっしゃい」。そんな瞳で見つめてくる看板ネコのはるちゃん。どこを見渡しても、ネコ、ネコ、ネコ。食事を提供するお皿も、箸置きも、デザートのケーキまでネコの形をしている。ネコ好きにはたまらないお店だ。

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雑貨店を併設した店内では、不登校や発達障害のある若者たちが働いている。パティシエが作った定番商品の「いもねこクッキー」は、デパ地下にあってもおかしくない完成度。かわいらしいパッケージは、デザインが得意な子が手掛けたという。

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お話を聞いた元高校教師の大山さんは、茶髪のバンドマン。「職員室が嫌いなんっすよ」とロックな印象で、かわいらしい店の雰囲気とはちょっと違う印象だ。その人がなぜ…?

「優しい人に来てもらいたいんですよ」

荒れたクラスを受け持ち、学校をやめていく生徒たちとかかわる中、その居場所の必要性を感じ、全国のフリースクールを見学して回ったという。

「不登校の子たちや発達障害の子と、自分と背景は変わらない。たまたま自分はうまいこと難関をすり抜けてきたけど、彼らはうまくすり抜けられなかっただけじゃないか。自分と何も変わらない」

そんな思いで、自分たちと彼らが互いに支え合える場として、フリースクールを立ち上げた。しかし、公的資金の援助のないフリースクールの維持費をどうするか。それなら福祉事業所としよう。そこでの子供たちが成長し就職する時期が来た、どうするか。それなら就労をはじめよう。対人関係が苦手なら作業工房、接客ができるならショップと、都度必要に応じて事業を展開してきたという。

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その展開を一緒に歩んできた一匹のネコが、はるちゃんだ。はるちゃんの存在は子供たちの癒しでもあった。動物には人を優しくする力がある。だからネコカフェなのだそう。

優しい人に来てもらいたいとおっしゃっていたが、ここに来れば優しくなれる。そんな空間なのかもしれないと、ネコカップでコーヒーをいただきながら感じた。

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大山さんに店に対する思いを聞いたときに、「これは仕事というよりも生き方。音楽もすべて自分の表現」と答えてくれたのが印象に残った。やっぱロックだな~。

Writer : Matsumoto

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いもねこカフェ
不登校や発達障害のある子どもたちが社会とつながる場として、2011年にオープン。食品添加物や農薬に配慮した安心安全な食材にこだわり、カレーや焼きそばといったランチメニュー、サンドイッチなどの軽食メニューを取りそろえる。ケーキやクッキーなどのデザートも種類豊富。併設した雑貨店では、厳選されたネコグッズが販売されている。

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このブログは、有志による「のっとぅりーる」プロジェクトの一環で運営しています。多文化共生のまち浜松で、「食を通じて、障害の有無や国籍に関わらず、ヒトとヒトが出会う橋渡しを」というコンセプトで、多国籍料理店や福祉団体の運営する店舗の情報を載せた箸袋を作製、配布しています。

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