「こう見えて元タカラジェンヌです」を友だちに紹介するなら

※まだ読んでいない友達に紹介するつもりで書いています。

私は特に宝塚ファンというわけではないのですが、アマゾンのお勧めに表示されて何だか面白そうだなあと思ったので衝動的に購入しました。エッセイを読むのが好きなのでその関連で表示されたのかもしれません。

内容としては、元タカラジェンヌの天満みちるさんが、宝塚時代のエピソードやら当時心に秘めていた思いをあれやこれやと面白おかしく、ときにはシリアスに綴っていらっしゃいます。

でもって「天満みちるさん」と気軽に書いてしまいましたが、この本を読むまで存じ上げなくて、私にとっては宝塚という世界を垣間見ると同時に天満みちるさんという人物を知る本となりました。

テイストは前半と後半で異なっていて、前半は三浦しおんさんのエッセイや東村アキコさんのギャグ漫画のような、敢えての一昔前の流行をたとえ話にした語り口調で、電車で読むの禁止令が出そうな、宝塚裏話アレコレエピソードについて読者を笑いにいざなうテイストです。個人的には、「次なのか?次なのか?」という感情を「リーリー」と野球の表現で表していたところにツボってしまったのですが。

対して後半は、宝塚のエピソードというより天満さんご自身の気持の変化の総まとめのような感じ。ご自身の在り方や進む道について、迷い考えつつも最終的な方向を見出だしていく過程が丁寧に描かれている印象です。そのため「プッ!」みたいな吹き出しポイントはありませんが、天満さんをずっと応援してらした方にとっては、めちゃくちゃ感動ものなのではないでしょうか。

個人的な感想としては、おそらく天満さんの人柄の良さのせいだとは思うのですが、一般庶民が抱く宝塚にありそうなドロドロとしてネガティブなエピソードがなくて少し拍子抜けしました。

いや、本当にないのかもしれないのですが、なんというか、部活とかでも後輩の方が先輩より上手かったりするケースってあって、その場合先輩は複雑な気持ちになりますよね・・・。天満さんは本を読む限り人と比べて嫉妬とかそいういうのとは縁遠い方のようなので(敵は自分自身というタイプなのかなあと勝手に推測!)、エピソードとして登場しないのかもしれないな~と思ったものの、後輩がどんどん活躍していったら先輩はどういう気持ちで舞台に立つんだろ、と本筋から離れた部分を勝手に想像してしまいました。

ちなみに、宝塚ですが一度だけ劇場で見たことがあります。以前、兵庫に仕事の関係で数年住んでいたときに(現在は東京在住)、職場の後輩からチケットあるので行きますか?と声をかけてもらって宝塚大劇場に足を運びました。

正直、内容は覚えてないのですが一番印象的だったのが、主役(だったと思う)の安蘭けいさんが最初と最後の挨拶で「本日は、(略)三井住友ビザカードの〇〇公演にお越しいただき(略)」とおっしゃったことです。宝塚は夢の世界と思っていた私にとって、夢の国の住人が三井住友ビザカードって口にしちゃうんだ・・・と大いなる衝撃を受けました。いや、ほんとに。常連さんにとってはいつものことなのかもしれないですが、なにぶん初めてだったので衝撃だったのですよ。

本の話に戻ります。アレコレ書きましたが、私はこの本を読んで宝塚のことをもっと知りたくなりました。繰り返しになりますが、ネガティブな内容はあまり書かれていないので、これ一冊読めば宝塚のことが語れるようにはなりません。ですが、興味をそそるようなキーワードがちりばめられていて「えっ、そこ深堀してほしい!」というポイントがチラホラあります。それがむしろ、今度は違う方の宝塚本を読んでみようかなとか、ネットで調べてみようかなとかそういう行動へ繋がりそうな気がします。いつかは観劇アゲイン!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?